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マザーウォーター

私のの大好きな映画で、生活や価値観に影響を受けた『マザーウォーター』の話です。

社会人になりたての頃、初めて1人で映画館に映画を観に行った。学生時代TSUTAYAに通い詰め、相当の映画を観てきたのだが、かもめ食堂やめがねが好きだったので、これは是非映画館で観ないと!と張り切って観に行った。それまでは映画館での映画は家族、友達、彼氏とあれ観たいね!と盛り上がって観に行くものだったので、1人で映画を観に行くのはちょっとした冒険だった。平日のモーニングショーに行ったのもあり、観客の年齢層も高く、自分も急に大人になった様な感覚で、随所クスッと笑える場面があるのだが、周りの観客もクスクス笑っていたのを今でも覚えている。DVDも買って繰り返し観た。

春の京都が舞台だ。登場人物も流れる空気もゆったりおだやかで、毎日それぞれピンとした姿勢で仕事をしている。かもめ食堂やめがねでもそうなのだが出てくるお料理が本当に美味しそう。特別変わった料理ではなく誰もが知っている基本的な料理を自分自身や友人に丁寧に作って食べている場面も沢山あって、こんな風に暮らしたいと強く思った。

印象的だったのが、ハツミ(市川実日子)の豆腐屋さんに、マコト(もたいまさこ)がやってきて、お豆腐を買ってここで食べていいかと、ベンチを持ってきてもらって一丁食べていた。その後その場で毎日の様に食べており、ある日そこを通ったジン(永山絢斗)に豆腐を食べなと半ば強引に食べさせるのだが笑 店先で食べれるアイス屋さんの様な光景なのだが食べているのは大きめの豆腐一丁という。でもとても美味しそう。みなペロリと一丁食べていく。

そしてマコトはジンに「機嫌よくやりなさいよ」と声をかけて去るのだ。その後も通りすがりで会った時も言っていたと思う。その「機嫌よくやりなさいよ」は仕事でもプライベートでも人間関係だけでなく1人の時だって大事なことだと常々思う様になった。しかし私はすぐに忘れて眉間に皺を寄せてしまうので手帳を買い換える度に書くようになった。

喫茶店のタカコ(小泉今日子)の様に朝拭き掃除をし、ルルルと(とは言っていないがそんな感じで)ペーパードリップのコーヒーを入れる。友人に手料理でもてなしお昼からワインを開ける様なしあわせな日常を送りたい。そしていつかマコトの様なおばあさんになりたいと思っている。

この春ポプラの様な息子と近所の川辺や神社を散歩したいと思う。

#映画にまつわる思い出

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