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幼なじみの咲月#5【味見】

〇:咲月に着てもらいたいやつがあって・・・

自室で咲月の極短ウェイトレス姿をしっかり披露された後、言うなら今だと思い声をかける。

咲:え?

〇:出していいか?

咲:待って;;;心の準備が

〇:え?

咲:だって;;急すぎて;;;そんな事言われるって思ってなかったし////

〇:ああ。なんかごめん

〇:無理にって事じゃないんだけど・・・

咲:ち、違うよ、無理じゃないんだけど;;;


確かに急だったかもしれないが、そんなに驚かなくても・・・



咲:だって・・・それって・・・エッチな奴だよね////

〇:は?

咲:ウェイトレスよりそっちの方がいいんだよね////

咲:そーいうプレイって事だよね////

〇:待て待て;;

咲:う、ううん!いいのっ///

咲:初めては普通な感じのやつを想像してたけど////

咲:〇〇がそうしたいって言うなら初めてがどんな格好でも///

咲:そっちの方が思い出に残るかもしれないし////

咲:えっと・・・

咲:・・・どっちにしても脱ぐわけだし////

〇:んなぁつ;;;

咲:恥ずかしいけど頑張るよ!!うん、私頑張るからっ////

早口でまくしたてる咲月。



なんでこうなったなんだ。

さすがに初めてでそういうプレイを強要するほど鬼畜じゃないぞ、オレは;;;

願望がある事は否定しないが・・・


〇:えっと;;;ごめん変な言い方だったな

咲:え

誤解を解くためにも見せるのが一番だろうと思い、クローゼットにしまっていたショッパーを取り出す。


〇:これ・・・部屋着みたいなやつなんだけど・・・

咲:ん、部屋着?

〇:うん



咲:えぇっ!!!!わ、私に!?

〇:ああ・・・

咲:な、な、なんで!?

〇:なんでって言われても;;;


咲:だって誕生日でもなんでもないし


咲:・・・まだ彼女でもないし



確かに理由もなく急に贈り物をされても困るか・・・正直そこまで考えてなかったな。


〇:えっと・・・これは・・・

・・・・・・

〇:オレからのサプライズっていうか・・・

・・・・・・

〇:いつものマッサージのお礼っていうか・・・

・・・・・・

〇:テストのご褒美っていうか・・・

・・・・・・


期待とも不安とも言えない咲月の視線をたっぷり受けてそれとなく言葉を並べてみたけど・・・

なんだかしっくりこない。


〇:ごめん・・・なんか違うな


〇:別に特別な意味なんて何もなくて


〇:ただオレが咲月にあげたかったから・・・っていうのじゃダメか?


咲:〇〇////



〇:咲月はいつも可愛い恰好してくるけど大抵外には出ないじゃん 

〇:もちろん出かけるのもいいけど・・・

〇:何もしないで一緒にいる時間もオレは好きだから・・・

〇:咲月にもそう思ってもらいたいっていうか・・・

〇:素の咲月のまんまでいてほしいっていうか・・・

〇:だからここでだらっと過ごす時はこれ着てくれたらいいなって

〇:ってなんかよく分かんないよな・・・

ふるふると顔を横に振る咲月。


咲:いいの?ほんとにもらっちゃって・・・・

〇:ああ、オレはまだ彼氏じゃないけど受け取ってもらえるか?

咲:ありがとう///どーしよ。すっごい嬉しい///



正直買うかどうかもめちゃくちゃ迷ったし、この一週間どういうタイミングで渡すかずっと考えていた。

咲月の嬉しそうな表情が見れて一安心だ。



咲:ねえ、お店一人で行ったの?

〇:ああ・・・けっこうハードル高かった;;;

咲:ふふ;;;そうだよね////



咲月が来なかった先週に一人で出かけていた。

男1人ではそれなりに入りづらいお店だったし、実際入るまでに店の前を何度か通りすぎたりもした。

オレの不振な挙動に気づいた店員さんが声をかけてくれて、ようやく入店という感じだった。


咲:へへ////〇〇が選んでくれたんだよね

〇:あぁ・・・

首を縦に振れば満足してくれるのはわかっていたのに、嬉しそうにしている咲月に嘘をつく気にはどーしてもなれなくて・・・

〇:ごめん、正直自分じゃ選べなくて、店員さんがお薦めしてくれたやつをそのまま・・・

咲:そーなんだ

〇:なんかごめん

咲:ううん。店員さんになんて言ったの?

〇:え?

咲:なんて言って選んでもらったの?

そんな聞き方されたら、嘘つけないじゃないか・・・

〇:えっと・・・

〇:だから・・・その・・・

〇:年下の彼女が部屋で着れる服をって////////

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

〇:咲月?



咲:ぶはぁぁっ!!

〇:どしたどした

咲:溢れちゃって////なんか気持ちが////

咲:いっぱい////私の////

咲:止まって////呼吸が////

苦しそうに胸を押さえながら言う咲月。

〇:言葉の順番どうした;;;

咲:うぁああ、もぉおおどーしよぉ

咲:頭の中でさちゅき汁がぶっしゃぁぁああって////ぶっしゃぁぁああって////

〇:なに言ってんの;;;

頭を抱えて床をゴロンゴロンと転がる咲月が落ち着きを取り戻すにはそれなりの時間を要した。




〇:落ち着いたか?

咲:うん。これ着ていい?

〇:ああ、もちろん

咲:着替えてくるから待っててね

両手でハートを作った後、短すぎるスカートを揺らして洗面所に向かっていった。






遅いな・・・

咲月の着替えを待つ間、落ち着かずに色々と考えてしまう。

思いのほか時間がかかっているのはウエイトレスの衣装が一人で脱げないんだろうか

それとも渡した服のサイズが合わなかったとか、好みに合わなかったとか・・・

いや、でも喜んでくれてたしな・・・

あ、タグとか切っとけばよかったか。

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

何か困ってるかもしれないし、一応声かけてみるか。



〇:咲月、大丈夫か?

咲:えっ、ごめんまだ途中っていうか、今上だけしか着てないんだけど;;;

いや、そんな丁寧に説明してくれなくても;;;

〇:ああ、タグ切ってなかったからハサミを

咲:えっ;;覗きに来たの?

〇:違う違う、ハサミを;;;

咲:い、いいよ////開けるね////

〇:待て待てっ;;;

カラカラと洗面所の扉が動く。

やべっ;;;;

見てはいけないと顔を覆った指の隙間から、ゆったりサイズの部屋着を纏う咲月の笑顔がのぞく。

咲:ふふ。実はもう着てましたー

はあぁ、心臓に悪い。

・・・・・・

・・・・・・

咲:なんか言ってよー

〇:あぁ、いいんじゃないか////

咲:ぶぅ、それだけ?

〇:えっと・・・可愛い・・・です////


咲:ふふ////ふふふふ////

咲:ふふふふふふふふふ///////

咲:ふふふふふはははははっはははは//////

〇:こわいこわい;;;


咲:だって嬉しいんだもーん。あ、タグ切ってくれる?

〇:ああぁ・・・


髪をかき上げて首の後ろに空間ができると、甘い香りがよりいっそう強まる。

細い首筋の白さに眼を奪われ、時間も思考も停止する。

・・・・・・

・・・・・・

咲:切れる?1回脱ぐ?

〇:いや;;;大丈夫大丈夫;;;

咲月の肌に触れてしまわないように細心の注意を払いつつ高難度のオペを終えると、ぴょんと正面に向き直してこっちを見る。

咲:ありがとっ〇〇!!

さっきより露出がぐっと減った分、ぐっと彼女感が増して。

心臓がドクンドクンと鳴る。




咲:ねえ、さっきの続きしていい?

〇:いや、もうマッサージは・・・

咲:いいからいいから

ぐいっと腕をとられてさっきと同じようにベッドを背に座らされる。



咲:じゃあ、ぎゅうってするよ

咲:いいよね


〇:あぁ

まあさっきほど露出の多い格好をしてるわけじゃないし、大丈夫だろう。

そう思って差し出した左手は空を切って


咲月の両腕がオレの首にふわっと巻きついて、そのままぎゅうっと柔らかく締め上げる。

は;;;;!!!?

〇:さ、咲月////////

・・・・・・

咲:ぎゅうううううぅぅぅ////

〇:いや、ぎゅうって口で言ってるぞ;;;

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

〇:咲月?

抱き着いたまま急におとなしくなった咲月に声をかけると手がキュッと力がこもる。



咲:ねえ・・・・

さっきまでの勢いから一変したゆっくりとした一言に空気も一変する。



咲:ほんとに卒業まで何もしない?



咲:私からするのはダメだけど・・・



咲:〇〇からしてくれるのはいいんだよ////



首の後ろに顔を埋めたまま呟く声が鼓膜と脳に直で伝導する。

ぐらぁと脳が揺れて倒れこみそうになるのをなんとか耐える。



咲月の中ではそういうルールなんだっけ?

もう既に咲月への想いを自覚してしまった今では我慢する理由が無いといえば無いんだが・・・

現時点で恋人と呼べる関係ではない事は間違いないし、曖昧にしたくはない。

たぶん相当勇気を振り絞ってくれている咲月には申し訳ないが・・・


〇:そーいうのは・・・卒業してから・・・だろ・・・


咲:分かった・・・


ゆっくりと巻き付いていた腕が離れる。


傷つけてしまっただろうか。

まだ早いというのは正直な気持ちだが、自分の言葉の足りなさが腹立たしい。

咲月を不安にさせないようにきちんと言葉を尽くせればいいのに。


咲:あ、睫毛になんかついてるよ

咲月の指が近づいてきて目を閉じる。



〇:咲月?・・・

睫毛に触れる指先と同時に、下唇に伝わる一瞬の不思議な感触。

ん??

目を開けると、ささっとズームアウトする咲月の顔。




え・・・今の?


咲:へへぇ、ごめんね////


咲:ちゃんと卒業まで我慢はするけど


咲:我慢のしすぎは身体によくないからさ


咲:ちょっとだけ味見しちゃった////////



ん、味見?


さっきの不思議な感触


舌を出していたずらっぽく照れ笑う咲月


指で触れた自分の下唇の湿り

・・・・・・

・・・・・・

〇:えあふぁぁなぁぁっっ!!!!

点と点が繋がって自分の口から知らない声が出る。

普通にキスとかよりダメだろ;;;;



咲:ふふふ////はい、どーぞ////

顔を傾けて両手で自分の唇を指差す。

咲:〇〇も味見するでしょ////

〇:するかっ;;;

咲:えー/////してよぉー////ペロッてさぁー///

〇:あ;あ;あのなぁあぁ////

動揺MAXのオレを見て満足そうに笑う。



咲:これこれ///



咲:美味しいよ////




渾身の上目遣いに思わず顔をそむけると、部屋の隅でちょこんと鎮座するカレンダーと目が合う。




「さつきの卒業まであと 日」





我慢のしすぎは身体によくないし・・・



味見くらいならいいかな・・・




【終わり】

最後まで読んでいただいてありがとうございます。


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