【読書】キャス・サンスティーン&ルチア・ライシュ「データで見る行動経済学 全世界大規模調査で見えてきた『ナッジの真実』」

「データで見る行動経済学 全世界大規模調査で見えてきた『ナッジの真実』」という本を読んだ。ナッジに対して賛成の人が多い国と賛成の人が少ない国があって多様ですよという話と、ナッジを使うにあたって注意するべきことが書かれていた。

日本人とアメリカ人をざっくり比べると、アメリカ人の方が自分の行動は自分で決めたいと思っている、逆に言えば日本人の方が周りに合わせたりルールに従ったりすることに抵抗がないのだから、そのことを考えるとアメリカ人の方がナッジに反対であると予想される。ナッジはちょっとした仕掛けで人の行動を変えてやるということなのだから、アメリカ人はナッジなんかによって自分の行動を変えられたくないと思っているに違いないだろう。しかしデータはそんなことを示しておらず、むしろアメリカ人は日本人よりもナッジに賛成している、というか日本人が異様にナッジに対して反対しているということが示されていた。

では、一体それはなぜなのだろうか?筆者は政府に対する信頼が問題であると主張している。つまり、政府はちゃんと仕事をしていて私利私欲にまみれた官僚なんているはずがないというふうに思っている人(政府を信頼している人)は政府がナッジを用いて国民の行動を変容させることに反対しない。一方で、政府は国民を動かして私利私欲を得ようとしているとかそもそもどのように国民の行動を変容させることが全体的に最適であるかを理解していないだろうというように、政府のことを信頼していない人はナッジに対して反対するだろう。著者たちは日本人は政府のことを信頼していないために、ナッジに対して反対しているというように論述していた。

その他、ナッジを用いるにあたって守るべきルールなどが書いてあったが、それは比較的no surprisesなので、流し読みでも良いかなと思った。

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