【SS】立方体の思い出②|#毎週ショートショートnote

「そろそろ海外学会へ行く準備をしないとな、井上。」

植物学者の木下は、助手の井上に声をかけた。

「今度は通訳を別の人にしませんか?博士。」

「何故だい?あの娘は君の後輩でもあったんだろう?私も同郷だし、気心知れてて良かったじゃないか?何かあったのか?」

博士はニヤニヤしながら聞いてきた。

「何もないですけれど… でも今度は違う人にしましょう!」
「いや、私は気に入った。井上が彼女を気に入らないのなら、他の研究所の若いもんに彼女を勧めたいくらいだ。」
「博士!一体いつから仲人業まで始めたんですか?」
「誰もそんなことは言ってないぞ。通訳として有能であることを勧めたいだけだが…」

有能な通訳の彼女、立方 体たちかた たえは、井上が通っていた山形の中学校の一年後輩だった。井上の片想いの彼女…の片想い相手(生徒会長)の彼女…が、立方であった。前回の学会同行での交流で思い出し、複雑な心境の井上だった。

[405字]

助手:井上の痛い思い出の相手と、まさかのご縁で再会してしまい、また会うことになりそうで困っている…のが今回。
ただ、井上にとっては痛い思い出なのですが、相手(通訳)にとっては嬉しい邂逅… なのです。(今後の予定)
これ、このまま続き(彼女目線)を③で書いちゃおうかな。

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