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一種のマイノリティの話『いちばんすきな花』

昨年話題になった『silent』の製作陣による新作ということで、放送前から期待値が高めだった『いちばんすきな花』。
藤井 風の主題歌も相まって話題性は抜群だ。

『silent』は乗り遅れてしまって見ずじまいだったので、幸か不幸か私自身は比較できない。
第1話を見終わって、これは学校で二人組を作れなかった40人に1人(か男女別で2人)の話で、ほとんどの人はこの1人か2人を作り出していた側なんだから、万人受けはしないだろう、と思った。
私自身はいわゆる「転校生」であり、クラスや部活の中心的な位置で他の人を見下したりするグループとは相性が悪かったので、よくぞこの視点にフォーカスしたな!と膝を打ちまくった。

ドラマが数話進むと、X/Twitter上でそっと「脱落した」という声が出てきた。ここまでは予想通りだ。
が、先日こんな内容の投稿が目に飛び込んできた。
主題歌がこれじゃなかったら2話目から見なかったと言いディスった挙句、追加で、無理して見てますアピールじゃない、いろんな意見を出すのもドラマの狙いだろうから見届ける、と。

これが主題歌推しから出てくるところが謎だし、共感する人が150人とかいてびっくりする。
夜々ちゃんや紅葉くんの周りの人たちと変わらないじゃない。このタイプの人は子供や孫がいる年齢でも変わらない証のようでもある。

誰もが多くの人と同じように鈍感だったり自己中だったりはしない。自己肯定感って言葉が流行ってるけど、なんでもそれにすり替えるのはどうかと思う。
割合的に少ないいわばマイノリティである感受性が高く押しの弱い人を、無意識のうちに排除してないですか?

いちばんすきな花批判派は、年齢とともに、仲良しになるところまではいかなくても、受け入れられるくらいに心を広げていこうとはしないのかな。
マイノリティ側は、生きていく空間を求めてもがき続けているのだから。

折しも、12/4の新聞のドラマ紹介欄に『いちばんすきな花』が載っていた。
プロデューサー曰く、「ひそかに苦しんでいたトラウマみたいなものを、大丈夫だよ、あなただけじゃないよ、と背中を押すような優しい物語。4人を見守ってほしい」と。
そう、これはこの4人の側の人たちを掬い上げる物語なのだ。製作陣は言われなくても分かっている「いろんな意見」よりも、こっち側を掬い上げられたかどうかを知りたいだろう。

主題歌『花』だって、ドラマに合わせて急にこんな歌詞を書いた訳じゃない。X/Twitterをやめてしまった藤井 風は、今まで角度を変えながら、ずっと同じことを歌ってきていることを、ファンなら当然知っているはず。

「みんな尊い」んだよ。

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