見出し画像

国際バカロレア(IB)の文化をつくるのは

以前の講演会で、「国際バカロレア(IB)は教師と生徒だけでなく、保護者や地域も含めて作り上げていく文化なのだ」ということを学んだ。確かにどこも地域性を意識した教育を進めているようだ。

しかし、従来の日本での教育とは違う点が多いため、特に保護者の理解は簡単には進まない。定期テストもないし、クラスや学年で順位付けなどをするわけでもないため、子どもが何を勉強していてどこまで理解しているのか親には見えず、大学入試を考えても不安になるようだ。保護者会で先生方にクラス内で順位をつけるような定期テストの導入を進言する保護者もいる(!)。そういう意味でも、入学前の学校説明会でのIBに関する明確な説明と理解促進は大事だと思う。

他方、生徒はしっかりIB文化を吸収しているようだ。公立IB校では人事異動で先生は入れ替わる。異動してきた先生にとってはIB校での指導は従来とは全く異なるためとても戸惑うことだろう。中には、従来の方式を導入しようとする先生もいらっしゃるらしい。実際に次女の学校で、「この教科についてはルーブリック(※)は作成しません」と宣言して課題評価を行おうとした先生がいたという。しかし、生徒たちが「この学校はIB方式で教育をしていること、評価はルーブリックに基づいて行われるものであること、だからルーブリックを作成しないというのは理解ができないし、作成してほしい」と先生に進言したという。

頼もしいし、誇らしい。

結局、親がやきもきしなくても、子どもたちはきちんと吸収して成長している。やはりここでも「子どもを信じる」という一語に尽きる。


※ルーブリック
生徒が到達する目標を評価する基準を表形式で示したもの。課題ごとに設定され、課題と同時に生徒に示されるため、生徒はその評価される観点を理解したうえで課題に取り組むことになる。