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本「嬉遊曲、鳴りやまず」:感想記録


本「嬉遊曲、鳴りやまず」:感想記録

この本は、本の著者が新聞で先ごろお亡くなりになった小澤征爾さんの関する記事を書いていて知りました。

嬉遊曲、鳴りやまず 斎藤秀雄の生涯の通販/中丸 美絵 新潮文庫 - 紙の本:honto本の通販ストア https://honto.jp/netstore/pd-book_02214497.html

小澤征爾さんは世界的に有名な指揮者です。
この本の主人公の斎藤秀雄さんは小澤征爾さんの師匠にあたる方です。

著者の中丸さんは、小澤征爾さんの生涯をあつかったノンフィクションを予定しているらしく、今から楽しみです。

殆ど知らなかったのですが、斎藤先生は日本のオーケストラの草分け的な過多で、ご自身のチェロ奏者として活躍されていました。しかし、なによりも更新の演奏者の教育に生涯をかけて尽力された素晴らしい方でした。

一般的に、自伝というと主人公の良い面ばかりにフォーカスして書かれている事が多いのですが、この本は負の側面ついても書かれていて多面的な人間:斎藤秀雄先生を描いていてとても興味深かったです。

先生のレッスンは妥協を許さないとてもストイックで厳しいものだったらしいです。生徒の至らない点を情け容赦なく指摘して打ちのめす面があったようです。なので、生徒の中には一流の演奏家になてもそのトラウマが残っていて生徒を指導することをしない人もいるくらいです。
後年、斎藤先生は生徒にはあまり厳しくあたってはいけないと指導していたらしいのですが、言っていいることと真逆の指導をずっとしてきたので、従来の生徒は苦笑してしまうのでした。

一つの道を極めた人というのは、常人から見ると異常とも思える情熱を注ぎ込んで事をなすので、功罪、賛否両論がつきものです。
そこそこで良いと思えば、嫌われることも非難されることもありません。それでも尚、やらずにはいられない内から湧き上がるマグマのような情念に突き動かされて行動してしまうのでしょう。

斎藤先生の指導した生徒からは世界中で活躍する演奏家が多数輩出されました。亡くなる間際まで生徒にレッスンをしていました。病状が悪化して体力もない状態をみて、周りの方々はレッスンを中止しようとされたとは思いますが、齋藤先生にとっては音楽を教える事=生きる事だったので止めることは出来なかったのです。

本のクライマックスは、タイトルの嬉遊曲を指揮する斎藤先生が描かれています。
この頃には病状がかなり悪化していました。斎藤先生達がつくった音楽の専門教育する学校:桐朋学園の夏の恒例の合宿に無理をおして参加したのです。
そこで、指揮棒も上手く動かせない様な状態で指揮した模様が描かれていました。殆ど指揮の動作は出来ないにもかかわらず、演奏する生徒たちと指揮する齋藤先生が一体となって素晴らしい演奏が繰り広げられたのです。


最近なくなった斎藤先生の弟子の小澤征爾さんの追悼番組を観ました。
それは、癌の闘病明けにサイトウ・キネン・オーケストラ(斎藤先生の弟子たちを世界中から集めて作られたオーケストラ)で小澤征爾さんが指揮をとる場面がありました。
その曲は、奇しくも齋藤先生が最後に合宿で指揮したチャイコフスキーの「弦楽のためのセレナード」だったのです。齋藤先生の最後の指揮の映像は残されていません。しかし、弟子の、それも同じ様に病におかされた弟子が指揮するこの曲には似通った彼らにしか分からない何かがあるのを感じました。

それは、鬼気迫るものでもありますが、
それにもまして崇高で清らかで、良いも悪いも含めて高みに昇華された結晶の輝きをみるようでした。

では、では。




定年前後の悩めるサラリーマンの悩みに
いっしょになって、じたばたする
変なオジサンの しんちゃん です。

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