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多くの視点を持つこと

相変わらず、イタリア語とドイツ語を楽しみながら続けています。

ドイツ語を始めた時点では、長期継続は自分には無理と思い込んでおり、
両立という今の状況は全くの想定外でした。

もっと真剣に考えていたとしたら、始めなかったか、もしくは時期を後ろにずらしていたと思います。例えばイタリア語が中級の域を脱してからにするとか…どちらか1つに決めて専念する方が、語学力を固める意味では断然有利です。

ただ5年後に満を持してスタートを切ったとしても、上手くドイツ語学習を軌道に乗せられたかは誰にも分かりません。
新しい言語の学び始めはある程度は、まとまった時間とエネルギーが
必要になる上、学習仲間や先生に恵まれるかというご縁もあるからです。
幸運にも自由に学べる場に巡り会えたという点で、今しかなかったのだろうと考えています。



もし2言語を両立するメリットがあるとすれば、物事を捉える視点の増加、
そして時間を無駄にしない習慣が身につくことだと思います。

「多角的に考える」「あらゆる視点から物事を捉える」ことは、職場などで日常的に使われる言葉です。ただ実践するには日頃から複数の視点を持つことの習慣化や訓練が必要となりそうです。


日頃同じ職場、同じコミュニティーで生活することは安心や安定を得ます。一方で、決まり切った物の見方や価値観に縛られ、それが脳内であたかも
世の中の全てとなる危険性も否定できません。そして居心地が良ければ良いほど、たとえ「偏った世界」の常識であってもその偏りはほとんど認識できなくなります。


異なる語学を同時に学ぶと、1つの世界で当たり前に通用していたことが、他方では通らない場面に毎日のように遭遇します。もっと細かく見ていけば同じイタリア語圏、ドイツ語圏でも方言で言葉そのものが変わることはもちろん、表現の使い方・物腰が、それこそ驚愕するほど違うことに気がつきます。


ドイツ語を始めた時の動機の1つとして、「イタリア語を、一歩外の世界から眺めてみたらどうなんだろうか」という知的好奇心がありました。

まだ基礎固めの段階であり、ドイツ語からみた姿を捉えられる日はずっと先のことです。
しかし夢中になれる言葉の世界を複数持ち、同時に学べるというのは、
とても恵まれていて幸せなことであり、新しく広がっていく風景を想像する楽しみも生まれます。

また地道な語学学習は「コンテンツやニュースを消費し続ける文化」から
一歩離れ、「自信」という根を下ろし自分をじっくり立て直す活動へと繋がります。今まで持ち得なかった表現を獲得し新たな思考に気づくことも。

「コンテンツ」にふれることで、元気になったり、インスピレーションを得たり、次のアウトプットに活かせるのであれば素晴らしいですし、
その能力が私にもあればいいのですが…
現実的にはネットニュースに上がるコメントを漫然と読むなど、
あまり有意義でない時間の使い方をする場面のほうが多くなりがちです。
好きな本を書店で見つけることは得意ですが、オンライン上のものとなると
なぜか一気に探し方が下手になる自覚もあります。


そんな私にとっては、複数言語の同時学習は大きな防波堤になってくれています。

今朝、イタリアのラジオを聴いていたら、イタリア北部のワーキング・プアの問題についての解説コーナーがありました。
もっと語彙があれば細かい内容についても聴き取れるのに、と思います。
それを叶えるためには大量の学習時間が必要です。
持続可能な学びのためには、脳を休めたり、身体を動かす時間も肝要であり
無駄にできる時間はなくなります。

暮らしのなかで「余白」や「クッションタイム」は大切だと思うのですが、
問題はその余白に、重要でない情報などが大量に流入し、あまり後味のよくない時間を過ごしてしまうことです。
デジタル端末は生活に欠かせませんが、より大切にしたい時間を侵食する力と大きすぎる影響を持つ怖いものとなり得ると意識し、複数の対策を講じておきたいです。

この記事だけを読むと、寸暇を惜しんで語学に没頭する人のようですが、
今年は花粉症の症状が厳しいこともあり、休憩時間が多いです。
そして、今はよくも悪くも、ぼーっとするのが最高に得意です。
(車や怪我には注意しないと!!ですが)
以前は「1日10分の音読だけでは継続している」とは言えないのではないか等と自分でハードルを上げがちでしたが、近年はこの趣味を人生をかけたロングレースだと捉え、上手に休憩したり、ペースを落とすことも語学のうちだと思えるようになりました。



生活の中では苦しい局面を迎えることがあります。また趣味の語学であってもやり方を間違えると思いがけず行き詰まることもあります。
そんな時は学べる幸せと学びから得られているだろう知力・判断力を見つめて、ゆっくり前に進めたらと思います。

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