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初恋がこんなにも心にしみるものだと教えてくれた人

いつもより少し涼しいベッドの中……。

なんたって久しぶりのデートで、

シャワーを浴びて大の字で寝ている。


ちょっとひんやりするので、布団を肩までかけた。さむっ。

「あのそば屋は格別だったよなー」

「うん!めっちゃおいしかったよ」

「いや、そのそばを食べてるナツミの顔がかわいかったよ」

「えっ!もーまたーそんなことばっかり言ってー」

「ホンマにそう思ったし!」


僕は目を閉じて、深呼吸した。

ナツミとの思い出がよみがえる。



「あれ?」


「寝ちゃったかな?」


僕はのどが乾いたので、冷蔵庫に水を取りに行った。

ゴクッ、ゴクッとつめたい水がのどを潤していく……。


ベッドに戻り、またつま先から肩まで、布団をかぶった。

「寒くない?大丈夫?」


「ナツミ?」

やはり、寝てしまったようだ。




ラインの画面をそっと閉じて、
スマホを枕元に置いた……。



ナツミとの再会のあと、僕はいつもと変わらない日々を送っていた。

もうラインでメッセージを送信しても既読がつかない。

これが「ひと夏の恋」ってヤツか。

いや、なんかちがうんだけどなー。

初恋の思い出だし。


昔、こんな話を聞いたことがある。

『人は2度死ぬ。
1度目の死は肉体的な死。

そして2度目の死は記憶から消えるという意味で、忘却の死』

ナツミの中で僕は順番はちがうが、先に忘却の死がきたのだろう。

人から忘れられるってホントにつらいな。
なんとか自分のことをアピールしたいが、今更電話なんてしたら、カッコ悪いしなー。

よーし!

明日からまた元気に頑張るぞー。

人生は1度きり。

初恋の大失恋はとっとと忘れて、
仕事!仕事!

僕は自分の顔を両手でパンッと叩いた。

人生は1度きり。
口癖のように毎日言っている。

自分の夢や目標に向かって頑張ってみよう。

ナツミだって、自分の夢があって、努力してるはずだ。


きっとそうだろう。


中学のときに上手だったフルートを吹いているかもしれない。

僕は忘れられたって構わない。

友達もいない。

ラインの整理をしようと、友達一覧を見てみた。

するとナツミのラインのアイコンが、
『あっかんべー』になっていた。

えっ!

コレってもしかして、ナツミは僕が送ったメッセージに気付いていたのかな?

タイミング的にピッタリだし。

けど、あっかんべーって。

ナツミっぽいな。

するとラインのメッセージが1通届いた。


ナツミからのメッセージだった……。


恋バナエッセイ
【完】

〈970文字〉

〈あとがき〉
いやぁホンマにこの初恋のエッセイ。なんでこんなことになったのか、恥ずかしいと思いながら、書いてると、いつの間にか感覚がマヒしてきました。第1話から第4話まで、完全実話です。最終話は読んでくれる人達に、気持ちを伝えたくて、色々な表現を使いました。僕は数年前に交通事故で軽症ではあるものの後遺症的なヤツで右ヒザが痛くて階段が登れないときがたまにあります。両足の太ももがジリジリとしびれて痛いときもあります。そんなこんなで、いつまでも全力で薬剤師として働けるかどうか分からないので、指が折れるまで、エッセイでも小説でも書こうと思います。まぁ痛みはたまーにある程度なので、大丈夫ですけど。
今回の恋バナエッセイを読んでくれた方達、朗読してくれた方達、コメントでスキをおしてくれた方達、みんなありがとうございます🎉🎉🎉












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