見出し画像

誰も教えてくれなかったおしゃれのルール(アーカイブ)賢くお金を使う

世の中で、何でも好きに買える人は少数派です。ほとんどの人はそんな状況にはないでしょう。服の値段なんて気にしないで、思いつき、ひとめぼれで服でも靴でもバッグでも買う人はそんなにいないと思います。

今あるお金を賢く使わなければなりません。
まず、被服費の年間予算を立てましょう。

話を聞いていると、家計簿をつけていない人も数多くいます。せめて、被服費に関してだけでも予算を立てて、1年間、幾ら使っていいか、そして何に幾ら使ったのか、帳簿をつけましょう。

予算を立てるということは、その前に年間の購買計画が必要になります。今年は何を買うのか、コートなのか、ジャケットなのか、それともバッグなのか、消耗品は年間でどれぐらいかけるのか、大枠を決めて、それに沿ってお金を使います。

コートやバッグは、思いつきで買うようなものではありませんから、1年間を通して、探しつつ、吟味していけば、納得のいく、失敗の少ない買い物になるでしょう。


消耗品のようなTシャツからコートまで、被服費には価格にかなりの幅があります。価格の低いものは、大量に購入しなければ、それほど価格を気にする必要はありませんが、高額なコートやバッグなどは、慎重にならざるを得ません。そんなとき、目安になる考え方を紹介します。


まず1つ目。

減価償却の考え方で、そのアイテムを買ったら、1度着るたびにコストとしてはいくらになるか計算してみます。

たとえば、10万円のコートを5年間着る予定として、年間このコートを20回着るなら、1回につき1000円です。

この1000円という額をどう判断するかは、それぞれの価値観によります。その1000円を、11月から3月、平均1カ月に4回、コートを着ることに使うのか、ケーキとお茶に使うのか、本を買うのか、それぞれ考え方が違うでしょう。


次にそれをクリアしたら、もし、その高額なアイテムがいらなくなったら、リサイクルショップや、またフリマアプリなどを媒介して誰かが買ってくれるかどうか考えます。他人の査定はシビアです。

どんなに高額でも、人気のない、無名ブランドのジャケットなど、二束三文でしか引き取ってくれません。また、高額な真珠のネックレスも、1度誰かの手に渡ったら、質屋では買い取ってさえくれません。

ファッション・アイテムには、ほかのものとは違う価値観があって、1年前の本物の真珠より、10年前のイミテーションのシャネルのパールのネックレスのほうが、価値が高かったりします。

要らなくなったとき、どこかの誰かが納得のいく値段で買い取ってもらえるか、これは1つの指標です。


そして最後に、それを買うのと同じ額を稼ぐのにどれだけ労働したか考えます。そして、それはその労働に見合うものか。これこそ、人によって全く違います。その判断は、それぞれが、それぞれの胸のうちに聞くしかありません。


これは私が考えた3つのクリアすべき項目ですが、ほかにもまだ考えられる指標があるかもしれません。とにかく、自分なりの判断基準を設定して、それをクリアしたなら、高額なものを買う許可を自分に出しましょう。


予算を立てて、自分なりの判断基準を持って、あとは買い方です。

相変わらず、服や、その他のファッション・アイテムの市場における需要と供給のバランスは、完全なる供給過多です。売りだされたその時点での価格の半分は、「新しさ」の値段です。しかも、その「新しさ」はせいぜい3カ月から半年のもの。その「新しさ」が欲しい、必要なら、それを買えばよいですが、そうでない場合、「新しさ」は必要ありません。

優れたデザインのものは、3カ月や半年で腐ったり、劣化するものではありません。売り切れてなくなるものは、ほんのわずかです。多くのものは、半年たってもまだ、余っています。それが今の現実です。コレクションで発表されたものと同じドレスも、1年半もたてば、3分の1の価格まで落ちます。


ワードローブを賢く構築して、予算を立て、コスト意識を持って買い物すれば、被服費の無駄はなくなります。着ないものは、その結果、買えないか、買わないか、そのどちらかになります。


私たちが削るべきでない出費は、ほかにたくさんあります。命にかかわるものは、削るべきではありません。服のために、命が削られるのなら、それはおかしい。


これまで服を買う基準は、かわいい、欲しいなど、感情と欲望からなされたものでした。しかし、これからは、そのときだけの感情、欲望の言うままではなく、もっと遠くから、全体を把握する、思考の力が必要です。


もちろん時代は変わります。この不景気も、いつかは終わるでしょう。しかしそれまで、とにかく私たちは、自分の欲望から自分を守らなければなりません。


賢くお金を使って服を買うことは、そのための1つの方法です。それは、自分を守るためにもっとも適した、そして、もっとも賢い方法です。

欲望は黙るでしょう。

その結果、あなたは欲望との戦いに勝ち、そして助かるでしょう。

2014・0804


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?