BUMPにハマった経緯をたどれば、「伝わる」ことの難しさが分かった
誰かに何かを伝えることは難しい
僕のnoteでちょくちょく書いているが、BUMPは僕が一番好きなアーティストだ。この前も、そんな記事を書いた。「もう知ってるって」という方も、多くなってきただろう。
就活中の時も、本当に何度もお世話になった。上手くいかずに泣いてしまうこともあったけど、そんな時にもBUMPの曲が支えてくれた。
いつもそばにいてくれたBUMP。BUMPのつくる音楽の偉大な力を、日々感じている。家の中で気づいたら歌詞を口ずさむぐらい、曲を何回も聴いてきた。
そういえば、いつ頃からBUMPにハマったんだっけ?
どハマりしたのは、たぶん去年の今頃だ。
それまでも聴いてはいたけど、そこそこ好きなアーティストという位置付けだった。聴いている曲も、一部だった。
BUMPの曲を初めて聴いたのは、たしか高校2年生の時だ。
17歳の時。セブンティーン。
BUMPの色んな曲を聴くようになったのは、去年の今頃だから、22歳の時。
ということは。
初めて出会って、6年越しでどハマりしている。
それぐらいの長い期間をかけて、僕はBUMPの大ファンになっていたのだ。
振り返ってみると、かなり長い月日が経っていた。
6年って、ピカピカの1年生が小学校に入学して、ふてぶてしくなりかける6年生になり、卒業するまでの期間だぞ。
そう考えると、かなり長い。
今のハマり具合からすると、出会ってすぐに大ファンになっていてもおかしくないと思うが、僕は6年越しでBUMPをよく聴くようになった。
今ではBUMPの曲が伝わりまくっているのに、なんであの当時はすぐにハマらなかったんだろう?メッセージとか伝えたいこととかは、変わっていないはずなのに。
もしかして何かを「伝える」のって、それぐらい難しいことなんじゃないかな?
友達や家族とかになら、自分の思いは簡単に伝わる。そこには関係性や、文脈があるから。
もちろん、伝わらないこともたまにあるけど。
だけど、赤の他人や初めましての人に、自分の伝えたいことを伝えるのって、すごく難しいことなんじゃないかな?
「あんた誰ですか?」ってなると思う。初対面の人とすぐに打ち解けて、親友になることはできないのと、同じように。
知らない人が「ねえねえ、こんなものを作ってみたんだけど、どう?」と言ってきたら、「いや知らんがな」となるだろう。
誰かに何かを伝えることは、それと同じことをやろうとしているのだ。難しくて、当たり前。初めての人には、すぐに伝わらない。
だけど、何度も伝えられてくるメッセージに触れていくうちに、自分に影響を与える存在に、少しずつ変わっていく。
たぶんそうやって6年をかけて、BUMPが伝えたかった想いを、僕は今こうして受け取るようになったのだ。
「BUMPって誰ですか?」という状態から、今のどハマりに至るまでの経緯を辿れば、何かを「伝える」うえで重要なことが分かるのではないか?
そう感じて、その過程を振り返ることにした。BUMPに出会ったきっかけも、ここでついでに書こうと思う。
BUMPに全く興味ないという方もいると思うので、今自分がハマっているものを代わりに思い浮かべて、読んでいただけたら幸いだ。
相当な分量になると思うので、読みたいところだけを拾い読みしていただければ、うれしい。
BUMPに出会ったきっかけ
BUMPに出会ったのは、兄のおかげだ。僕には6つ上の兄がいる。この兄が、僕にBUMPを教えてくれた。
それは、高校2年の話。リビングに置いてあるパソコンで、曲を聴いていた。
確かクラシックを、YouTubeで聴いていた。『カノン』とかをね。
そこで、こちらへ兄が近づいてくる。クラシックを聴いていたからか、こんなことを聞いてきた。流行りのJ-popを聴いていなことに、不安を感じたのかもしれない。
「お前、好きなアーティストとかおらんの?」
「え、いないかも」
当時、そこまで音楽に興味がなかった。だから、「このバンドが好き!」みたいなものもなかった。
「へえ、そうなんか」「BUMPとかも知らんの?」
「BUMP?」
なんだそれ。聞いたことないぞ。
「天体観測とか有名なんだけど、知らない?」
「天体観測?」「名前は、聞いたことあるような、ないような」
兄が「お前まじか」みたいな表情を浮かべながら、『天体観測』のMVを一緒に見ることに。
僕に「聞いたことがある」と早く言わせたいからか、いきなりサビの部分にとぶ。
2001年のMVか。けっこう古いな。
そんなことも感じながら、一番のサビが流れる。
有名な「見えないものを見ようとして〜」というフレーズは、どこかで聞いた覚えはある。だけど、ちゃんと聴いたことないな。
「うん、この天体観測って曲もよく知らんわ」
「うそっ!?」「じゃあ最近の曲で言ったら、このRayっていう曲は?」
検索をかけずとも、YouTubeのレコメンドに『Ray』があがっていたので、そのままクリックカーソルを合わせて、右クリックする。
青くて鮮やかな『Ray』のMVが流れる。『天体観測』とは雰囲気がかなり変わっていて、別のバンドなのではないかと、いぶかしんだ。声もかなり変わっていた。ミックスボイスというやつなのだろうか。音楽に全然詳しくないので、知らんけど。
そして、ボーカルの前髪が長い。目が、前髪で隠れている。『天体観測』の時も長めであったが、『Ray』ではさらに前髪が長くなっていた。
「このRayって曲も、初めて聴いたわ」
「そうなんか、ちょっと前に流行ったんだけど、聴いたことなかったか」
兄が残念そうにそう言いながら、僕はこのBUMPの曲に、どこか引っかかっていた。歌詞がよくわからないけど、歌声とかメロディーがなんか心地いい。
この時は大ファンになるとは1ミリ、いや1マイクロメートルも思っていなかった。だけどなぜか、さっき聴いた『天体観測』と『Ray』が頭から離れない。
それが、BUMPとの出会いだった。気になるのは、やっぱりボーカルの前髪。歌詞よりも、そっちの方が気になっていた。
ボーカルの藤原基央さんの前髪が長い理由も、前の記事に書いていたので、気になった方は読んでみてください。
この時点で知っている曲は、『天体観測』と『Ray』の2曲のみ。でも歌詞の意味や伝えたいことは、全然分かっていない。
そしてこの後、BUMPの曲をもう少し聴くようになる転機が訪れる。
初めて買ったアルバムがBUMP
BUMPの存在を知ったものの、聴く曲は『天体観測』と『Ray』の2曲だけ。その他の曲を、聴くまでにはいたらなかった。
BUMPの曲は記憶には残っているけど、まだ自分の生活の一部にはなっていなかった。
BUMPを初めて聴いたのが、高校2年の17歳の時だと先ほど書いた。そして、ほどなくして、転機が訪れる。
高校2年の冬だったと思う。高校の近くにあるTSUTAYAに、たまたま寄った。当時はNetflixなんてものはなく、DVDを借りるためによくTSUTAYAに行っていた。
いつもの感じで店内に入ると、入り口近くに、新しく発売されたアルバムやCDが並べてあった。
普段は過ぎ去るコーナーだけど、そこに見覚えのある文字が見えた。BUMP OF CHICKEN。新しいアルバム『Butterflies』を、リリースしていたのだ。
自然とそのアルバムに、手が伸びる。裏表紙に書いてあるアルバム収録曲は、どれも知らない曲ばかり。
初めて聴いた時から、なぜかずっと耳に残り続けていたBUMPの曲。その理由を確かめるためなのか、僕は思い切ってこの『Butterflies』を買うことにした。人生で初めて買ったアルバム。どんなものでも、初めては特別だ。
早く聴きたくてワクワクしながら家に帰ったのを、今も覚えている。
帰宅し、さっそくアルバムに入っている曲を聴いていく。いいなと思う曲もあれば、あんまりかなって思う曲もある。いいなと感じたこの曲たちだけを、繰り返して聴くようになる。
『ファイター』『GO』『Hello,world!』『コロニー』『流星群』が、特に好きだった。もちろん今も。
お気に入り曲は増えていったものの、歌詞の意味はよくわからなかった。自分が精神的に未熟だというのもあったし、BUMPがどういったことを、よく歌うのかも知らなかったから。
また、このアルバムには、横浜アリーナで行われた過去のライブ映像も収録されていた。
これが大きかった。ライブでは最近の曲だけでなく、昔の曲も演奏してくれるので、過去に制作された曲も聴くきっかけになった。
その昔の曲が収録されている過去のアルバムを調べ、どんどんBUMPの曲を知っていく。
この時点では、頻繁に聴く曲は20曲ぐらいで、その他の曲は名前は知っているが、聴いたことないor数回だけ聴いたことある、みたいな状態だった。
徐々に自分の知っている曲が増えていく
アルバムに一緒に入っていたライブDVDをきっかけに、過去の曲にも興味を持つようになったのは、先ほど述べた通り。
ネットでおすすめの曲を調べて、もっと他の曲にも触れてみたくなった。過去のアルバム『FLAME VEIN』『THE LIVING DEAD』『jupiter』『ユグドラシル』『orbital period』から有名な曲を、何個かiTunesでダウンロードしていった。
iPhoneのMusicに入ってる曲に、BUMPの文字が次第に増えていく。
この辺りの時期から、歌詞の意味も少しずつ考えるようになった。勝手に口ずさむぐらい、フレーズも覚えてきて、歌詞の意味が気になってくるのだ。
自分であれこれ歌詞の意味を想像してみるものの、やっぱりよくわからない。高校物理の公式の意味を理解するよりも、難しかった。
結局諦めて、ネットで歌詞の考察がされているサイトを見つける。それを読んで、「あぁ、こういうふうに考えられるのか」と感動したのを覚えている。自分の想像力のちっぽけさにも、気付かされた。物理ばっかりやってても、だめやで。
だけど、自分なりに歌詞の意味を咀嚼できていないので、心から理解できたわけではない。なんとなくの理解で使う、数学や物理の公式のように。
「なんかすごい深そうなことを、歌ってるみたいだけど、まだ完全にはピンときてないな」
この時は高校2年のまだまだガキだったので、歌詞を自分なりに理解できるまで、成熟していなかったのだろう。
だけど、もうこの時点で、周りの同級生に比べ、かなりのBUMP好きになっていたのは、間違いない。周りの子たちも、僕がBUMP好きであることを、徐々に認知していった。
こうやって、知っている曲をジワジワ増やしながら、修士1年(僕は22歳)の春まで時が過ぎる。この間に、『PATHFINDER』というライブDVDも買ったり、Netflixで『aurora ark』のツアーライブ映像を、繰り返し観ていた。
この段階で、もうすでにファンになっていたが、さらなるダメ押しがあって、大ファンになった。そのダメ押しのきっかけは、実はこのnoteだった。
noteを始めて、BUMPをもっと知るようになる
修士1年の春、僕はnoteを始めた。ちょうど今から1年前だ。
もともと本を読むのが好きで、自分も文章を書いてみたいという願望が、ずっと前からあった。
修士1年は、自分の将来の道を真剣に考え始める頃だ。就活をするか、博士課程に行くか、はたまた全く違う道に進むのかを、考えなくてはならない。
文章を書き続けることは、人生を通してずっとやっていきたいと感じていた。将来の進路に対する不安はあるけど、「今日が一番若い」ということで、noteで文章を書き始めた。
青二歳だったと思うけど(今も)、とりあえず書いていたら、なんか言葉が出てくるだろうと思って、かるく始めた。
「こういうことを書きたいなあ」というのはあったんだけど、いざ書き始めてみると、思っていたような文章に全然ならない。何事もやってみて、難しさがわかるものだ。
文章を書くなんて誰にでもできると思っていたが、自分の気持ちや思いを言語化することに、とても苦しんだ。頭をひねらせても、なかなか言葉が出てこない。
そしてこの時、「BUMPの歌詞を書いている藤原基央さんは、自分の思いを言葉にすることに苦労しなかったのかなあ」と、疑問に感じるようになった。音楽は音が乗るけど、言葉で表現するところは文章と同じだ。
「てか、そういえば藤原基央さんって、どんな人生を歩んでたんだっけ?」
自分の進路を考え始める時期も重なってたからなのか、藤原さんのこれまでの歴史も知りたくなった。歌詞を書いている人が、どんな人生を送ってきたかを調べるのは、実はやってそうでやってなかった。
さっそくGoogleで調べる。おっ、出てきた。生い立ちからこれまでの活動を、調べていく。
へえ、年少期はピアノをやってたのか。
初めて買ったギターは、小学校6年の時なのか。
升秀夫さん(BUMPのドラム)に誘われて、中学校の時にバンドを組んでたのか。
そんな感じで、藤くん(藤原基央さんの愛称)の経歴を見ていくと、あるところの文章が目に飛び込んで、びっくりした。
ロックすぎる。
大学中退は、起業家や芸人とかでみるけど、高校中退はロックすぎる。
学校で1年生の頃から希望の進学先の大学を書かされて、周りの学生も普通に希望の大学を書いていたことに、引いてしまったらしい。
本当はワイワイ楽しい学校生活を、送りたかったそうです。だけど、高校中退は将来こわすぎて、周りと馴染めなくても、ふつう躊躇するよ。
そのあと、藤くんは千葉から上京。このとき16歳。
泊まる場所がなく公園で野宿したり、新宿アルタ前で演奏して日銭を稼いだりしていたらしい。
めちゃくちゃリスク取ってるやん。絶対こわかったやろ。将来どうしようとか考えて、眠れない夜も、何回もあったんじゃないかな。
そんな将来に対する大きすぎる不安と闘って、あの歌詞を書いていたのか。そう想像すると、今まで聴いてきた曲の歌詞が、自分の心に響くようになった。
昔の曲は特に、そのような歌詞が多い。自分と同じ年齢に作られた曲と、自分の今の状況を重ね合わせていくうちに、歌詞が心に刺さるようになってきた。
この辺りから、もう完全にどハマりした。曲を聴いて、涙がこぼれることもあった。
ここでさらに、ある考えが思いついた。
人生で一度は、ライブに行ってみたい。
倍率高くて当たらないかもしれないけれど、だめもとで応募してみよう。
修士1年の秋に、BUMP25周年ライブ『Silver Jubilee』がツアーで行われると知り、慣れてない手つきで、ネットからチケットを申し込んだ。
そして、運良く当たったのだ。かなりの運を使い果たしたのかもしれない。しかもライブハウス。ライブハウスがなんなのかもよくわからないけど、当選した。
その時の記事はこちら。
トドメのライブ
人生初めてのライブが、この時のライブ。ライブハウスは、自分の想像しているよりもずっとステージとの距離が近くて、びびった。
え、こんな近くで演奏してくれるの??
画面でしかみてこなかったBUMPが、すぐそこで演奏してくれるなんて、正直すぐには信じられなかった。「てか、本当に実在するんだ」って感じた。
ライブのことをここで事細かに書かないけど、このライブでBUMPのことがさらに好きになった。
ライブのMCで語られることは特別なものだったし、またそれは楽曲の中でも伝えられていることと、一貫していた。
常日頃から本気でそう思っているから、それを歌詞にできるんだろうなあ。
歌詞の言葉が、嘘偽りのないことであると、ライブに行くことで確かめられた。
その後、3月1日の就活解禁日(ほぼ形骸化してるが)にも、もう一回ライブに行った。
周りに予定が合う子がいなくて、勇気を持って1人で行った。働きだしたら、滅多にライブに行けなくなるかもしれないので、このチャンスをものにしようと思った。
就活で不安しかない状態で聴くと、ガチ泣きしてしまった。1曲目のアカシアから、涙腺崩壊した。1人で行くと、隣に友達もいないので、はばからずに大泣きしてしまう。
声出し解禁もされ、変なことを叫びまくっている人もいて、笑ったなあ。セトリも、みんなが一緒に歌えるパートが多い曲が、たくさん入っていた。
ファンの方の熱狂ぶりをみていると、「ああ、やっぱり本物のバンドなんだろうな」って感じた。ずっとこれまで、たくさんの人を支えてきたんだろうなあって。
「BUMPのライブに行ける時代に生まれていて、よかった」
この時には自分の中で、BUMPはなくてはならない存在に、気づいたらなっていた。
こうして僕は、めでたくBUMPの大ファンになった。今でも、よくわからない歌詞はある。だけど、年齢を重ねるうちに、意味がわかるようになるかもしれない。
また、昔感じていたことと違って、歌詞が聴こえてくるのも、面白い変化だ。年齢、その時の状況で、歌詞の捉え方が変わる。
まとめ
BUMPの出会いから、今に至るまでを振り返ると、とんでもない分量になっていた。文字数の圧がすごいと思う。だって6年間のことを振り返ろうと思ったら、これぐらいの分量になっちゃう。星新一なら、綺麗に簡潔にまとめてくれると思うけど。
長々と振り返ってしまったが、最後に要点だけまとめようと思う。ここまでの話は、肉付きみたなもの。このまとめだけでも、持って帰って欲しい。
箇条書きでまとめると、こうだ。
自分の伝えたいことは、人にすぐに伝わらない
何度もメッセージを発信し続けることで、徐々にようやく伝わっていく
むしろ、じっくり伝わったものの方が、ずっと残り続けるのかもしれない
そのためには、長く伝え続けることが必要
身銭を切って生み出した言葉なら、なおよい
文字数が多くなり書いていて疲れたが、発信活動を続ける上で大事なことを、改めて自分でも再確認できてよかった。
とても長い期間、バンド活動を続けているBUMPだが、幼馴染でバンドをやっているのも大きいと思う。彼らのやりとりを見ていると、本当に仲が良いんだろうなあってつくづく思う。
今日の関ジャムで、BUMP特集がされるが、彼らの仲の良さがしっかりとお茶の間にも伝わるだろう。今日の夜までに間に合ってよかったー。予想の倍の分量になったからね。焦った。
今日の夜11:30からですね。夜遅いので、明日早い方は録画して見てみては。ちなみに、僕はライブで見ますけどね。なんのマウント。
ゆきぽこさんが、BUMPのアルバムを時代順にまとめておられたので、お借りします。
すごい!!めっちゃきれいに、まとめられている。
自分も知らない曲があって、知るきっかけになりました。
僕に勧めてくださった『銀河鉄道』も、良い曲でした!!
よし、超長い記事も書いたことだし、休憩にBUMP聴こ。
BUMPさん、今後ともよろしくお願いします。
おわり
ああ、そうだ。言い忘れてたことあった。
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