私は宇宙のちりです。
悩みに対するある対処法
何の本、もしくは何の動画で見たのか忘れたが、肥大した悩みをマシにする方法のひとつに、
と思い込むといい、という考え方があった。
「宇宙の大きさに比べれば、人間なんて宇宙のちりなんだから、自分の悩みもちっぽけすぎるよね」と思える対策法だ。視点のスケールをうまくすり替えることで、客観的に見れるようになるというわけだ。
オーダー思考法
あるものに比べてこれは小さすぎるから、無視しよう。
これは馴染みがあるぞ。オーダーの考え方だ。
オーダーとは、物理でよく出てくるもので、桁数によって大まかな大小関係を議論する際に用いられる。
SMAP×SMAPで中居くんが「オーダー!」と叫ぶ、あのオーダーのことではない。母親がSMAP×SMAP大好きで、僕が小学生のころ、一緒によく見てたなぁ。
話が少し脱線したが、この物理で使うオーダーの考え方は非常に便利だ。
例えば10のオーダーと言われれば、2桁の数字(10~99)で表される程度の数である、という意味になる。
100のオーダーは3桁の数字で表される程度の数なので、100~999までの数のことを指す。
じゃあ、ここで問題。
10177は?
これは、5桁の数なので10000のオーダーだ。
また、10の何乗のオーダーと言ったりすることもある。10000のオーダーは、10000=10×10×10×10だから、10の4乗のオーダーと表せる。
ちょっとややこしくなりました?
ちなみに10のマイナス1乗のオーダーと言われたら、小数点1桁(0.1~0.9)で表せる数字程度であることを意味する。
10のマイナス2乗のオーダーは、小数点2桁(0.01~0.09)の範囲の数字ね。
そろそろ慣れてきましたでしょうか。
オーダーの有用なところは、数字を大まかに扱えること。
先ほどの10177という数字は、すべての位の数字を考えるのは正直めんどくさい。
1の位は7で、10の位は7で、100の位は1で・・・とやるのは桁数が増えてくるほど、だるくてしょうがなくなる。
そんな時にこのオーダーを使えば、10177は10の4乗のオーダーの数なので、「まあだいたい、10000~99999の範囲の数を表しているのね」と概算できるのだ。
細かな数字は置いといて、数字の大小関係を調べることができる。言っちゃえば、本質は押さえながらラクして計算できるというわけ。
日常生活の例
こんな疑問が出てきた方もいるかもしれない。鋭い質問だ。日常で使わないのなら、そんなの無用の長物だ。
僕の回答としては、
買い物とかする時に、このオーダーの考え方を無意識に使っていると思う。
僕の例になって申し訳ないですが、
僕は大学の生協(購買とも言う?)で、物理の専門書を買うことがたまにある。
物理の専門書は小説やエッセイなどに比べて高く、平気で5,6 千円なんかするものもある。学生泣かせの値段だ。
その時、専門書を買うついでに、お菓子を買うこともある。レジの横に置いてあるブラックサンダーとかね。
このブラックサンダー。値段は50円ほど。
専門書に比べれば、微小無視できる値段。
なぜなら、専門書は10の3乗のオーダー(3000円~9000円)だが、ブラックサンダーのオーダーは10の1乗(40円~50円)のオーダーだからだ!
桁がちがうとは、まさにこのことだ。こうして、無駄な出費がかさんでいくのか。さすが、生協さん。あなたはうまい商売やりますね。
黒い稲妻(ブラックサンダー)が僕(の懐)を攻める〜
というように、あるもののオーダーを考えて、近似する(先ほどの生協での買い物の例で言うと、5000+50=5050も5000もほとんど同じようなものだから)ことは、物理ではよく使われる。
オーダーの考え方、理解していただけましたでしょうか。ここまで読んで、中居くんが叫ぶ「オーダー!」と勘違いしている方、まさかいませんよね。
人間と宇宙のオーダーをそれぞれ計算
そして、ここからやっと本題。毎回、本題に行くまでの道のりが長くててぇへんだ。
人間の体積のオーダーと宇宙の体積のオーダーを、比べてみよう。もう自由研究みたいになってきた。
調べてみると、成人の体積の平均は0.06~0.09$${\rm{m}^3}$$らしい。もちろん、個人差はあるので、あくまで平均の体積ね。
とういうことは、人間の体積は10のマイナス2乗(0.01~0.09)のオーダー。ただし、これは立方メートル換算の場合であることに注意。
そして次に宇宙の体積だ。
ウー!ウー!(サイレン音)
ここで問題発生。
宇宙は非常に広大で、私たちの観測が及ぶ範囲は限られていることを忘れていた。
宇宙は無限に広がっているとも考えられており、我々の観測できる宇宙の領域は可視宇宙と呼ばれるそうだ。
まあひとまず、その可視宇宙とやらを考えよう。
観測可能な宇宙の直径はおおよそ約930億光年から約1,300億光年程度と、考えられているみたい。
1光年は光が1年間に進む距離であり、光が1秒間に進む距離は30万kmなので、
1光年をkmでかくと
この時点でバカでかい数字だ。そして僕はもう、ここまでの計算で疲れてきました。
観測可能な宇宙の直径は、おおよそ約930億光年から約1,300億光年程度だった。
簡単にするため、約1000億光年とする。もう疲れてきているので。
1光年も約10兆kmとする。なぜなら疲れてきているので。
そうすると、可視宇宙の直径は
になる。ちなみに10の24乗の単位は、𥝱だ。
億→兆→京(10の16乗)→垓(10の20乗)ときて、𥝱だ。この桁のお金があれば、一生遊んで暮らせるどころか、何生遊んでも使いきれないだろう。
そしてこれは直径だったので、体積に変換する。宇宙を球形だと、勝手に仮定する。
球の体積は、4/3×(半径)の3乗×円周率だった。
つまり、可視宇宙の体積は
ああ忘れてた。人間の体積は立方メートルで換算していたので、宇宙の体積も立方メートルに合わせねば。
立方キロメートルから立方メートルに換算するには、(10の3乗)×(10の3乗)×(10の3乗) = 10の9乗 をかければいいので
宇宙の体積のオーダーは、立方メートルで表せば10の80乗だ!
0が80個も並ぶ桁の数字なんですよ。
100000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
これぐらい。
一方で、人間の体積は10のマイナス2乗のオーダーだ。桁は10の82乗もちがう。
人間
0.01
宇宙
100000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
の差があるんですよ。
もう想像が全然できない。桁があまりにも違いすぎて。
もはや「宇宙のちり」だと認識できないほど、人間と宇宙には体積差がある。宇宙からすれば人間など、ちっぽけどころか、存在していないぐらい小さいのだ。
しかもこれで、可視宇宙の大きさだ。見えてない部分も含めたら、宇宙はもっと壮大なのだ。
・・・
こんな長ったらしい計算をしていたら、今ある悩みなんてどうでもよくなっていた。
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