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【映画#106】「それでも夜は明ける」『泣きたくなるような青空』より

こんにちは、三太です。

最近は毎日一編、吉田修一さんのエッセイを読んでいます。
そのエッセイを読んでいると、吉田修一さんの好きな作家の話が出てきました。
そこで取り上げられていたのが里見弴でした。
私は里見弴の作品を読んだことがありません。
これを良い機会に「月一岩波」(月に一冊、岩波文庫を読もうと自分で決めた目標)と連動して、里見弴の作品を読むことにします。
またnoteにもまとめたいと考えています。

では、今日は『泣きたくなるような青空』に出てきた「それでも夜は明ける」を見ていきます。
『泣きたくなるような青空』に出てくる映画7作のうちの3作目です。
1作目は「横道世之介」、2作目は「ニュー・シネマ・パラダイス」で既出です。


基本情報

監督:スティーブ・マックイーン
出演者:ソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)
    エップス(マイケル・ファスベンダー)
    フォード(ベネディクト・カンバーバッチ)
    バス(ブラッド・ピット)
上映時間:2時間13分
公開:2013年

あらすじ

1841年、アメリカのニューヨーク州サラトガから物語は始まります。
自由黒人で妻子とともに幸せに暮らしていたソロモン・ノーサップは、騙されて南部の奴隷商人のもとに強制連行されます。
その南部で奴隷として働かされた12年が描かれた、事実に基づく物語です。
その12年を通して、白人の理不尽な対応、人が奴隷になっていく過程、奴隷が置かれた過酷すぎる環境、その中でも少しだけ垣間見える人間への希望などが描かれます。
第86回アカデミー作品賞受賞作。

設定

・黒人差別
・奴隷制度
・アメリカの闇

感想

ソロモンとしてはハッピーエンドに近い終わり方ですが、その他の奴隷として働かされていた黒人たちのことを思うと、なんとも言い切れない終わり方をする映画でした。
また、人を人として扱わない部分は見ていてとても辛くなります。
そういう意味でもアメリカの負の歴史に誠実に向き合った作品と言えるのかなと思いました。

           左はソロモン、右はエップス


大きな対立としては白人対黒人、北部対南部というのが軸なのですが、やはりそこには一括りにできない人間模様があり、そこが丁寧に描かれています。
例えば、同じ黒人でも雇い主の白人と結婚して奴隷身分から解放されている人も出てきますし(もちろんその人が幸せかと言われると微妙な感じですが)、白人の中にも黒人をちゃんと人間扱いしてソロモンの奴隷解放をアシストする人物も出てきます。(ある有名な俳優がその役を演じます)
決して、見て楽しいという映画ではないですが、タイトルからも想像できるように、人としての尊厳を懸命に守り抜こうとした人たちの姿に勇気をもらえる映画です。

白黒ははっきりせずともおでん食う

その他

ウィキペディアより
→原作は1853年発表の、1841年にワシントンD.C.で誘拐され奴隷として売られた自由黒人ソロモン・ノーサップによる奴隷体験記"Twelve Years a Slave"(意味:12年間、奴隷として)である。

『泣きたくなるような青空』内の「それでも夜は明ける」登場シーン

ちょうどその頃だったと思うが、SMAPの稲垣吾郎さんがある映画の感想をテレビで話されていた。
その映画はアカデミー賞作品賞を受賞した『それでも夜は明ける』というもので、簡単にストーリーを紹介すると、十九世紀の中頃、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州で、自由証明書で認められた自由黒人のバイオリニストとして、愛する家族とともに幸せな生活を送っていた青年が、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズに売られてしまうという物語で、南部の容赦ない差別と暴力に苦しみながらも尊厳を失わずに生きる主人公の姿が感動的に描かれている。
この作品を見て、稲垣さんは次のようなことを話されていた。
今は気づかないけれども、もしかしたら自分たちも百年後の人たちから見るととんでもないことをやっているのかもしれません、と。
面白かった。泣けた。勇気をもらった。映画の感想は数々あれど、これほど作品の芯を食ったものがあるだろうか。
おそらくこの映画を作った人たちがまさに観客に伝えたかっただろうことをずばりと言い当てたもので、僕自身はこの作品自体はもとより、稲垣さんのこの言葉に心から感動させられた。

『泣きたくなるような青空』(pp.88-89)

これは「百年後の笑っていいとも」というエッセイの一節です。
「ちょうどその頃」というのは、「笑っていいとも」が終了する頃のことです。
ここでは映画に対する稲垣さんの感想が述べられています。
ここで稲垣さんが出てきたのは「SMAP」も「笑っていいとも」もどちらも誰かを傷つけることがなかったという文脈ででした。
「いいとも」と「SMAP」を繋げる一つのエピソードとして、映画が使われています。

吉田修一作品とのつながり

ちょっとよくわからなかったです。

以上で、「それでも夜は明ける」については終わります。
人としての尊厳を守ろうとする姿に勇気をもらえる映画でした。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

出典:「映画.com」

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