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ベルリン:ドイツ人のアイデンティティ森を駆け回る

人間は花より男子って言うけど、あたちはごはんより散歩。とにかく散歩が命!夏のベルリンは大都会とは思えない大自然の中で走れるから大好き。総面積約890平方kmのベルリン市のうち、およそ30%が森林や公園だそうだ。
(東京都の36%も悪くないのだけど、きっと多摩やあきる野市の山々で稼いでいると想像する)しかも、湿度のない夏は日差しは強くても木陰を通り過ぎる風は最高そのもの。

今日も行きたい!3つのリリおすすめ散歩スポット

1.〈ティーアガルテン Tiergarten

有名なブランデンブルグ門をくぐってから歩いて5分。ニューヨークでいえば、Central Park、東京で言えば新宿御苑的な存在。来歴も似ていて、もともと貴族の狩猟地が18世紀に公園として整備されたそう。ただし、違いはCentral Park(3.41 km²)のほぼ1.5倍の5.17 km²。なんと新宿御苑(0.58 km²)の10倍・・・!わぉでっかい。あたちもここで走ったら、ドイツの犬になったような気がする。

芝生も雑草多くてワイルド

手入れのされた芝生が広がる一方で、公園内の道はうねうねと無数に広がりまるで森を走るかのよう!ちなみに、ベルリンの犬たちはほぼノーリード。自由に思うがままに走り回ってるの。あたちは鳥を追いかけすぎて、リードオンに。

2.〈ヴィクトリア公園 Viktoriapark

クロイツベルク (Kreuzberg)地区にある、滝があるヴィクトリア公園。周辺のエリアはアーティストやオシャレなカフェやバーがたくさんあって、若者に愛されている元気なエリア。

ヴィクトリア公園内も独特で66メートルの高さの滝が目印。夏の週末の夕方ともなれば、近所の子どもも若者も滝を登っている・・・。さらに、公園内には2つのぶどう畑があって今も地元ワインを作っているとか。

おねえちゃんは時差ぼけがすぎて写真を撮り忘れたゆえ、画像サーチに助けてもらったよ

おねえちゃんの叔母ちゃんのアパートはこの公園のすぐ横。昔はビール工場だったところが、古い外見はそのままに、リノベされて素敵な住宅エリアに変貌。日本の再開発は高い建物に生まれ変わっちゃうことが多いけど、さすが石造の建築文化。手間や費用がかかっても外観を残して現代風にアップデートされている。あたちも、石畳歩いたり、ベランダからの素敵な眺めを楽しんだよ。

ビール工場の外観を残したビルが素敵
勇ましく外をのぞいてみたものの、時差ぼけで9割の時間はこのソファで爆睡していたのはヒミツ

3.〈ムゼーウムス島ニコライ教会

観光の中心地、ムゼーウムス島から聖ニコライ教会付近も楽しい散歩スポット。残念ながら博物館の中に犬のあたちたちは入れないのだけど、それでも威風堂々と立つ建物群は一見の価値あり!ここからも東ドイツ側にあるテレビ塔も見えるよ。

初めてのベルリン大聖堂の前でパシャリ

そして、ムゼーウムス島の東側にはベルリン最古の教会であるニコライ教会が建っているの。その周辺は中世の趣の街が残っているので、観光客の犬と人間にとっては「わぁ、ヨーロッパ来たなぁ〜」と浸れる場所。第二次世界大戦で元の建物は姿を消したけれど、1981年に元の姿で再建されたと言うから、ベルリンっ子の復興への強い気持ちが表れているわよね。

ニコライ教会付近の石畳を闊歩

考察:ドイツ人にとっての森は、日本人の温泉?

ベルリンの犬散歩で一番印象に残ったのは、森林のようなティーアガーデン。歴史を少し調べると、ドイツ人と森には深い関係があり、ドイツ人は自らの精神性やアイデンティティーを森林と結びつけているのが面白い。聞くところによると、ドイツでは、森を管理する森林官という職業が医者と並ぶほどの人気職業らしい。

その原点は19世紀。ゲーテやシラーなどのロマン主義的の文学で森がテーマになり始め、同時代に生まれたグリム童話にも森が舞台になるお話が多い。そして、今、エコと毎日のように使われる言葉になった「エコロジー」と言う考え方もドイツ人の生物学者・哲学者ヘッケルによって、この時代に提唱されたものだという。

キツネも自生するという森が大都会ベルリンのど真ん中に存在し、市民に愛されているのは、ドイツ人の森林に対する並々ならぬ精神的な結びつきの強さを感じずにはいられない。倒れた大きな木も取り除かず、そのまま。そこからキノコもバンバン生えるし、いろんな植物がブナやアカシアの木にグルグルと巻きついている。そんなワイルドな姿を片目に人々は散歩して、人間も自然の一部だなぁなんて感じたり、ベートーヴェンのように物思いに耽ったりと、心癒される場所が森なのだろう。そんなドイツ人の心の癒しが森なんだろう。日本人の温泉的存在・・・?

森の中のようなティーアガルテン

この自然観が根底にあるからこそ、今のドイツの環境意識の高さにもつながっているのだろう。20年前に訪れた時から公園のゴミ箱ですら5種類ほど分別は始まっていたし(日本では燃えるゴミ・燃えないゴミの分別のころ)、

普通の観光旅行であれば、教会やミュージアムに行くことで時間オーバーになるのだろうが、リリに連れられてドイツ人の自然観を垣間見させてもらった。


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