【読書】中原淳「残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?」

中原淳さんの「残業学」という本を読んだ。日本で長時間労働(残業)が未だにはびこっている原因を指摘した上で、その解決策を提示することを目指した1冊である。残業に関する議論は個人の経験談など定性的なものになりがちであるが、本書は大規模調査データに基づく定量的な議論を目指している点に特徴がある。

個人的には203ページ目の記述が興味深かった。残業をやりまくっているうちに残業への負の感覚が麻痺すること、その結果残業をやりすぎた状態が習慣になってしまうこと、それが他の社員へと伝染すること、それを見た部下が残業習慣を受け継ぐこと。以上のメカニズムで、長時間労働というカルチャーが維持されている指摘は興味深かった。

一方で、本書の売りどころの1つであるデータに基づいた議論という点では物足りなさがあった。一般の会社員向けの新書であり詳しい分析などは記されていないので、どういう分析をしたんだろうという箇所がいくつかあった。また、カギ括弧がやたらと多いのも気になった。5行に1回ぐらいはカギ括弧が登場するのではないか。却って読みにくかった…。

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