【読書】小熊英二「論文の書き方」

「論文の書き方」という本を読んだ。熱い。ジャーナリズムではなく科学をやっているんだという自覚と、科学は不完全なものであるという謙虚さのバランスが好きだった。

ジャーナリズムとアカデミックの違いは、後者の場合にはこれまでの研究ではここが足りないという所を指摘することが求められる点、つまりこの論文を書くことが世界にどのような知をもたらすかを明確に記すことが求められる点であろう。ジャーナリズムではこれまでの報道とどこが違うかを明確にすることは求められない。むしろ、後追い記事の場合は他の報道と重なってしまうこともあるかもしれない。

科学の不完全さについての自覚も特にあとがきから伝わってきた。世界を完全に把握できたら、次の研究を進める必要がなくなってしまう。これまでの研究に限界があり世界に謎があるからこそ、研究を続けていく価値が出る。不完全だからこそ研究は面白いと言っていて、納得できるものであった。

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