【所感】アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』

みなさん、こんにちは。
宇露リンです。

先日から挑戦中の「読むべき児童書100選を読もう」チャレンジ。

100選の中には、既に読了している作品もいくつかありましたので、今日はその作品について所感を述べてみたいと思います。

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』

言わずと知れたフランスの名作『星の王子さま』。各国語に翻訳されるのみならず、映像化も度々されている20世紀を代表する児童書の一つとなります。
本記事では作品紹介として、Wikipediaの該当記事を掲載しておきますね。

1.初見は意味不明だった

本作を最初に読んだのは、あの線画の象さんの記憶が深く残っていることから考えると、小学校低学年だったという記憶があります。
当時の自分には率直に言って、意味不明な部分がほとんどでした。エンディングの解釈もさることながら、「王子さまは宇宙から来たの!?」と気になって仕方なかった記憶だけが強く残っていました。

2.再読のきっかけはアニメ

転機となったのは、2015年公開の映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』の鑑賞でした。本作、厳密に言えば小説版の後日談を描いたストーリーとなっているのですが、それを知ったのは後日のこと。
現代を生きる主人公、という点が物語への理解を深めてくれたのだと今は分析しています。主人公の女の子が飛行士の語りを“追体験”することで、抽象的であると捉えていた小説版の補間をしてくれた形ですね。

ちなみに、ネタバレを避けるために明言はしませんが、映画版のエンディングはドラマチックで美しく、とても印象的でした。ストップモーションの技法を巧みに活用していて、実はこの手の表現技法が苦手な自分も没頭した記憶があります。

3.そして再読

映画であらすじをインプットした後、改めて小説版を読み直すと今度はくっきりとイメージが浮かんできます。初見では上手く捉えられなかったサン=テグジュペリのシンプルな挿絵も、今ならシーンの“核”を描いているのだとわかります。今度は、王子さまがどこの星出身かを引きずることもありません(笑)
王子さまが出会った星の住民の中で、特に印象深かった人は実業家です。ひたすらに星の数を数えるその姿が、「大切なものが見えていない」ことを大変わかりやすく伝えてきています。

やがて迎えるエンディングでは、王子さまと蛇とのやり取りに背筋が冷たくなります。何気ない会話のようで、よく読み返すと幾通りもの解釈ができるこのシーン。なんだか童話のような雰囲気を醸し出していますね。

4.王子さまが伝えたかったこと

「大切なものは、目には見えないんだよ」

とは、王子さまが最後に出会ったキツネに教わった言葉です。さまざまな経験を経た王子さまには、きっと深く刺さる言葉だったのでしょう。果たして、王子さまは無事に自身の小惑星へ帰ることが叶ったのでしょうか。
こういった余韻や考える余白が大きいところも、作品の魅力だと感じています。

さて、ここまでサン=テグジュペリ『星の王子さま』の所感を述べてきました。振り返ってみると、思考の柔軟性が足りないな~と痛感します。
イマジネーションを錆びつかせないためにも、児童文学を読むことは新しい刺激と大切なメッセージを伝えてくれる、そんな気がしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?