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【映画#105】「楽園」

こんにちは、三太です。

今日は成人の日ということで、各地で「二十歳の集い」というのが開催されます。
成人になる年齢が18歳に引き下げられたため、今では成人式と言わずにこのような名称となっています。
今年は中3の頃に担任した子たちが二十歳となるため、「二十歳の集い」に招待されました。
教え子が皆の前でスピーチをするらしく、どのような話を聞けるのか楽しみです。
何より皆の元気な姿が見られたらなと思っています。

では、今日は映画「楽園」を見ていきます。
吉田修一『犯罪小説集』に収録されている「青田Y字路」と「万屋善次郎」を原作としています。


基本情報

監督:瀬々敬久
出演者:豪士(綾野剛)
    紡(杉咲花)
    善次郎(佐藤浩市)
    五郎(柄本明) 
    広呂(村上虹郎)
    久子(片岡礼子)
上映時間:2時間9分
公開:2019年

あらすじ

吉田修一『犯罪小説集』所収の「青田Y字路」「万屋善次郎」の二作を原作とした映画。
二作のエッセンスを残し、それを新たな要素も付け加え結び付け、全く別の作品として仕上がっています。
映画全体は「Ⅰ罪」「Ⅱ罰」「Ⅲ人」という三つのパートに分けられています。
田舎(おそらく長野のどこかの集落)にあるY字路で起こった幼女誘拐事件
それを軸に様々な人が入り乱れて物語は進みますが、誘拐された愛華の友達であった紡が主人公となります。

                左が豪士、右が紡

そして、原作と違うのはその集落に善次郎もいるということ。
善次郎の話がうまくつながれ、村八分によって追い詰められていく男の姿も描かれます。

                    善次郎

設定

・居場所のなさ
・犯罪
・村八分

感想

冒頭のチンピラによる豪士の母への暴力がけっこう過激でした。
このことはDVDの付録であるブックレットの「吉田修一さんと綾野剛さんとの対談」で、吉田修一さんも述べられていました。
そういう本気さで見る人を引っ張っていこうという覚悟を感じられる冒頭です。
その本気さは当然役者さんにも乗り移っており、特に柄本明さんと佐藤浩市さんの演技は圧巻でした。
もちろん主演の綾野剛さん、杉咲花さんの演技もとても胸に伝わってくるものがありました。

本気の映画なので、当然大変面白いですし、原作を読んでいれば、原作との違いも感じつつ、でもちゃんと原作の主題は大事にされてるよなとか思いながら、飽きることなくグイグイ見ることができました。
犯罪を疑われたり、してしまったりする人物には共に孤独感というものがありました。
その孤独がどんどん人を追い詰めていきます。

映画は祭りと青果市場が補助線となって、原作の二作をつなぎます。

                   祭りでの紡

そして祭りの火と豪士の火がオーバーラップする演出はとても巧みだなと感じました。
犯罪を扱いつつも、「楽園」というタイトルにあるように、未来への希望も感じさせる作品でした。

木の葉髪一人で自分を追い詰める

その他

・ウィキペディアより
→第76回ヴェネツィア国際映画祭公式イベント「Focus on Japan」正式出品作品。

以上で、「楽園」については終わります。
小説内のエッセンスを生かしつつ、映画は映画として独立した作品となっていました。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

出典:映画ドットコム「楽園」

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