【V.E.I.L.】応用 〜あらゆるものを包み込む“膜”〜①

こんにちは。
宇露です。

前回、私の小説に登場する小道具「可変電磁層(Variable Electromagnetic Increase Layer、通称:ヴェール)」について考察しました。

本記事では、〈ヴェール〉が実装された場合に、どういった使い方が可能か、どのような分野に貢献できるかをシーン別に考えてみたいと思います。

◇小型化? 大規模利用?

 かつて画期的な道具の発明は、活版印刷にしろ蒸気機関にしろ、大規模なインフラとしての側面が大きいものでした。それが21世紀にかけ、小型化、個人化してきたことはパーソナルコンピュータの発展で経験した通りです。
 〈ヴェール〉もまた、実装されるにあたってまずは個人のニーズに合わせたものから開発が進んでいくと予想されます。「概要」で考察したように、この“膜”は磁気、超音波といった小さいエネルギー(熱効率による)から形成されます。そのため、本記事の後半で見る屋外での大規模利用はコストと技術面から優先順位は下がると予想できます。
 では、いくつか日常生活を例に取り、〈ヴェール〉が貢献する場面を見てみましょう。

マスク、フェイスシールドとして

 タイムリーで、いかにも狙ったような用途ですが、医療現場の利用を最優先に想定することは私のプランに最初からあったものです。
 〈ヴェール〉は出力の調整が可能です。そして幸いにも、微粒子や細菌、ウイルスといった病原性を持つものは大気の組成(窒素、酸素、二酸化炭素など)よりサイズが大きい。〈ヴェール〉の透過性を微調節することで、限りなく濾過率の高いマスクを展開することが可能です。
【デザイン】
 顔全体を覆う目的であれば、ハチマキのようなバンド型ジェネレータが適しています。加えて、首にネックレス型のジェネレータを併用することで、上下から〈ヴェール〉を展開可能です。
 従来の口と顔を覆うマスクであれば、骨伝導イヤホンの形状をしたジェネレータ、あるいはイヤリングジェネレータも選択肢に入るでしょう。
【メリット】
 既述したように、〈ヴェール〉マスクの利点は「物理的に存在しない」エネルギーの膜であること。つまり、脱着や洗浄の手間が省けます。オン・オフの切り替えはジェネレータをタップ、もしくはスマートウォッチやスマートフォンなどからでも可能でしょう。ジェネレータは常時、身につけていますから持ち運びの心配もありません。
 空気の透過率も高いため、顔のムレも解消されると考えています。将来的には、〈ヴェール〉の内側⇔外側へ細胞膜のように、能動輸送が可能になれば、換気も夢ではありません。
【課題】
 いずれのジェネレータにしても、いかに個々の顔面にフィットさせるか。これが最大のポイントとなります。顔の凹凸に対応が難しい初期段階では、ミニパーティション(フェイスシールド)のように平面的な〈ヴェール〉の展開になるでしょう。
 もう一つ、〈ヴェール〉の展開エネルギー源確保も克服しなければなりません。バッテリーが現実的ですが、小型化・軽量化の課題が残ります。現実的にはコード付きイヤホンのように、モバイルバッテリーから給電するシステムが考えられます。

◇窓、パーティションとして

 日常生活で〈ヴェール〉に置き換えられれば便利なものに、窓があります。湾曲ガラスのようなものもありますが、機能性と耐久性を考慮すれば、将来的に〈ヴェール〉が窓に置き換わる日も遠くありません。
【デザイン】
 現在の四角ベースであれば、サッシ・フレームに〈ヴェール〉ジェネレータを組み込むことはそう難しくないはずです。〈ヴェール〉自体は目立たないものの、メリットは計り知れません。
【メリット】
 遮光、撥水、耐久性、窓をエネルギー膜にすることで得られる利便性は多々あります。イメージとしては透明度、色、厚さを自由に変えられるディスプレイがわかりやすいかもしれません。透明ディスプレイが市場に登場していますが、〈ヴェール〉なら出力を上げれば風雨にだって耐えられます。
 一風変わった用途として、降雪の多い地域の家壁や道路に〈ヴェール〉を展開することで、常時、振動するエネルギー膜が雪下ろしの手間を軽減できるはずです。
【課題】
 窓の〈ヴェール〉も、エネルギー源の課題は抱えています。出力を上げた際にブレーカーが落ちる、というようではいけません。建物に取り付ける〈ヴェール〉ですから、再生可能エネルギーを充てると良いでしょう。
 もう一つは安全性です。普段の出力で〈ヴェール〉に触れたところで怪我をすることはありませんが、出力を上げた際にどれほどの威力になるか、検証が必要です。この点でも、ジェネレータの機構をオープンソース化し、広く意見を求める必要があります。

 今回は、第一弾として〈ヴェール〉を応用したマスク、窓を考察しました。他にも応用可能な具体例は多くありますので、可能な限り、ご紹介したいと思います。
 ご意見、コメントをお待ちしています。

 以上、宇露でした。

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