見出し画像

【料理人さんたちと田植え。】

「このご飯美味しい!」
バイト先でご飯を提供すると、本当に多くの方がこのようにご飯に感動します。それは、お客様の食べるスピードに合わせて料理人さんたちがタイミングを見計らってご飯を炊いているということ、美味しく炊けるよう下準備されていること、お米一粒一粒の輪郭がわかる美味しそうな盛り方であること、そしてこのお米を一生懸命作ってくださった農家さんがおられるからです。

5月29、30日にいつもバイト先で使っているお米の農家さんの所に行って田植えをするよ、と料理人さんが誘ってくれて、その日を楽しみにしていました。

29日、京都から長浜に向かって車で出発。

長浜に着いたら、お昼ごはんの時間でした。
お昼ごはんは鹿肉カレーです。
農家さんが「二頭もらったんだよ~」と言っていて、
「あ、鹿肉をもらったわけではなく、鹿をもらったんだ…」と理解するのに少し時間かかりました(笑)

そしてこの日は大雨だったので、餅つきをすることになりました。
もち米を蒸す良い香りが漂い、そして年季の入った、まるでさるかに合戦のお話に出てくるようなどっしりとした焦げ茶色の臼が出てきました。


お米を蒸している間に、よもぎを茎と葉っぱに分ける作業をしました。このよもぎを蒸して、その後にお餅をつくときに混ぜてよもぎ餅にするためです。たらいに沢山入ったよもぎを葉と茎に分けるのは、みんなでやるから楽しくあっという間にできたけれど、人数がいなかったら本当にすごい手間ひまがかかるなぁと実感しました。作業した後の手にはよもぎの香りがついていて、身体が自然と繋がったように感じて豊かな気持ちになりました。
(後から知りましたが、この後チェックが入って、もう一度この作業をやり直されたそうです。すみません!!来年は一発合格目指します。)


餅つきが始まり、みんなで交互につきました。初めはつかずに、お米を潰す「こつき」という作業が重要らしく、ここでお米を均一にしないと美味しいお餅にならないそうです。つく人と、合いの手を入れる人と気持ちを合わせなければできない餅つきでできたお餅は、みんなの想いが詰まっているように思えました。そんなつきたての熱々のお餅を手でちぎり、丸めて形を整えました。モチモチで幸せな気持ちになれました。


大根おろし餅にして食べたり、きなこ餅にして食べたり、よもぎ餅にあんこを包んできなこをまぶして食べたり…。次から次へと "つきたて" のお餅がくるので、ついつい沢山食べてしまいました。

夜はバーベキューです。胃袋が足りない…(笑)

ハマグリや羊、牛肉のフルコース


農家さんや料理人さんたちが沢山用意してくださいました。キッチンに料理人さんが集結して、お寿司を作ったりお肉を切ったり。想像をはるかに超える、贅沢なバーベキューでした。

料理人さんが切るイカ甘かったなあ
最高の二文字に尽きる

次の日、無事晴れたので田植えをすることになりました。でも、農家さんがいうには、ほぼやってしまったから、本当にちょっとしかないそうで、すぐ終わっちゃうよと言っていました。
でも実際は一反まるまる田植えをしました。ちょっととは??(笑)
農家さんのちょっとの感覚に驚きつつ、普段暑い中、コツコツ丁寧にずっと農作業されているのだと思うと本当に感服します。



手作業での田植えは、一列やるだけで腰が痛くなって、泥で足が重くなって、日がしっかり照ってくるから本当にすぐに疲れてしまいました。
今一緒に働いているオーストラリアから来た料理人さんに、
「How was rice planting?」(田植えどうでしたか)と聞くと、
「Now i see, why they developed machine.」(今やっとわかったよ、機械が開発された理由が)
と言っていました。全て手作業でやっていた時代はどんなに大変だったんだろうと想像するのも難しい時代ですが、私は運良く少しだけ田植えを手作業でするという体験を通じて、ほんの少しだけ、しんどさを知れたような気がします。
この農家さんは無肥料、無農薬でお米を育ててくれています。だから安心してお米本来の味を楽しめます。農薬をしない分、雑草が生えてきたり虫に食べられたりすると思うけれど、農家さんはおいしいお米をたっぷりくれます。その背景には、とんでもない量の苦労と努力があるんだろうなとしみじみ感じました。

農家さんの感覚を知り、そして楽しみも知ることができたこの一泊二日。

私はまたひとつ食の背景の声、想いを学ぶことができ、なんだか心温まって豊かになりました。これを共有していけたらなあと。


この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?