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【MDC増刊号】第一回むっくんのアシストのすばらしさを語るだけ会議【東京Vvs岡山】


※サムネイル画像はJリーグ公式サイトから


皆さまお忙しい中お集まりいただき有難うございます。今回のヴェルディ戦は現地に見に行ったのですが、むっくんのアシストが最高過ぎたので、感想記事はむっくんのアシストの話一点のみに絞っていきたい、ということをちょっとした茶番形式で展開します。よろしくお付き合いくださいまし。


それでは、本日の議題です。


1.開会のあいさつ
2.むっくんアシストの概要
3.むっくんアシストの詳細
4.むっくんアシストの展望
5.閉会のあいさつ



1.開会のあいさつ

これより、第一回「むっくんのアシストのすばらしさを語るだけ会議」を始めます。

この会議は、

①むっくんがいかにしてアシストを達成し、チームの勝利に役立ったかを解き明かすことで
②むっくんのかわいさ、かっこよさ、そのほかもろもろの魅力を再確認するとともに
③その活動を通じて、むっくんのみならずファジアーノ岡山というクラブ全体に対する理解を深め、ラブ、リスペクト、そしてラブの輪を広げてゆくこと


を目的として開催されます。本日はその記念すべき第一回であり、シーズン後半ということにはなりましたが、無事開催の運びとなりましたこと、御礼申し上げます。

それではさっそく、本日の議題となる7/7日東京V戦のアシストについて議論していきたいと思います。



2.むっくんアシストの概要


まずは本日の議題となるむっくんアシストを下の動画でご確認ください。




今回のむっくんのアシストは、アウェイでの東京V戦の後半14分、斎藤選手のパスに走りこみ、トラップすることなく直接ゴール方向へと低い弾道で蹴りこみ、逆サイドから走りこんだ仲間選手に合わせたボールになります。

我慢の展開の中での一発。5/27以来の久々の勝利をもたらした決勝点。もちろんそれだけでも素晴らしいゴールでありますが、このゴールにはそれ以上に、内容的にも大きなゴールであり、今季ベストゴールの一つであると有権者の皆様に申し上げたい。ということが発表の要旨であります。次項でその根拠を説明いたします。




3.むっくんアシストの詳細

このゴールが如何に素晴らしいものか、その根拠を説明いたします。結論から申し上げると、このゴールは「チーム全体の戦術的な統一性と一貫性」が「個々の選手のそれぞれ異なった高度な技術」によって実現されたゴールであり、すなわちそれは、チームが「勝てるパターンを見つけた」と言えるものであります。

どのあたりにそれらが見えるのか、順を追って説明していきます。

以下、画像はJリーグ公式youtubeからの引用です。




①塚川選手のサイドチェンジ→斎藤選手のボールキープ


まずこのゴールシーンは岡山陣内に攻め込んだ東京Vからボールを得たところからスタートします。速いリスタートによって塚川選手が相手の守備が整っていない人数の少ない状態で斎藤選手にボールを送ることに成功しました。




図1.斎藤選手がサイドチェンジを受けた時の状態。相手が少ない状態でサイドに開くことで斎藤選手の勝率を上げるという攻撃はカウンターの形として一貫した戦術となっています。イ・ヨンジェ選手が元気だった頃に多様していましたが、斎藤選手と仲間選手のフィットによって復活したようです




②斎藤選手のカットイン→むっくんのスプリント

塚川選手からのロングパスを受けた斎藤選手はゴール方向にトラップすることでスムーズにゴールに向かうドリブルに移行します。これによって対応する東京Vの奈良輪選手(平時はむっくんをマークしている選手)がゴール方向へ引き付けられます。斎藤選手のトラップが奈良輪選手の進行方向と逆向きになってしまったのでやや後手を踏んでしまいました。【図2】




図2.斎藤選手がゴール方向にドリブルすることで、対応した東京のSB奈良輪選手をゴール方向に引っ張ります。横と縦の2つの視点から。むっくん猛然とダッシュ。



そうすると、むっくんが攻め込めるスペースが【図3】のように空いてきます。それを事前にわかっていたむっくんは一気にスピードを上げました。



図3.斎藤選手のドリブルによって本来奈良輪選手のいるべき場所が空き、そこにむっくんが走り込みます。どフリー。前節金沢戦でも繰り返し見られたチャンスの形。




③むっくんクロス態勢→仲間選手のプルアウェー、伊藤選手のスプリント


ここでフリーになったらどうするか。塚川選手のパスと斎藤選手のドリブルによって生まれたアドバンテージ=相手の選手が戻りきるまでの一瞬の時間と空間の隙間、を活かしてゴール前にクロスを送り、それに合わせてゴールを狙います。

具体的にどこで合わせるか。【図4】を見てみましょう。



図4.むっくんがフリーになったことで、東京の4人のDFが全員むっくんのほうに目線が移ります。そのため、両CBの間と逆サイドのCBとSBの間の監視が外れている状態。ここにサイドで体を張ったFWの斎藤選手の代わりにシャドウの仲間選手と伊藤選手が飛び込みます。



このとき、【図5】を見ると、別角度からの映像を見ると仲間選手はマークにくる井林選手に対して視野から逃げる動き(プルアウェー)でマークを外しています。この動き、動画でぜひ見直していただきたいのですが、完全にストライカーの動きで超びびりました。井林選手はむっくんのクロスと、クロスに合わせるはずの仲間選手とを同時に見ることができなくなり、とるべき体勢が難しくなります。

同時に、伊藤選手もゴールを狙うため走り込み、これもおそらく井林選手の視野に入ったことでより難しい判断を迫られたことしょう。なお、このとき伊藤選手は仲間選手の斜めに入り込む走りをみて進路変更し、奥へと走る判断に切り替えています。これが最良の結果に結びつくことになりました。仲間選手と同じくらい褒められてほしいファインプレーでした。



図5.むっくんのクロスに対する両軍の様子。仲間選手は一度井林選手の後ろに逃げることで自分の思うがままにゴールを狙うことが可能となりました。また、伊藤選手も畠中選手がむっくんを見ている後ろからゴール前に侵入しようとしています。このため、井林選手は、むっくんのクロス、伊藤選手、仲間選手の3つの目標を同時にみなければいけなくなりました。



④仲間選手のゴール→こぼれだまに備えていた斎藤選手、塚川選手、三村選手


むっくんのチョイスは低い弾道のクロス。井林選手は仲間選手と伊藤選手のマークのため岡山方向に身体が向いた状態となったまま、自身の後ろ側に飛んでくる低い弾道のクロスに対応しようとしたことでバランスを崩してしまいます。それによって競ることができず、仲間選手がばっちりヘディングで合わせることができました。



図6.むっくんのクロスは気にしていた仲間選手と伊藤選手の方向の反対側から低く速く飛んできたため井林選手は体勢を崩し満足に競ることができず。それが仲間選手の完璧なヘディングを演出しました。


図6のおまけ。ご覧の通り(ブレまくりですが)、井林選手は競ることができず。走りの質とクロスの質で身長差を制しました



つまりは、塚川選手のロングパスのうまさ、斎藤選手の強さ、仲間選手のスピードとゴール前の駆け引きのうまさ、伊藤選手の判断力の高さ、そしてむっくんの走力とクロスの球質、これらのすべてが完璧に噛み合ったことで生まれたゴールなわけです。ベストプレーしかないゴールでした。

さらにすばらしいことは、このクロスがゴールにならなかった場合の備えもきちんとあったことです。仲間選手、伊藤選手が決めなかった場合このクロスがこぼれるであろうスペースには手前から奥にかけて斎藤選手、塚川選手、三村選手が攻め込んできています。これらの攻撃がゴールにかかわった選手たちが偶然思いついたわけではなくチーム全員の一致した狙いであったという状況証拠といえましょう。



⑤これらのスーパープレーが偶然ではないという選手コメントによる裏付け

繰り返しになりますが、このゴールの素晴らしい点は、これらの連携プレーがデザインされていたという点にあります。初めからそのように得点するという狙いを持って行われていたわけです。それはこの試合のコメントから読み取ることができます。以下ファジアーノ岡山公式サイトから引用します。


奪いきることはできていたがその先が少し詰まっていた感じだったので、そこだけ整理して後半に入っていった。スムーズに流れ始めて一つ、二つ来るかなと思ってたが、ジャストであそこにボールが来たので、論理的な得点を選手たちが作ったと思う。(長澤徹監督)
最近クロスからの練習をしていて、椋原選手がいいボールを上げてくれたので合わせるだけだった。(仲間選手)
(得点のアシストは)齊藤選手がいいボールを落としてくれて、僕は中を見ないで蹴った。中の選手を信じてあそこにいいボールを蹴ることだけで、そこに選手が入ってくると信じていた。よく仲間選手が大きな選手に競り勝ってくれたなと。(むっくん)


相手が戻るよりも早く斎藤選手にあずけてむっくんが上がるスペースをつくることで、あそこにフリーで飛び込むことができる、という監督の計算があり、それが選手の共通理解となるように事前に準備していたということを読み取ることができます。

「事前に準備されていた」ということがなぜ素晴らしいかといえば、それは「再現性がある」、つまり、どこが相手でも、同じ状況を作ることができれば得点を挙げることを繰り返すことができる、からです。いわゆる「勝ちパターン」にすることができるわけで、特にセットプレー以外の得点源の少なかった岡山には画期的な出来事といっていいのではないかと、とらえています。



4.むっくんアシストの展望

ここまで見ていただいた動きはこの試合に限ったものではなくて、斎藤選手のサイド流れ→仲間選手、伊藤選手のサポート→むっくんや三村選手の攻撃参加という形はここ最近の試合で見ることができているものです。

ですが、ここまで連携が素早く各プレーの質の高かったものはなかったように思います。継続して高めていったことでようやく勝利という結果に結びついたことは大きく、明確なチームの「勝ちパターン」として自信を深めることになったのではないでしょうか。

4月以降模索し続けていた斎藤選手、仲間選手の強みをチームとして活かすためにたどりついたひとつの答えといえるはず。チームはより攻撃的にふるまおうとして攻守ともにパフォーマンスが不安定になってしまっていましたが、今節では(PKになりそうなファウルが2回くらいありましが)ようやく安定したブロック守備も披露できており、いいバランスが見つかってきました。チーム全体のパフォーマンス低下とともに厳しくなっていたむっくんも一転、中心的活躍と評価できる試合が続けることができています。

あとは、やはりちょっと相手のSBが上がってきた時の守備の寄せ方がやや甘いので、後藤圭太さんとの協働を進めていきつつ、本人の言うとおりにタイミングを磨いていく作業が必要になっていくでしょう。結構な足踏みをしてしまいましたが、大分や山口も苦しんできており上位は混戦模様ですので、ここから連勝を重ねることができれば、再び上位戦線に返り咲くこともまだまだ現実的です。ようやくむっくんが攻撃面で成果を上げつつあり、またそれはチームの徹底した狙いの中にあるわけなので、この調子でKUNRINしてくださればと思います。2試合連続と言わず、絶対斎藤さんの裏からアシストするマンとして歴史を作っていってほしい。



5.閉会のあいさつ

今回議論した通り、この決勝点は悪循環に陥っていたチームを一転して好循環に導きうる意義を持ったゴールであったといえるはずです。このような最高のゴールに立ち会うことができた幸運は何物にも替えがたい。プライスレスむっくんであります。

本会議の次回開催は未定ですが、この調子でむっくんにはガンガンゴールと勝利を演出していただき、岡山にラブとピースをもたらし続けてくれることを祈念しております。

長らくのご清聴誠にありがとうございました。これをもちまして閉会とさせていただきます。


それでは。