久しぶりに学会がアメリカで開催されることになり、植物学者の木下とその助手:井上は通訳の立方と共に訪れた。

「しかし博士。なんで最近は通訳にいつも立方さんを呼ぶんですか？」
「良いじゃないか、井上。向こうのハナ教授も彼女を気に入っているし」
「私も収入が2倍になるし、ありがたいことです。何か不都合なところありましたら、ご教示ください」
「いや、別にないけれど…」

井上と立方は実は中学時代の先輩後輩の関係で、立方は井上に憧れていたけれど井上は知らないまま卒業。十数年経って再会したのだが、朴念仁ぶりは相変わらず。木下博士の方が気をきかせているところもある。

学会は無事に終わり、異国の地で花見をすることになった。ハナ教授も交えて…と思ったらローディー教授も付いてきた。一年前の学会で立方に一目惚れし、しつこく絡んでくる。周りの空気が冷たいのは花冷えのせいだけではないだろう。

「美しい通訳のお嬢さん、僕と…」

「「「かすますい！」」」

立方さんと博士と井上は、同郷（山形）の言葉で遮っていた。

［約450字］　文字数オーバー😭

久々の『博士と助手』シリーズです。（もう忘れられてる？）久々だから、全員の関係とかも書いていたら、文字数オーバーしてしまったわ。
井上もローディー教授には立方さんを渡したくない…と思っているみたいです。
『かすますい』とは「うるさい（黙れ）」という意味です。（山形弁翻訳による）

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