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【映画#71】「ハチ公物語」『横道世之介』より

こんにちは、三太です。

先日、絵本ライブというものに初めて行きました。
ある有名な絵本作家さんのライブで、朗読と歌がメインで進んでいきました。
また、途中実際に作家さんが聴衆とのやり取りをしながら、絵を描いていくくだりがありました。
絵が出来ていく過程を見ながら、絵本作家さんの凄さを実感していた今日この頃です。

では、今日は『横道世之介』に出てきた映画、「ハチ公物語」を見ていきます。
『横道世之介』に出てくる4作の映画のうちの1作目です。

基本情報

監督:神山征二郎
出演者:上野秀次郎 (仲代達矢)
    上野静子(八千草薫)
    上野千鶴子(石野真子)
    菊さん(長門裕之)
上映時間:1時間47分
公開:1987年

あらすじ

始まりは大正十二年十二月。
東京帝国大学の農学博士、上野教授の教え子が、秋田から一匹の犬を送ってきました。
その犬がハチ公です。
はじめ上野教授の家族は、ハチ公を飼うことに難色を示します。
前に飼っていた犬「ごんすけ」を亡くしたばかりだったからです。
しかし、ハチ公の可愛さに魅せられ、徐々に気持ちが揺らいでいき、結局はハチ公を飼うことに。
家族は上野教授、奥さん、一人娘のちづこさん、そして書生のさいきちくんと、お手伝いさんの5人です。
この中で一番ハチを可愛がったのが、上野教授です。
どれほど可愛がっていたかというと、奥さんが嫉妬するほどです。
ハチは上野教授が通勤するときに、渋谷駅までついていき、帰りは駅の改札の前で待っていました。
そんなハチと上野教授の幸福な関係に突然終わりがやってきます。
上野教授が大学の講義中に倒れて、そのまま帰らぬ人となるのです。
帰らぬ人となった教授ですが、ハチはその帰りを待ち続けます。
最愛の人をなくしたハチはこのあとどうなっていくのでしょうか。

設定

・犬が主人公
・戦争に向かう日本が舞台(大正末から昭和はじめにかけて)
・飼い主が亡くなっていく

感想

渋谷駅で帰ってくるはずのない主人の帰りを待ち続ける・・・
ハチは本当に忠犬だなと思いました。
そんな忠犬のハチ公は飼い主がいなくなり、町の誰からも相手にされなくなり、挙句の果てには同じ犬からも襲われ・・・というシーンがあり、そのくだりは辛すぎました。

ハチ公の飼い主は上野教授にしろ、菊さんにしろ、いきなり心臓発作でなくなるのは少し展開が早いようにも感じました。
上野教授の「人間にも人格があるように、犬にも犬格がある」は名言です。
私はペットを飼ったことはないですが、今ではペットを家族のように扱う人が増えているのではないかと思います。
ハチ公物語を見て、それは良いことだと感じました。
動物を使った映画はいつもその撮影手法が気になります。

夏めくやシルクハットの父を待つ

その他

・ハチは秋田犬
・ハチの名前の由来は前足が八の字になっていたから。
・上野教授の一人娘の名前は上野千鶴子。

ウィキペディアより
→忠犬ハチ公の生涯を、実話に基づき創作を加えて描いた作品。

『横道世之介』内の「ハチ公物語」登場シーン

カツ丼ともりそばのセットを食べて世之介は歌舞伎町の映画街へ向かった。途中本屋に寄って「ぴあ」を立ち読みしたが面白そうな映画がない。ハチ公物語なんて見ても仕方ないしなぁ。

『横道世之介』(p.271)

男たちの中に体育の授業で一緒の奴がいたので、「ここって何のサークル?」と尋ねると、「映研」とそいつが答える。
「あーあ、俺もこっちにすればよかったなぁ。文化的な匂いもするし」
「映画好きなんだ。最近見た映画は?」
「この前、見ようとしたのは『ハチ公物語』」
「ハチ公?じゃあ一番好きな映画は?」
「『トップガン』」
この辺で映研の部員たちまで世之介から目を逸らす。

『横道世之介』(pp.278-279)

一つ目の引用は「十月」、二つ目の引用は「十一月」の一節です。
この記述からは世之介は「ハチ公物語」を見ていないのかなと思います。
好きなのは「トップガン」ですし。
「ハチ公物語」は犬の飼い主に対する忠誠心の深さを感じられ、もちろん色々と考えさせられる話ですが、見ていてシンプルに楽しい~となる作品ではないかなと思います。
世之介はそのあたりもおそらくそうだろうと想定して見なかったのかなと。
また次に「トップガン」を見ることによって、世之介の好みがより見えてくるかと思います。

吉田修一作品とのつながり

・世之介が大学1年生のときに公開された作品
→吉田修一さんはそれをわかっているということ。
 つまり、ここからも吉田修一さんが映画を好きなことが伝わってきます。
 もちろん、逆に1987年に公開された映画から逆に見つけ出した線も完全に否定できないですが・・・。
 私は吉田修一さんが知っていた説に一票を投じたいです。

以上で、「ハチ公物語」については終わります。
有名な作品を見られて良かったです。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「ハチ公物語」

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