【読書】稲葉なおと「ホシノカケラ」

稲葉なおとによる小説「ホシノカケラ」を読んだ。B'zの稲葉さんのいとこが岡山県津山市出身のボーカリストについて書いた小説ということで、どうしてもB'zの稲葉さんを作中のボーカリストとして想像してしまった。

ただ本作の主人公はボーカリストではなく、むしろ裏方である。具体的にはライブ会場を設営する人たちで、より良いライブ会場を作るために徹夜に次ぐ徹夜の日々が描かれていた。会場設営というのは短い期間で終わらせないといけないのでどうしても短期集中の業務になってしまうのであろうが、徹夜してまで労働し続けるという記述はあまり好みではなかった。

もちろんこうした労働に対してポジティブな記述は行っていなかったが、ネガティブな結果が起こった点についても描かれなかった印象である。「風は西から」という小説では過度な労働に伴う負の結果が描かれていたのを読んでいるだけに、スタンスの違いが際立った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?