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朝の読書時間にツッコミ術の本読んでた

朝の読書の時間が苦手だった。中学・高校生のころ。

クラスのみんなは小説を読むのが定番だったので、僕もそれにならい、小説を読んでいた。



小説を選ぶ時点でもはや・・・、読みたい気持ちが、たいして湧き上がってない。

文庫本の背表紙に書いてあるあらすじを読んで、「うーん、なんかあんま興味出ないけど、これが一番今のところマシそうだから、これにすっか」と思っていた。あんな生意気なことを言って、本当に申し訳ありませんでした。作者の方。

とにかく集中力が続かない。話に入り込めない。「これって、どうせフィクションだよね」「自分の人生に関係ないことを、読んでられっかよ」と、ノンフィクション至上主義者だった。今は全くそう思ってない。当時は視野が、五円玉の穴ぐらい小さかった。



読めても短編集ぐらい。なので、星新一は重宝していた。ショートショートなので朝の読書時間に一作読めて、毎度の秀逸なオチに感心していた。ショートショート万歳。

長編小説は、しょっちゅう頓挫していた。最後までたどり着けず、途中で読むことを諦めてばかり。「自分の人生に関係ないから、結末なんて知らなくてよし」と、二度とその小説を開くことはなかった。

「どうやら自分は小説が苦手らしい」と気づいた。読もうと無理して本を開いても、目が勝手にシャットアウトしてしまう。ただでさえ五円玉の穴ぐらいしかない、狭い視野が!

小説を楽しそうに読んでいる人たちの気持ちが、わからなかった。「創作された物語を、なんでそんなワクワクしながら読めるのだろうか」と、不思議で不思議で仕方がなかった。




小説についていけなかった僕は、「もう違うジャンルの本でもいいや」と、新書に手を出し始めた。周りが小説を読んでいようが、そんなの知ったことではない。読書であれば、何でもいいはずだ。と、勝手に解釈をした。


そして、面白そうだと手にしたのが、ツッコミ術の本


お笑い芸人のツッコミパターンを、実例を交えて解説している本だ。くりーむしちゅーの上田、フットボールアワーの後藤、タカアンドトシのトシの名ツッコミが、その虎の巻に記されていた。

その本を選んだ時に、兄から「お笑い芸人でもなるん?」と聞かれ、さっそくその本を書かれてあるようなツッコミを試した。

変な空気が流れた。スベッた。お笑い芸人にならなくてよかった。明らかに才能がない。むしろ天然ボケをかますタイプだから、ツッコミなんて相性最悪だ。人間は自分が持ってないものに、憧れるみたいだ。

分厚くない本なので、その本を何周もした。恥ずかしいので、ブックカバーもつけてた。

その本を周回しまくったが、ツッコミは下手くそなままだった。勉強しただけでは、身につかないようだ。あとセンスも必要。




あれから月日は流れ。

今もツッコミは全然、上達していない。

相変わらず、天然ボケをかます側。

ツッコミが上手い人に、今も憧れている。



しかし、小説は読めるようになった。

最近は、ヘルマンヘッセの『車輪の下』と朝井リョウの『正欲』を読んでいる。


いや、結局なんの話がしたかったんや!(ビシっ)



やっぱり、ツッコミへたくそだ。

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