佐藤等/調査報道を広く発信したい新聞記者

地方紙記者です。記者になって23年、これまで警察、行政、自衛隊を担当してきました。現在…

佐藤等/調査報道を広く発信したい新聞記者

地方紙記者です。記者になって23年、これまで警察、行政、自衛隊を担当してきました。現在は社会部遊軍に所属し、主に公文書の情報開示請求を使った調査報道に取り組んでいます。新聞に限らず、さまざまなメディアで広く発信していきたいと思い、noteを始めました。

最近の記事

沖縄の湧き水#2 坂中樋川(フィラナカヒージャー)

 最近、観光客でにぎわう泊漁港の入り口から道を挟んだ先に墓地群があり、その道を左に進み、オートガレージとアパートの間の坂道を上ると、見えてくる。駐車場はなく、傾斜がある。入り口には「一礼して入場しましょう」の看板。地域にとっていかに神聖な場所なのかがよく分かる。水は出続けていて豊富なようだ。  坂中樋川の後ろには「先樋川べーべー御嶽」があって、「天龍大御神」の石碑が祭られている。干ばつの時には水を求めに来る村人も少なくなく、潮干狩り後の子どもたちの遊び場でもあったとか。

    • 沖縄の湧き水#1 伊佐ウフガー(宜野湾市)

       米軍普天間飛行場に国道58号線を隔てて隣接する住宅街の一角にあるのが伊佐ウフガーだ。ウフガーとは「大井泉」の意味とか。  このウフガーは、元々ここにあったのではなく、国道58号線あたりにあった。米軍の道路建設で埋められたため、水源を今の伊佐区に移し、改修されたのが今のウフガーだ。  水はとても透き通っている。水路にごみや泥といった堆積物もなく、住民がいかに大切に管理してきたか想像できる。  ところが、ここのウフガーにはわき水に似合わない看板が設置されている。宜野湾市環

      • 普天間飛行場―米軍は返還するか①

         米軍普天間飛行場は、人口10万人の宜野湾市のど真ん中にあり、面積は475.9㌶と市の総面積の4分の1を占めている。軍人・軍属は約3200人。長さ2800㍍、幅46㍍の滑走路を持つ海兵隊ヘリコプター部隊拠点で58機の軍用機が配備されている。2023年11月29日に鹿児島・屋久島沖に墜落したCV-22オスプレイと機体構造、エンジンなどの基本性能が同じMVー22オスプレイは24機配備されている(2018年時点)。 普天間飛行場ができた経緯をたどろう。1945年6月ごろの沖縄戦の

        • キャンプ・キンザー(牧港補給地区) ―深刻な土壌汚染

           那覇市から国道58号線を北上していくと、浦添市に入ってすぐに左手に倉庫群が広がっている。極東一の総合補給基地と言われる「キャンプ・キンザー(牧港補給地区)」だ。キンザーという名は、沖縄戦で戦死し名誉勲章受章したエルバート・キンザー伍長にちなんで付けられた。その付け方、どうなんだろう。沖縄の人の神経を逆なでするような。  1945年、米陸軍が日本軍の南飛行場を接収し、牧港飛行場に。48年にさらに強制接収を行い物資集積所として拡大し、78年に米海兵隊に移管された。南北3㌔、東

        沖縄の湧き水#2 坂中樋川(フィラナカヒージャー)

          那覇軍港―もう一つの移設問題

           那覇空港から那覇市内に向かって車を走らせると、左手にフェンスで隔てられた港が見えてくる。「那覇軍港」と呼ばれる米陸軍のFAC6064那覇港湾施設だ。  ここは1974年に日米安保協議委員会(2プラス2)で日本側に全面返還することで合意したが、約半世紀たった今も返還は実現していない。進まないのは、何もしなくても無条件に土地が返ってくるということではなく、代わりの土地を沖縄県内で見つけて、軍港機能を移しなさいよという「県内移設」の条件をクリアーしなければならないからだ。県内移