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【エッセイ】お年頃SEの出張エピソード(鹿児島編)

先日、こんな感じの ↓

若き頃の思い出話を書いたが、なんとなくもっと書きたくなったので、需要の有無は気にせずシリーズ化して書くことにする。


修行編  霞ヶ関編  盛岡編  新潟編
 広島編  仙台編



鹿児島出張は2、3回したが、最後に行ったのは年度末の3月だった。顧客が官公庁だったので、システム納品時期は年度末の3月末日が圧倒的に多い。

この時期は、異動の季節でもあるから、転勤や引越しでの仮住まいとしてビジネスホテルの利用率も高く、早めに宿を予約しないと泊まる先が無くなってしまう。しかも鹿児島!親戚も知人も誰もいない全く未知の世界だ。現地の営業の人に、出張期間シングルの部屋を一つ確保してもらうよう連絡しておく。私が男性だったら相部屋でも可なんだろうけれど、たいてい男性とチーム組んでの仕事だから、そこはしょうがない。

さて、そんな年度末に鹿児島へ出張したわけだが、お宿はなんと国民休暇村という場所になった。モロ観光地!しかし私は朝起きたらタクシー呼んで、池田湖畔へ向かい、寝るためだけに夜帰って来るような日々… おまけに、修学旅行のお宿にもなっていたから、いつも廊下には楽しげな学生さんがキャッキャしていた。腹は立たなかったけれど、羨ましかったな。

約1週間滞在し、担当した農水管理システムも完成したので、お客様への引渡しは現地の営業にお願いして、1日早く帰れることになった。なんてラッキー!偉いぞ、私。だから、ちょっとだけ観光することにした。

飛行機の予約時間までかなり余裕があったから、タクシーの人に良い時間潰しがないか尋ねたら「そりゃあ、砂むし風呂だよ!」と言われ、早速体験しに向かったが… 満潮だかで、その時間は体験できず。指宿の観光場所は他に池田湖だが、そこは仕事で毎日通っていたし。「じゃあ、魚見岳うおみだけが、ちょうど今は花見のシーズンだから見に行くか?」ということで、魚見岳へ行った。パラグライダーのメッカでもあるらしく、近づくと空を散歩している人がけっこう見えた。

桜はまさに満開で、木の下は…宴会している人がわんさか!しかもカラオケマシンがあちこちに見られる。ご馳走も凄い!みんな、お重に太巻きを必ず用意している。あとは芋焼酎!飲んで歌って笑って食べて… 桜の花の下で、平日の昼間からこんな大宴会しているなんて本当に凄い!

「お前、どうした?」(←みたいな意味の言葉)

魚見岳の観光スポットを説明してくれたタクシーの運転手さんが、突然宴会中の人に声をかけられた。やだ…酔っ払いに絡まれたのかな。でも、違った。運転手さんの知り合いの方々が宴会していたのだった。総勢20人くらい!!

「一緒にどう?」(←みたいな意味の言葉)

鹿児島弁がさっぱりわからず、運転手さんに通訳してもらい… せっかくなので花見に参加させていただいた。運転手さんは勤務中だから飲めなかったけど、私は勧められた芋焼酎(初めてのお湯割り)を「意外と美味しいですね」と、にっこり笑って飲んだ。「お、いけるねぇ!」と多分言われ、「これも美味いよ!」と太巻きを勧められる。もちろん「とても美味しいです!」と、もぐもぐ食べる。

「姉ちゃんはどこから来たの?」と聞かれて「神奈川から出張で、池田湖の近くでコンピューターの仕事をしてました」と答えると「頭いいんだな」と言われ、「いいえ、本当は学校の先生になりたかったのですが、教員採用試験に落ちてしまったから…」と答えると「あんた、先生になりたかったの?だったらこっちで受けなさい!なぁ、◯◯の奴にお願いすれば、すぐになれるよ」と、妙に盛り上がる。更に「姉ちゃんには彼氏とかいるの?」と聞かれたので、ちょうどその頃は絶賛独り身中(浮気した彼と別れて一年目)だったけど、なんとなく妙な空気を感じたので「まぁ、一応…」と言葉を濁したが「関東の男より、九州男子が良か!」みたいなこと言われ「ほら、△△のところのアイツ、良くねぇか?体重は100kgあるけれど柔道は黒帯だし、いい男だ。なぁ、関東の男なんかやめて、こっちに来なよ」と、勝手に盛り上がっている。「私の彼も一応、九州男子…肥後もっこすなんです」と答えたら「なんと熊本か?そうか、残念だけど九州男子を選ぶのは良いことだ」と、諦めてくれた。(ありがとう、元彼)

全く知らない人たちの花見の席にお邪魔して、楽しく時間を過ごさせていただき… さよならをした。初めは、鹿児島弁がさっぱりわからず、運転手さんに『なんて言っているんですか?』と、こっそり聞いていたけれど、飲んで食べて話しているうちに雰囲気がわかって通訳無しでも会話ができるようになり…こういうのが楽しいのよね。旅って。(本当は仕事で来たのです)

鹿児島(指宿だけ)の思い出は、そんな感じ。

あ、初めての飛行機搭乗が、この鹿児島への出張でした。生まれて初めて飛行機に乗り、しかも座席が後方だったので、離陸する時のジェットの轟音が背中というかお尻というかその辺りにビシビシ伝わったし、空中へ飛び出す時のフワッとした感覚がモロに座席の下から感じて、高所恐怖症の私は泣きそうな気分でした。そんなでしたから、無事に着陸した時には、一人で胸元で小さく拍手していましたよ…マジで。

今度は、どこに行った時の話にしようかな…


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