日常(a)
朝から妻と息子がぎゃーぎゃー喧嘩している。
元気でいいな…。
妻に外見も性格もそっくりな息子。本当に僕の子供なんだろうか…。いや、間違いなく僕の息子だ。
「行ってきます」
「いってらっしゃい」
妻は声だけで言う。顔は息子に向けたままだ。
駅までの道、元気な雀たちを見かける。野生の雀の寿命は約一年だそうだ。
羨ましいと思う。
一年間毎日必死に生きている彼ら。
駅に着き、混雑した電車に乗る。
さびしいなと思う。
家族も、仕事もあり、恵まれているのに。
僕はとくに趣味もない。
お酒も飲まないというか飲めない。
ギャンブルもゲームもしない。
スポーツも読書もしない。
このさびしさは、なんだろう。
さびしいさびしいさびしい。
僕の人生は、さびしくない時間はわずかで、常にさびしい。
この気持ちも、会社につけば仕事にのみこまれて、忘れる。
これが僕の日常。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?