【読書】キャス・サンスティーン「入門・行動科学と公共政策: ナッジからはじまる自由論と幸福論」

「入門・行動科学と公共政策: ナッジからはじまる自由論と幸福論」という本を読んだ。難しい。ナッジは少しの仕掛けで人の行動を変化させるという取り組みであり、仕掛けと行動の関係が実験的に検討されてきた。一方で、ナッジを用いることは人々の幸福を増大させるのか、人々の選択の自由を奪ってはいないのかといった哲学的な議論も避けては通れない。本書はナッジの哲学について描かれた本であり、それ故に抽象的な議論が多く難しかった。とりわけ、選択の自由があるからこそ自分の好みに沿った意思決定ができるという議論と、そもそも人々にはバイアスがあり好みに沿った意思決定ができないのだから選択の自由を完全に与えることは却って危険だという議論との間にジレンマがあり、その点の記述が難しかった。コンパクトなのに侮れない1冊。

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