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ストリートピアノには人生が詰まっている

以前ピアノについてちょっと書いたことがあるけれど、私は今、子供の頃に10年ほど習っていたピアノをまた弾き始めている。

あまりにも長い間弾いていなかったので、そう簡単には指は動かないだろうとは思っていたが、ヘ音記号の音符までも読めなくなっていた。ガーン。

弾きたい曲はかなりレベルが高い。すぐにその曲を練習しても手も足も出ないよ、これは。という訳で、新たに買い求めた電子ピアノについてきた曲集の中にあった、昔弾いた比較的簡単な練習曲で指慣らしから始めた。

元々中級レベル止まりでクラシックしかやってこなかったので、コードは分からないしポップスの弾き方も分からない。

一番弾きたい曲はハードルが高すぎるから、最初にチャレンジするのはもっと弾きやすい曲に変更した。譜面を目の前にして動かない指と何日も格闘して、何とか最初の8小節を弾けるようになったときは、夫も驚いたが、自分が一番驚いた。

弾けたことに驚いただけでなく、いつも聴いている曲の音を自分で出してみると、まるで体内に電気が流れるかのように音が駆け抜けるのだ。

なにこれ!!

クラシックピアノしかやってこなかった私は、コードは分からないとずっと諦めていた。ところが、突如コードを覚えたい衝動に駆られ、楽器店にハノンを買いにいった折、一緒に初歩的なコード練習本も買ってきてしまった。

毎日はピアノ練習できないけれど、ゆっくりでも前進していくのが嬉しくてたまらない。これが大人ピアノの醍醐味なのか。

こうなると、大人ピアノ仲間の皆さんの様子が知りたくなってSNS等にアップされているピアノ投稿を聴くのが楽しい。できうるならば、上級者だけでなく中級者が頑張っている投稿が増えてくれると、私のやる気も大幅アップするので嬉しいのだが。

そして最近、ふと、そういえばNHKで「駅ピアノ」みたいな番組やってなかったっけ?と思いついた。番組表を見てみると、「駅ピアノ」と「空港ピアノ」という番組があったので、さっそく録画して見るようになった。

これがめちゃくちゃおもしろい。

世界中のいろんな人がポロロンと弾く音を聴いてみたいな~くらいの軽い気持ちで見始めたのに、ほんの数分の映像の中に弾いている人の生活・人生が映っていた。

元ミュージシャンというプロもいれば、長年趣味で弾いているという一般の人もいる。びっくりしたのは、ピアノを独学で覚えたという人の多さだ。独学で自作の曲を弾く人までいる。

レベルも年齢も国籍もさまざまだが、みんなそれぞれの人生の中でピアノを楽しみ、音を奏でる悦びに満ちている。そこには、上手い下手は関係なくて、音を楽しむという本来の音楽の姿が映し出されている。

今は残念ながら、気軽に街中に出かけてストリートピアノを弾くような状況ではないでしょう。私も人通りが多そうでいて実はそれほど誰も聴いていないストリートピアノがある場所を知っている。もっと練習してちゃんと曲が弾けるようになったら、あのひっそりとしたピアノを弾いてみたいな、なんて思っている。

楽しさが伝わるピアノ。下手でもそんなピアノを目指したい。

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