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介護で思ったこと12 ホスト?いいえ、ドクターです🧑‍⚕️😩

父を見送って、2年近く経ちますが、いまだに当時のことをあれこれと思い巡らします。

闘うことを公表する勇気


最近、病にかかり闘病生活(入院または通院で)に入ったことを公表する著名人が増えています。病を克服してみせると自分を鼓舞する意思表明である場合は本人自ら望んでの公表なのでしょうが、長期の不在や容姿の変化を詮索されネットに流れる根拠ない憶測、嘘を否定するため致し方なく公表する場合もあるでしょう。

診断確定後受けている治療法、医療費、体調、本業の経済分析など積極的にメディアで発信続けている男性経済アナリスト。以前と変わらず頭脳明晰、お話は面白く、声は元気。ただ姿には病と闘病によるダメージが現れていて、心が痛みます。

また最近ビデオメッセージで闘病中であることを公表したイギリス王室のキャサリン皇太子妃。「公人だってプライバシーはあるのよ。ほっといてよ」と言いたかったと思います。画面に登場した彼女のお姿はやつれ、お声も弱々しく、見ていて辛かったです。

お二人とも病を克服されお元気になられますよう祈るばかりです。

蘇る記憶

闘病中の方の姿を見るにつけ、どうしても父の晩年を思い出し、絶望の中夢中でもがいていた当時の記憶が蘇ってくるのです。

ある日の明け方、熱が急に上がり震えが止まらなくなりました。いつ何が起こるかわからない、と訪問診療の医者看護師から言われていて心の準備はしていても、明らかに異変を起こし苦しそうにしている父の様子に家族はパニックを起こします。「訪問診療所に連絡を入れ医者の到着を待っている、とにかくあなたも来て」と自宅で就寝中の私はスマホの着信音に叩き起こされ駆けつけました。

すでに訪問診療の医療チームは到着していて、父に処置を施してくれていたのでしょう、私が実家に着いた時には父はもう苦しそうではなく、介護ベッドの上で身を起こしていました。到着した私をキョトンとした様子で見つけ、「もう〇〇社を呼んだのか?」と頓珍漢なことを言いうのです。

〇〇社とは父が生前契約していた葬儀屋さんで、亡くなった時に連絡すれば駆けつけてくれることになっています。

「何を言っているの、おとうさん あなたはまだ生きていて、〇〇社の出番ではないでしょう」

それでも、「いや、ここにいるじゃないか」と言い続ける父は興奮気味。

熱で頭がおかしくなったか、それとも末期に現れる意識障害・せん妄がで始めたのかと思い焦りました。部屋の中の見渡すと家族以外には男性3人、医者、看護師、診療所スタッフがいるだけ。ただその医者は白衣を着ておらず、背広姿です。父は自分の近くに寄ってきた背広姿の人間を医療行為をしてくれた医師とは認識できず、〇〇社の人だと誤解したと思い、

「お父さん、この方はお医者さんよ」

と優しく説明しました。

そのうち薬が効いてきたのか興奮は収まり父は眠りにつき、訪問診療の男性3人は帰っていきました。

白衣未着用の医師

後日冷静になりあの夜を振り返ると、

あの夜、シフトに入っていた医者のやりくりがつかなかった時の待機組だったであろう医者。今夜は朝まで呼び出しはかからないだろうとスーツ姿で、自宅外または指定待機場所以外の何処かでいたところ緊急にお呼び出しがかかり、「自らの仕事着・白衣」を持参することもできないまま看護士と診療所スタッフとどこかで合流、父のもとに駆けつけてくれたのだと思います。

真夜中、医師の到着を心待ちにしていた私たちの前に現れたのはおしゃれなスーツを着て先の尖ったレースアップの革靴を履き、ワックスでセットしたヘアスタイルの男性。

ホストですか!?

医療スタッフが一緒にいなければ、確かに医者とは判別できないです。

プロらしく仕事に臨んでください

私達家族は、兎にも角にも父のその瞬間の苦しみを緩和してほしい一心だったので、外見についてとやかく思うことはなかったのですが、時間が経ちあれこれ振り返る余裕ができた今は、父が「葬儀屋が来た」と感じた違和感はもっともなことと思います。

あの時のお医者さん、道端や飛行機内で非番の時にたまたま居合わせて救急の対応をお願いしたのではないのです。訪問診療契約を結んでいる患者への往診ですよ。プロとして働く際にはプライベートな部分は見せないで対応してください。

訪問診療契約を結んだ医院は院長先生はじめスタッフ素晴らしかったですが、ただあの夜の医者だけが残念でした。よく話を聞いてくださる院長先生にこの一点を伝えられなかったので、今ここに書いてみました。


丸くてかわいいリリー🩷






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