見出し画像

春のような温かさがいつもある学校に… わかっています。でも、その方法では取り切れません 〜心の宝物85

🌷階段の中ほどで


コロナ機の学校
いよいよあと数日。本来であれば、夏休み真っただ中の8月初めの掃除の時間でした。
階段の中ほどで、集中して作業をしている彼の姿が目に留まりました。

「階段掃除」というと、大抵は次のようなオペレーションになるでしょう。
①ほうきで、上方から下方へ、ごみやほこりを掃き落としていく
②ほうきが終わったステップを、雑巾で拭いていく
③窓枠や手すり等を磨いたり消毒したりする
④「見つけ掃除」(既述)を行う

見たところ、彼はほうきを手に、①に取り組んでいるようでした。
大抵の子は、ほうきをダイナミックにつかい、ほこりを払い落すイメージで上から下へと降りて行きます。

ところが彼は各段のステップの外から内へ。樹脂の滑り止めの側から奥へ。すなわち「掃き落とす」という動作とは逆方向にほうきを使い、一段一段ほこりをちりとりに集めながら進めています。
一見すると、やや効率の悪い方法にも見えます。

🌷わかっています。でも、その方法では取り切れません


思うところを尋ねました。

「上から下へと掃き落とした方が早いのはわかっています。今までは僕も、何も考えないでそうしていました。でも、そうすると、滑り止めのゴムの隙間にほこりが入ってしまいます。見つけ掃除で、つまようじを使って掘り出すなど、余計な手間がかかります。ゴムの隙間も余計に広がります。そこに、もっとほこりがたまりやすくなって、きれいに取り切ることができなくなることに気づきました。だから、こうしてみました」

言葉が出ませんでした。

一見して「効率が悪い」などと思った自身の不明を恥じました。
そうして、子供たちの意欲や想像力が活性化しているとき、どれほど素晴らしい創造力や問題解決能力を発揮するのかを改めて実感しました。
彼の選択と行動の値打ちを、何とか全校児童に伝えたいと願いました。

「効率」という言葉があります。
何かを達成しようとするとき、できるだけ早く、できるだけ余計な力やお金をかけないで、できるだけよい結果がでるようにと考えるときの目安です。

彼の姿からは、「効率は大切だけれど全てではない」ということを学ぶことができます。
常に「あたりまえ」を見直し、そこにチャンスを感じたら、一見遠回りに見えることでも、実行してみる。それが、思いもかけず、みんなにとって、それまでのあたりまえをひっくり返すほどのよい結果につながることがある。
私たちの便利で安全な生活は、これまでの人たちが、仕事をすることを通して、働くことを通して、こうした営みを繰り返してくれた上にあることを決して忘れてはいけない。私たちも、気づいたら、どんどん挑戦してみればいい。それが、みんなの明日を幸せにするかもしれない。
あなたのおかげで全校のみんなが大切なことを学ぶことができました。
ありがとう。

そんな思いで、お伝えしました。

かけがえのないあなたへ。
素敵なきらめきをありがとう。
出会ってくれてありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
どうか、ありのままで。
どうか、幸せで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?