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ももか は いるか

5才の長女と市民プールに行った。
習い事ではない。長女はただただプールが好きで、2才から今に至るまで、真冬を除き大体週一のペースで、市民プールに遊びに行っている。
でも私と行くのは、今回でたったの2回目。つまり99%は夫と行っている。

まず驚いたのは、市民プールが、思った以上に隅々まで清潔で快適なこと。洗練されていると言ってもいいほど。
窓からは明るい自然光が入っていて、うんと高い天井に、プールの波紋がゆらゆら反射していて美しい。『ピチャ』とか『ぽちゃん』とか、水音が反響して癒されるし、塩素の匂いも清潔感があって私は好きだ。室内全体のデザインがミニマルで無駄がないのもかっこいい。

学生さんと思しき、いかにもスポーツマンな監視員さん達が、極々真面目に見守ってくださるのも、子連れとしては頼もしく、安心感がある。
まばらだけど、プールにいる人たちからは、健康への意識の高さとか、ポジティブなエネルギーを感じる。

とにかく五感に伝わる全てが清々しく、心地よい。気分としては、現代アートのミュージアムにいるようだ。

そして、さらに想像以上だったのが、プールで遊ぶ長女のキラキラ具合!

受付からロッカー・シャワー・消毒槽という一連の流れを、『ここは肩までつかるんだよ』とか、『ここは走ったらダメなんだよ』という注意事項つきで、私の手を引き案内してくれる。
最後に、『飛び込まないでね』と言って、ハシゴをつかってプールに入ると、すぅっと息を吸い、躊躇なく水に頭を沈める。
あれ?もしかして神様は長女にひれをつけ忘れたのでは?と思うほどの滑らかさだった。

長女は、クロールや平泳ぎは覚えていない。でも浮き輪など使わずに浮けるし潜れる。水中ではシンクロナイズドスイミングのように鼻をつまみながら、ぐるんと垂直に一回転もできる。

1時間の滞在のうち、半分は潜って、私の足の間を通ったり、腕で作る輪の中を、いるかのこどくすり抜けるといった遊び方をしていた。

水を全く恐れないどころか、水が自然に体を浮かべてくれるのを完全に信頼している様子の長女。

なんというか、海辺で育った子供が、自然に海で遊んでいたら、こうなりました、というような熟練具合なのだ。

そして、なんど潜っても、水中から顔を出すたびにキャッキャと笑う。そんなに楽しい?とこちらが尋ねたくなるほど。
だけど、我が子の100%ピュアな『楽しい』は、親にとっては何よりも嬉しいギフトだ。 

かくいう私も、どんな場所にいる時より、娘の一挙一動に集中する。
溺れないように注意を払わなければならないということもあるけれど、一番大きいのは、チラチラと見るスマホがないことだろう。
1時間も娘の動きを見つめ続けたのは、出産して5年間で初めてかもしれない。

それにしても、こんなにプールを楽しめようになるまで、コツコツ3年間、娘の『プール行きたい!』に付き合い続けた夫。子育てのパートナーとして、素直に感謝だし、尊敬の気持ちでいっぱいになった。

我が家にはまだオムツが外れていない(つまり市民プールは入れない)次女がいるのだが、
パパと姉が外出する際はついて行きたがるので、大体次女がお昼寝の隙に、二人はプールに出掛けていた。つまり私は、家で束の間の一人時間を楽しんでいて、出かけてくれてラッキーくらいに思っていた。けど、こんなにも素敵な場所で、充実した親子の時間を過ごしていたとは。

今となっては、夫がちょっと羨ましい。

水の心地よさを感じながら、キラキラと楽しそうな長女を見つめ、共に遊ぶ時間は、これが子育てのハイライトの一つかもと思うほどに、密度の高い幸せな時間だった。

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