白無垢

さよならって受け止められないよ渇いたティーパック

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最近の記事

#5 思い出す事など

起き抜けコーヒーメーカーにスイッチを入れ、日課の一杯を飲み干す。特段用事はないが外に出る。春とはそういう季節である。 取り留めもなく最近考えたことを書き置く。いわば近況報告である。宛先のない内容だが、手を動かすことに意味があるというやつである。 やることがあると一層本だの映画だのに触れたがる。畢竟逃避だが、思いがけず走る方向が前だったと考えると気が楽だ。 悲喜交々をそれらを使わずして表現するのが詩だの絵だの音楽だのの本懐であるわけだが、先日その話をした時にそのことを”質量

    • #4 怖い話が好き

       理由はよくわからないが昔から「ホラー」というコンテンツが好きで仕方がない。ホラー映画に始まり怪談やお化け屋敷、以前はよくあった心霊特番なんかも放送があれば必ず録画をして観ていた。その中でも特に「怖い話」が大好きで、Youtubeに上がっている怪談朗読やネットに転がっている洒落怖話、最近なんかはX(旧Twitter)に挙げられている短めの禍話を漁っている。  そんな根っから怖いもの大好きっ子ちゃんの私であるが、盛りそれらにハマってしまっていたのは浪人時代であった。ネット上に知

      • #3 やさしいことばたち

        題材を悩んだり推敲したりしたおかげで随分と間が空いてしまったが、決してサボっていたわけではないことを先に言い訳させていただきたい。煮込み料理と同じで寝かせた方が味が出ることもあるのが文章という奴である。 身の回りに、なんとなく『やさしい言葉遣いだな』『ふんわりした喋り方だな』と思わせてくれる人は居ないだろうか? 例えば…と言って形容するには少し難しいニュアンスではあるが、なんとなくそう思わせてくれる言葉で生きている人というのがちらほら居る。そういう人は街角の店員さんだったり

        • #2 名辞以前の感情の話

          名前がない感情というものがあると思う。 悲しいことを『悲しい』と思う前、怒りを『怒り』にする前、私たちの中には言葉の輪郭を持たないわやっとした感情がなんとなく存在する。 なまじ歳をとると知っている言葉が増えていってしまうから、自分の感情に名前をつけるのが上手になってきてしまう。もしかしたら、それが大人になるということなのかもしれない。 言葉を知らなくとも、きっと感情はあるだろう。赤ん坊も笑うし犬も怒るのだから。それを単なる生存本能上獲得した生理現象としてしまうとなんとなく色が

        #5 思い出す事など

          #1 水差など

          読むのが好き、ということは無論書くこともするわけである。 しかし悲しいことに自分が白紙に書く文字列はどうも自分の思い通りにはいかないのが常である。もっと肩に力に入っていない、なんというか、こう…夜中の独り言のような徒然とした文章や、指の隙間をするりと通り抜けてしまうような蒼然とした文章が好きなのに、気づけば厭に堅苦しい熟語や収まりの悪い言い回しが雑多に羅列したような肥大した自尊心と中途半端な教養がこびりついたような文章をいつも生成してしまう。既にその手癖が顕現している次第で

          #1 水差など