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少子化は女に負担かけたおまいらのせいとしか聞こえないNYタイムズポッドキャスト

ニューヨークタイムズのポッドキャストは以前からほとんど毎日のように夜寝る前に聞いているのだが(現地時間で早朝に更新されるので)、今回のポッドキャストには打ちのめされた感じ。その後に読んだワシントン・ポスト紙のオリンピックまだやる気でいるの?世界規模で恥かくだけじゃね?みたいな記事もインパクト強かったけど。

このポッドキャストは、要するにアメリカでもここ5〜6年ほど人口がじわじわと減ってきているので、高齢化と少子化の大先輩、みたいな位置づけのジャパーンではどんな感じなのか、何が原因なのかってのをモトコ・リッチ東京支局長にインタビューする形で会話が進む。

なのでこのポッドキャストを普段から聞いている人は、特に日本のことに興味があるわけでも、クールだとも思っていない人がほとんどだと言っていいだろう。実際、次の日のトピックは既に「フェイスブックがトランプ垢をアボーンした話」でもうみんな日本のこと忘れてると思うけど。

最初は四国の名頃村の話が出てくる。「村の人よりも人形の数が多い」と聞いて、聞き役のマイク・バーバロが「へ?どゆこと?」みたいな反応。

その後に大雑把な日本の戦後史が説明される。アメリカに追いつけ追い越せの勢いだったバブル経済がはじけ、「失われた20年」と呼ばれたstagnationが紹介される。And everything came crashing down to a halt in the early 90s. 「で、90年初頭にバブルがはじけてオワコンなわけよ」

カイシャに全てを捧げた終身雇用の“サラリーマン”パパと、専業主婦ママと、子ども、という昭和な核家族像は崩れ、70年代から女性が労働市場に出るようになって何が変わったのか、よりも、何が変わらなかったのか、に焦点が当たる。 

At that point, a lot of men, who previously had all these really secure, cushy life-long employment jobs were either thrown out of the jobs, or their wages were completely stagnating. So to keep the families afloat, more and more women entered the workforce.(その時、それまで楽チンな終身雇用の仕事にありつけた男は、仕事にあぶれたか、ありつけても給料は上がらない。だから家計を助けるために女性が働き出した。)

 During this period a lot of men started to feel very insecure, because you can't get a good job, or even if they have considered a decent job the wages are not increasing they're feeling like, "Oh, maybe I shouldn't get married because I don't think that I can support a wife and a family," and of course that leads to more decline in the birthrate.(この時期、男性はいい仕事がなくて不安定か、まぁマトモな仕事があってもあまり昇給は見込めなくて、「あ、妻子養えるかどうかわかんないから結婚しない方がいいかも」って思い始めて、それでもちろんさらに少子化が進むわけ」

And while all this is happening, there's one thing that isn't changing. And it is this very deeply intrenched cultural pattern that when couples do have children the women do all the work at home.(色々変わっているこの間にもひとつだけ、変わらないことがあって、それは子どもがいる夫婦でも家事はみんな女性に降りかかってくるという根深く染みついた文化。)

2016年にモトコさんも働く母親として家族と一緒に日本に移住。そして周りにいる日本の母親達を見て気づいたのだ。Segregated social lifeというものに。「ママさん達の負担がすごすぎる!なのにダンナはほっとんど何もしてない!」

アメリカはつがい文化なので、カップルで出かけたモトコさんは気づくのです。「男女分かれて遊んでいる!」って。特に女性はお一人様焼肉だの、一人カラオケだの、ソロウェディングの記念撮影とか、Sometimes it's more tacit, more subliminal but they are drifting away from these traditional family structures.(だいたい潜在的で彼女ら自身も気づいてないかもしれないけど、どんどん伝統的な家族構成(つまりは家長制度)から離れていったわけよ)

こういうことにいちいち「わ〜お!」「はぁ!」みたいな合いの手を入れていたバーバロが感想を言うSo, up to a point, it resembles changes in the West: women going to work, liking that work, making decisions based around the fact that they want to be co-equals in earning, and yet that change in countries like the US is accompanied by the re-distribution of parenting responsibilities and domestic work, and it seems like Japan only had half the revolution; women go to work, then, the things don't change at home like they have in the many parts of the world.(聞いていると、ある時期までは欧米でも起きてたことだよね。女性が社会進出して、男性と同じように働きたいと願い出して…でもアメリカみたいな国だとそこで子育ての責任分担とか、家事分担とかが見直されていったけど、日本ではその革新が中途半端で、女性は職場に進出したけど、家庭では他の国のようには変わらなかった、ってことだね)

少子化の影響はつまり高齢化社会ですよね。高齢者医療の従業者も足りなくなる。特にキツイ介護の人手が足りない。外国からの労働者を受け入れるのも家族も連れてこれる「移民」ではなく、あくまでも5年を上限として、日本語も話さないといけないただの「外国人労働者」としか扱われない。 That's how inhospitable Japan is to people who aren’t Japanese.(日本は日本人じゃない人に対してすごーく冷たいの)「お・も・て・な・し」なんて嘘っぱちだってのがバラされる。

女性労働者についても同じ。「ウーマノミクス」などと安倍政権は謳ったが、女性側に働きながら子どもを産もうという気持ちにつながらなかった。「イクメン」とか小泉の産休とかやろうとしたけど、何も変わらなかった。

最後にマイケルに、あの名頃の村はどうなるんだろう?と聞かれて、I think it'll die off.(絶滅するんじゃね?)と冷たく言い放つモトコさんなのでした。



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