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春のような温かさがいつもある学校に〜心の宝物06

休校明けの朝の会

 全国一斉休校明け、分散登校期間を経て、はじめて全員が登校した日。朝の会の時間に校内を巡回しました。

 4年生の教室はにぎやかでした。久しぶりの再会が嬉しくて仕方がないようで、多くの子は、先生の話を聞くよりも笑顔を見交わす方が忙しそう。無理もない、今はむしろそれでいい。開放感に満ちた表情を、微笑ましく思いながら教室を見渡した目の先に、彼女がいました。

揺るがない姿とそれを支える思い


 背筋をまっすぐに伸ばし、気迫のこもった視線で担任を見つめ、話に集中していました。周囲の、ややにぎやかな空気に少しも揺らぐことのないその姿からは、彼女の内にある決意のようなものが伝わりました。

 その後で、思うところを尋ねてみました。

「だって、先生が一生懸命話してくれてたから、そうしなきゃいけないと思ったし、その方が(話の内容が)よく頭に入るから」


 胸が熱くなりました。


 ほんの少し前までまだあどけない3年生。その最後を締めくくることなく突然絶たれた学校生活。しかし、長い長い在宅の期間にも、その日をひたすら待ち続けた思いが、願いが姿となって現れたのでしょう。


 360人の児童が、それぞれ360通りの、期待、決意、不安ややるせなさを抱えて今ここにいることが、今更ながら胸に迫りました。改めて、子どもたちの悲しみや不安は決して見逃すまい、願いや、期待は決して裏切るまいと決意しました。

そして、今の状況を、雄々しく生きようとしている彼女の決意と選択に、心から敬意を抱きました。

迷って、決めて、行動して


「したいこと」と「したほうがいいこと」が重ならない。逆に「しないほうがいいこと」と「したいこと」が重なってしまう。それでいいんだよ。そのときどき、迷いながら、自分の言葉や行動を選びとればいい。そうして、感じて、考えればいい。このときの彼女の思いから、彼女が決めて、選んだ行動から、私も学ばせてもらいました。ありがとう。


 そんな言葉と共に、彼女と全校児童にお伝えしました。


 かけがえのないあなたへ。

 出会ってくれてありがとう。

 生まれてきてくれてありがとう。

 どうかありのままで。

 どうか幸せで。

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