【読書】マーティン・ラヴァリオン「貧困の経済学 上」

マーティン・ラヴァリオン氏による「貧困の経済学 上」という本を読んだ。超難解。経済学を専門としている大学院生であっても簡単には読めないのではというレベルだと思ったので、ましてや自分なんてほとんど理解できなかった。

理解できない理由として1つ挙げられるのが、貧困の定義の難しさである。年収100万円以下の人を貧困としてみなすのか(絶対評価)、日本人の平均年収の半分以下の人を貧困としてみなすのか(相対評価)など、貧困の定義の仕方は一様であるとは言えず、結局どの指標に着目すればよいのだろうかという思いを抱いてしまった。

ただ考えさせられる点ももちろんあって、貧しい人が生きている場合よりも生きていない場合のほうが貧困度は低いということである。もし貧困を減らすことを目標とするならば貧しい人を追放するほうが良いということになるが、これは決して倫理的に許されることでもない。また、一番貧しい人を1人ずつ追い出していけば、いつか自分が追い出される日が来ることになる。

貧困の定義は多様で信頼ならないので貧困の議論をしても無駄である、ということにはならないよう、なんとかコンセンサスが得られれば良いと思った。

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