他者貢献はWin-Win
お正月に実家に帰省していた時、地元の市役所で働く兄から、絵を描いてほしいと頼まれた。
小学校の絵カルタに使う絵を、描いてほしいと頼まれたのだ。兄は、地元の大きな公園の絵をもうすでに描いていて、もうひとつ小学校の絵を描く必要があったのだが、「疲れたから代わりに描いてくれ」とのことだった。
正直なことをいうと、めんどくさかった。元日休みは、ぐうたら過ごしたかった。だけど、「どうせ暇だし、手伝うか」と、気持ちが切り替わって、小学校の絵を色鉛筆で描くことにした。
僕も通っていた小学校の写真を見ながら、まずは鉛筆で下書きを描いていく。真正面から撮った写真ではなかったので、遠近感を意識しながら描いていく。
下書きが出来上がっていく様子を見た兄は、「お、ええ感じやん」と一言。
「俺は疲れたから、昼寝してくるわ」
「色もちゃんと塗っておいてね」
「ガチで描かんでもいいけど」
2階の自室へ、昼寝しにいってしまった。
リビングにひとり残された僕は、学校の意外に複雑な構造に悪戦苦闘しながら、色を加えていった。
水彩画教室で学んだ配色のコツが、ここで活きた。ただ単純に空を青く塗るのではなく、オレンジなどの赤みの色をちょっと重ねることで、深みが出る。
気づいたらかなり集中モードに入っていて、1時間ぐらいぶっ通しで絵を描いていた。昼寝を終えた兄が2階からのそのそと降りてきて、完成した絵を見て、「お前に頼んで正解だったわ」と、ご満足の表情。
役に立つことができて、自分も嬉しくなった。
高校時代。ワンダーフォーゲル部(山岳部のようなもの)で、夏休みに、日本アルプスに登りに行った。
標高が3000m近くもある山だ。5日間ぐらいかけて、この日本アルプスを登って、下山する。通称、夏山。
僕のワンダーフォーゲル部では、この夏山が一番しんどいイベントだ。夏山が終わった後に、部活をやめようかと検討する部員が続出する。結局、ほとんどの人はやめないんだけど。
20kg前半の荷物を背負って、何時間も歩く。10時間なんて当たり前。もちろん、休憩も取りながら。標高も高いので、酸素が薄い。必ず、へばる人が出る。山登りのタイムがずっと上位だった自分も、体力に自信があったけど、この夏山はさすがにこたえた。
だけど、完全にバテた後輩よりは余裕があったので、その子の荷物をいくらか背負ってあげることにした。自分のザック(登山で使う大きいカバンのこと)がパンパンになって、肩に重くのしかかる。階段を登っている時、重みで後ろに引っ張られそうになる。
さっきバテていた後輩は、荷物が減ったことで、ペースを取り戻したようだ。休憩地点に着いた時、その子の水を自分が代わりに持っていたので、それを渡す。
「ありがとうございます、〇〇先輩」
肩がちぎれるかと思うぐらい荷物が重かったけど、助けになれたようで、自分もうれしくなった。
この2つのエピソードに共通することは、どちらも他者に貢献していること。それをするには、いくらか労力や時間がかかるけど、その後には深い充足感に包まれる。
他者貢献をよくする人は、幸福度が高いという話を聞いたことがある。他人も助けることができて、自分もハッピーになれるなんて、なんてWin-Winなんだ。
文章においても、他者に貢献できたらいいなと思いながら書いている。
うそ、文章書いているのはただの自己満。
そして最近、絵も描いている。
クレパスが実家にあったので、それを使って描くことにした。
入社するまでの期間、荷物を整理したりしながら、ちょこちょこ描いている。
はい。これもただの自己満です。
一度、大塚美術館に行ったときに、印象派の絵画を近くで見たら、いろんな色が重ねてあったのでそれを真似しました。
趣味に興じてないで、とっとと新生活の準備をしなさい。
それとですね、この絵は祖母にあげました。
「かわいい」って言いながら、喜んでました。
他者貢献できましたね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?