「人が減っていく国」で生きていくということ

先日、近所のドラッグストアに、生理用ナプキン(いきなりこんなネタですみません)を買いに行った時のこと。
棚に、「ウィスパー」がない!
このサイズが品切れ、とかではなく、シリーズが一つもない!
(特に男性には??かもしれませんので、簡単に解説。
「ウィスパー」とは、P&Gが出している生理用品のブランド名です。
この商品カテゴリーは各社色々なサイズ(というか用途)のものを一つのブランドでシリーズとして出しています、まあオムツみたいなもんです。)

とりあえず別のブランドのものを買って外に出るが、どうも気になる。
ツルハ(行ったのはツルハでした)の問題?P&Gとツルハで何かもめたとか?

で、思わずググってみて判明した衝撃の事実がこちら。
↓↓↓
なんとウィスパーは、今年3月で国内での販売を終了していた!!
(出典はこちらの記事

私、長らく愛用者だったんだけどなぁ。しばらく、このカテゴリーのユーザーじゃなかった(えっと、妊娠して、不要だったわけです)間に。知らんかったーー!!

消費者としては遠のいていたから、まあ知らなかったのは仕方ないとして、
私、世の中の動きに疎くなりすぎじゃないか?!(育休中で子どもの世界にどっぷり)ちゃんと新聞読まにゃ。
と焦ったものの、どうやらこういうのは正式にニュースリリースされるものでもないらしく、調べてみてもP&Gのサイトにはその情報はなかった。
先ほどの記事(今年5月掲載)には、その旨を告知していると書いてある商品ページ(ブランドサイト)も、現在(10月31日現在)もはや存在していない模様。P&Gの製品一覧ページからもきれいになくなっている。
新聞とかにはちゃんと取り上げられていたんだろうか?
その辺は不明だけど、先の記事(本件に関して私の唯一の情報源w)の雰囲気からすると、人知れず、しれっと消えていた感を受ける。

と、ここまでは前置き(前置きが長い。すみません)。

生理用品なんかの話を、憚らず、わざわざ書いているのは。この事実に、なぜだか私、結構ショックを受けて。何がそんなにショックだったのか、考えてみました。

市場の魅力と生活者として受けられる便益の関係

P&Gが生理用品の国内販売を終了したというこの事実。この商品の市場で考えれば、「世界のP&Gが、日本市場で破れた」ということ。

でも。これは同時に、「世界のP&Gが日本市場を捨てた」ということだと感じたのです、私は。私には、日本が、P&Gに「捨てられた」というか「見捨てられた」という気がしたのです。この「見捨てられた感」が私が受けたショックの根幹にあったと思うのです。

改めて、先ほどの記事より、販売終了についてのP&G担当者のコメントを引用する。
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担当者「将来の日本市場でより成長が見込める事業に、集中して投資していくためです。日本で多くの方々にご愛用いただいた『ウィスパー』の販売終了は苦渋の決断でしたが、今後は他ブランドに注力するのが適切だと考えました」

担当者「販売終了については、利益面だけでなく市場のシェアや今後の成長性など、あらゆる分野を総合的に判断して決めました。特定の原因があったわけではありません」
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ふむ。いくら日本が少子化であっても、シェアの高いオムツからは撤退していないわけで。確かにおっしゃる通り「総合的な判断」であって、あくまで事業の選択と集中という戦略の一環ということ。「世界のP&Gが日本市場を捨てた」のは、あくまでこの一商品において、でしかない。

でも。
こうやって、日本では買える物が少なくなっていくという現実
まあ別にナプキンは、どうでもいいんです、実際のところ。
問題は、こうして色々なことへのアクセスが制限されていくこと
今後色々な側面で、こういうことが起きていく可能性があるということ。だと思う。

プレイヤーとしての日本の存在感低下については、もう随分前から言われてきた。
「世界の企業の時価総額ランキングで、上位にくる日本企業はないですねー」、「中国企業に抜かされてますねー」、ってやつです。

一方で、市場としての日本の魅力
っていうか、一生活者として享受出来る便益
これが減っていくって、自分自身で思ったこと、これまであまりなかった、実のところ。
だからショックだった。

日本が、魅力的な市場だったら、「いまはシェアが低いけど、頑張っていい商品を開発してシェアを取り戻そう」ってなっていたのかもしれない。
しつこいけど、ナプキンは、どうでもいいんです(そもそもこれ以上改良必要あるのかってくらいのところまで各社来ていると思うし)。ありとあらゆる事柄で、こういうことが起きていく可能性(危機)を感じてショックなわけです。
投資する価値なし、と思われれば、その市場ではもう改良も進歩も革新も起きないよね、そりゃ。

過疎化が進む地方ってこんな感じなのかな。
お店がどんどんなくなっていく。
東京で暮らしてる私は、正直あまり実感したことがなかった。

世界からみたら日本人はマイルドヤンキー

もしかすると問題の本質は、
今後日本ではいろいろなことが制限されていくという事態そのものではなく、
私(多くの人も??)が、そのことに気づかず、何も意識せず、安穏と暮らしていることなのかも知れない、という気がしてきた。

知らないだけで、今すでに、もしかしたら、ニューヨークはもちろん上海(たとえば)では、今、東京にはない、もっと便利な商品やサービスや、エンターテイメントや・・・・があるのかも知れない。
教育だってそうだ(それは気づいていたけどね、薄々。。。)。

Uberが普及してない。とか、あるけれど、それは規制が原因で(それはそれで問題!)、人口が減ってくイケテナイ市場だからではない。
けど、成長が見込まれないという理由で進出が果たされていない色々なこともあるんだろうか。残念ながらきっとあるんだろう。

「人が減っていく国で生きていく」ってこういうことなんだ。
頭ではわかっているつもりだったけど、実感として感じたことが、なかった。

世界からしたら、日本って過疎化が進んで衰えていく国ってことだ。
その中で、安穏と暮らしている。

ああ、これって「マイルドヤンキー」だよね。(「マイルドヤンキー」の解説はこちら

日本の中で、日本って素晴らしいよね、海外の人も日本のこと好きだよね、っていうコンテンツ(TV番組とか)が多くなって久しいけれど、
それは、上京志向はないマイルドヤンキーが、地元が好き、地元最高!って「地元愛」に溢れて、地元の仲間とつるんで暮らしているのとほぼ同じ状況なんだと思う。

衰退していく国で、収入は低いけど、自国愛が妙に強くなりながら、中の人たちは結構平和に暮らしている。
グローバルな社会の中でマイルドヤンキー化する日本人

マイルドヤンキーの提言者の原田さんが言っている「彼らが存続するかどうかは、生活圏内にある程度の雇用が確保できるかどうかにかかっている」という言葉(先の解説サイトより引用)も、日本にそのまま当てはまるよね。
「日本人(の安穏とした暮らし)が存続するかどうかは、日本国内にある程度の雇用が確保できるかどうかにかかっている」っていうことか。そして、そのある程度の雇用が確保され続けるかどうかは不明、というか、多分微妙。。。

「自分で選択できる」状態でいられるように

こうやって未来の社会を考えるとき、
子供が生まれてからは、自分の将来というよりも、我が子の将来のこととして考えるようになった(当たり前かもしれないけど)。

それ(マイルドヤンキー化しながら日本で暮らす)で良いじゃん、という考え方もあると思う(現在の社会レベルがずっと維持される保証は全然ないけどね)。
そういう生き方も幸せなのかもしれない。
全部わかった上で、自分でそれを選択するなら、それで良いのかもしれない。

だから。
我が子には、自分でその選択をできるようにしておいてあげたい。と思う。
自分で自分の道を選択できることが、「豊かさ」なのだと最近思います。

そのために必要なことって、

他の選択肢を検討する視野の広さ(日本に篭らず「世界を知る」的なこと)
・いざ別の選択肢の方が良い、となった時に、その選択肢を現実的に選択できる素地(まあ、とりあえず英語とかなんでしょうかねぇ)

とかでしょうか。子どものために何がしてあげられるか。
まだまだ先だと思いがちだけど、ちゃんと考えないとなぁと思うのでした。

ウィスパーが棚にない!の驚きから始まって、我が子の教育に思いを馳せたところで、今日は終わりにします。

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