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紹介予定派遣とは?! メリット・デメリットは? 派遣期間中に断ることはできる?!

正社員で仕事を探すとき、求人情報で【正】を探し、沢山ある情報の中から検索していないでしょうか?!

正社員を直接検索する以外にもう一つ有効な方法があります

それが【紹介予定派遣】というシステムを活用することです

この【紹介予定派遣】は、一発の面接で落とされることを防いで、経験がなくとも試用期間中の勤怠状況で判断をしてもらえるという、求職者にはメリットが沢山ある制度です

この記事を読むことで、理解しておきたい【紹介予定派遣】の条件、メリット・デメリット、気をつけなければならないこと、が分かります

それでは、詳しく解説していきます

この記事で分かること

【紹介予定派遣】の仕組み、ポイント

【紹介予定派遣】のメリット・デメリット

【紹介予定派遣】の活用の方法


【紹介予定派遣】とは

【紹介予定派遣】とは

労働者派遣のうち、派遣元事業主が労働者派遣の開始前又は開始後に、派遣労働者及び派遣先に対して、職業紹介(派遣労働者・派遣先の間の雇用関係の成立のあっせん)を行い、又は行うことを予定してするもの

※ 職業紹介を行うに当たっては、厚生労働大臣による職業紹介事業の許可又は届出が必要

【紹介予定派遣】は、正社員や契約社員として雇用されることをはじめから想定して、一定期間派遣社員として就業します

ここで働きたいという「あなた」と、社員としてぜひ働いてほしい「企業」との相互合意ができた時に正式に社員として雇用されます

まずは、派遣というスタイルで実際に働き、自分にマッチした仕事内容・職場かどうかを見極めてから、正社員や契約社員への道を開くことができる仕組みです


紹介予定派遣

【紹介予定派遣】の3つのポイント

それでは、紹介予定派遣の3つの重要ポイントを解説していきます

ポイント① 事前面談がある

1つ目の紹介予定派遣と派遣の違いは、事前面談の有無です

通常の派遣・・・派遣前に派遣先の企業と派遣希望者が事前面談をすることは禁止!!

紹介予定派遣・・・派遣前に、企業から履歴書の確認や、企業側との事前面談はOK!!

これは紹介予定派遣が派遣期間後に企業へ正社員や契約社員として採用される前提であることから、企業側が事前選考を行う必要があるためです

※派遣においては、【職場見学、顔合わせ】という面談が行われます

ポイント② 派遣期間の制限がある

紹介予定派遣と派遣の違いは派遣期間です

一般的な派遣の場合

通常の派遣で続けて業務をする場合、派遣期間は定期的に更新され、厚生労働省の派遣法により派遣期間は最大で3年以内と定められています

※延長条件を満たせば、更新あり【無期雇用派遣

※【派遣の3年ルール】詳しくはこちらで解説しています

紹介予定派遣の場合

一方、紹介予定派遣は正社員登用や直接雇用における試用期間という考え方であることから、派遣期間は最長で6ヶ月となっています

そして、派遣期間の終了時に企業側は「直接雇用する」「断る」かの判断を行う必要があります

企業側が期間後に正社員登用や直接雇用をせずに通常派遣の社員として業務を継続させることは、厚生労働省から違反として禁止されています

ポイント③ 派遣期間中の直接雇用が可能

3つ目の紹介予定派遣と派遣の違いは直接雇用されるときの手続きです

企業が派遣社員を直接雇用したいと考えても、通常の派遣では派遣社員は派遣会社の所属であるため、派遣期間中に雇用契約を結ぶことはできません

一方、紹介予定派遣では企業への雇用が前提であるため、派遣期間内でも(両者の合意があれば)直接雇用することができます

ただし、紹介予定派遣の社員を正社員登用するなど、直接雇用したときには企業は人材紹介の相場の手数料を派遣会社に支払う必要があることも紹介予定派遣と派遣の違いの一つです

直接雇用へ切り替える際には【職業紹介事業】として、派遣会社は企業先と人材紹介契約を締結し、手数料をもらいます

【派遣社員のメリット・デメリット】

次に紹介予定派遣における、派遣社員のメリット・デメリットを解説していきます

メリット

まずは、大きな2つのメリットから見ていきましょう

■『企業の社風』『雰囲気』『社内の仕組み』『業務』を体験できる

企業と人材のミスマッチから早期離職することが相次いでいるため、試用期間があることは企業側にとっても、派遣社員にとっても大きなメリットになります

働いてから、自分の希望に合っている会社か、仕事かどうか判断できます

職場の雰囲気や業務内容など、実際に働いてみないとわからないことは数多くあります
通常は事前に知ることができないため、働く前後のイメージで乖離が激しいと、数ヶ月で離職に至るケースもあります

その点、派遣期間中に業務や職場の雰囲気を体感してから直接雇用契約を結ぶかどうか、決めることができるので、満足度の高い転職が可能となります

仕事内容が本当に自分に合っているのか、自分の実力やスキルが足りているのか、という点も確認できます

これまで培ってきた経験やスキルが本当に活かせるか、といった不安があっても安心できる働き方といえます

■正社員で入社するのが難しい企業の求人情報も

企業によっては、取引ある派遣会社へ求人活動を委託しているケースがあります

自社募集と併せて、派遣会社へ求人活動を委託することで、より幅広く求職者情報を取得できます

また、正社員で中途入社することが難しい上場企業の情報から、増加傾向にあるベンチャー企業の情報まで、自分で探すことが困難な求人情報も派遣会社が持っていることもあります

企業としては、紹介予定派遣を活用することで、採用リスクを軽減できます

■未経験でも挑戦できるケースがある

紹介予定派遣は派遣会社を通してマッチングを行うため、通常では未経験での応募が難しい企業でも、未経験者の応募を受け入れてもらえる場合があります

憧れだった職種への挑戦やキャリアチェンジも可能となり、働き方の幅が広がります

また、未経験の職種でも、派遣会社の研修やアドバイスといったバックアップがあるため、安心して働くことができます

■派遣会社のアドバイスを受けて職場選びができる

派遣先を選ぶ際に派遣会社のアドバイスが得られるため、自分に合った職種や会社が選びやすくなります

「同じ職場で長く働きたいがどのような職場を選ぶべきか悩んでいる」

「そもそも自分に合っている仕事が何か分からない」

といった人にとっても、紹介予定派遣という働き方はメリットがあると言えるでしょう

派遣会社によっては、無料のキャリアコンサルティングで個々に合った職業選びをサポートしているところもありますので、自身のスキルや強みを活かせる企業に出合える確率も高くなります

未経験や経験の浅い方でも派遣会社のサポートによって仕事に就くチャンスがあります

■派遣会社が条件交渉などを代行してくれる

雇用にあたり、雇用形態やその他の条件面が希望と違っている場合、紹介予定派遣であれば派遣会社が条件交渉を代行してくれます

個人では伝えにくい条件についても、納得のいく形で直接雇用へと進めるようになります

■直接雇用を断っても、次の仕事が見つかりやすい

個人で就職活動を行っていると、雇用契約に至らなかった場合、次の就職希望先を一から探し直さなければなりません

一方、紹介予定派遣であれば、就業先が合わずに直接雇用になる前に就職を辞退したり、就業先から直接雇用を断られたりした場合でも、他の就業先を紹介してくれます

デメリット

続いてデメリットを見ていきましょう

■必ずしも【正社員登用】とは限らない

紹介予定派遣の条件は「直接雇用」であり、雇用形態の決まりは特にありません

直接雇用とは、派遣契約と違って労働者と企業側が雇用契約するものであるため、正社員雇用だけではなく、契約社員パート・アルバイトも「直接雇用」に該当します

そのため、必ずしも正社員とは限らず、契約社員として雇用される可能性もあります

企業の中には、まずは契約社員からスタートしたいと考えている会社も少なくありません

6ヶ月の派遣期間が終了して、直接雇用の合意に至る際に、「実は正社員じゃなかった!」ということにならないよう、正社員と契約社員では給与の相場や待遇に差がある場合も少なくないため、紹介予定派遣に申し込む前に紹介後の雇用形態について確認する必要があるでしょう

どのような雇用形態になるのか、時間や経済的な面で生活とのバランスはとれるのかなど、事前に確認しておきましょう!

直接雇用されない場合がある

紹介予定派遣は、派遣期間中の状況を見て直接雇用の最終的な判断を行います

そのため、派遣社員側から断ることがあるのと同様に、企業側から断られ、直接雇用されない場合があることも念頭に置いておく必要があります

なお、断る場合は、企業側も契約社員側も、相手方に理由を伝えることが決められています

紹介予定派遣では直接雇用に至るために、派遣社員と派遣先企業の双方の合意がなくてはなりません

どれだけ自分がその企業が気に入って直接雇用をしてほしいと思っても、企業側が何らかの要因によって合意しなかった場合、直接雇用となることはなく派遣終了となってしまいます

派遣先企業は、派遣期間を利用して派遣社員の人となりや、仕事ぶりを見極めて合意に至ります

つまり、派遣期間は長期にわたっての採用試験といっても過言ではありません
また、採用する予定で紹介予定派遣を利用していたとしても、なんらかの理由によって体制が変わり採用ができなくなるケースもあるかもしれません

このように、紹介予定派遣だからといって、派遣期間終了後に必ず直接雇用というわけではありません

楽観視せずに働きながら、「もし不採用になったら。。。」のこともある程度考えておく必要があります

直接雇用時に契約条件が変わる

紹介予定派遣でも、派遣期間中の労働時間や賃金といった契約条件は、すべて派遣会社との雇用契約に基づいて行われます

ただし、直接雇用後は派遣先の企業と雇用契約を結ぶことになり、その企業の条件で働くことになるため、契約条件(待遇条件等)が派遣時のものと変わります

  • 給与(直接雇用企業の条件へ変更)

  • 福利厚生(直接雇用企業の条件へ変更)

  • 保険関係(直接雇用企業が保険者となる)

  • 教育訓練(直接雇用企業の条件へ変更)

直接雇用契約を結ぶ前に、しっかり労働条件を確認しておきましょう!

直接雇用で給与が下がることがある

紹介予定派遣を終了して、直接雇用に至る際に給与が下がってしまうリスクがあります

一般的に紹介予定派遣であっても、一般派遣と同様に給与計算は時給計算をするケースが少なくありません

一方、直接雇用で正社員や契約社員になる場合、月給になります

派遣の時の時給ベースで計算された月給額と、直接雇用の月給額を比較した場合、直接雇用の月給が低い場合があります

派遣時給と月給比較例
■派遣時:時給1200円×8H/日×21日=201,600円/月額
■直接雇用時:月給200,000円

ただし、直接雇用で正社員や契約社員になった場合、ボーナスが支給される場合もありますので、「月収ベースの給与だけを見て、収入が下がる」と考えてしまうのは利口とはいえません

月々の給与の提示を受けた場合は、ボーナスや労働時間、残業時間などの時間外労働分の収入を考慮したうえで、提示内容を確認する必要があるでしょう

また、雇用契約が派遣元企業から派遣先企業に転換する際に、給与やボーナス以外にも待遇が変わります(福利厚生など)ので、トータル的に見極めるようにしましょう

有給取得まで時間がかかる

紹介予定派遣の場合、有給取得まで時間がかかる傾向にあります

一般的な企業の場合、入社してから数日だけ有給休暇を付与して、半年以上働いた場合に残りの有給休暇を付与するケースがあります

しかし、入社時に付与される有給休暇というのは、企業側の行為によって付与されています

労働基準法上では、入社後6ヶ月後に有給休暇を付与すると定められており、入社から6ヶ月経過するまでは付与する必要がありません

企業によっては、入社後すぐに付与されないケースもあるので、注意が必要です

紹介予定派遣の場合、最初の6ヶ月は派遣元(派遣会社)として雇用契約を結んでいるので、派遣後直接雇用することで初めて、企業との労働契約が開始されます

つまり、場合によっては1年間働かないと有給休暇を付与されないケースもあるのです

有給休暇の付与条件などもしっかりと確認しておく必要があるでしょう!

応募するまで企業名がわからない

実際に紹介予定派遣に応募してみるまで、どのような企業かわからないというデメリットもあります

一般的に直接雇用の募集案件は、応募する前に企業名が分かっていますが、紹介予定派遣は、WEBサイトなどで企業名が公開されていません

そのため、案件内容や就業場所などを目安に選んでいく必要があるのです

短期の派遣であれば、企業名がわからなかったとしても気軽に申し込みをすることができるものの、直接雇用を前提とした紹介予定派遣で企業名がわからないのは辛いものがあります

直接雇用となれば、将来的に何十年も働く可能性があるので、事前情報をしっかりキャッチした上で申し込むようにしましょう

ただし、派遣会社に登録した上で派遣会社から紹介予定派遣の案件紹介を受けるときは、企業名の案内を受けるので、紹介予定派遣を利用して就職先を探すのであれば、このデメリットはないともいえます

【企業側のメリット、デメリット】

次は紹介予定派遣における企業側のメリット・デメリットを見ていきます

メリット

まずはメリットから見ていきましょう

■募集費、面接工数の削減/縮小

求人募集費については、派遣会社にて対応するので、企業は求人募集費をかけないで済みます

また採用のプロである派遣会社が企業の求人条件に合わせて人選してくれるので、スキルのある即戦力の人材を人選してくれます

即戦力の採用によって、一からの教育費などのコストを削減できます

※基本的に派遣期間開始までにかかるコストはありません

■試用期間中に本採用するかどうか、決められる

企業側にとっては、派遣期間中に労働者を見極め、本採用するかどうか、を決めることができます

本採用しない決断をした場合、「解雇」という手続きは必要なく、「派遣期間を以って終了する」、という手続きになりますので、企業の解雇リスクを回避することができます

※【なぜ企業は派遣を使うのか?】詳しくはこちらで解説しています

デメリット

次にデメリットを見ていきましょう

■派遣会社への紹介手数料の発生

紹介予定派遣は基本的には成功報酬型となっています

3者が合意のもと、直接雇用が決まりましたら、企業は派遣会社に紹介手数料を支払うシステムになっています

企業側が派遣会社に支払う手数料は場合により異なりますが、「直接雇用した社員の年収の25%~40%」が手数料の相場となります

企業側はこの手数料の相場額と、求人や教育コストの相場を考えて、紹介予定派遣の利用を考える必要があります

実際に紹介予定派遣から正社員や契約社員として直接雇用される確率の相場はどれくらいなのでしょうか?!

ある調査によれば、派遣先の企業から派遣期間終了後に予定通りに転籍したのは、約6割ということです

このように紹介予定派遣では、決して低くない確率で直接雇用が成立しているといえます

一方で、紹介予定派遣の求人に応募した場合に、企業へ派遣社員として採用される確率の相場は約3割だったというアンケート結果があります

つまり、申し込みの7割は不採用となったのです

これは紹介予定派遣の採用が直接雇用を前提としていることから、これを採用するにあたって、履歴書や面接をもとに企業側が慎重に選考を行なうためです

この紹介予定派遣の選考において問題ないと判断されれば、無事に派遣期間に入ることができ、実際の仕事を通じて企業は直接雇用したいか、働く人は直接雇用されたいかを判断します

企業が紹介予定派遣を行う上での留意点

最後に、企業が紹介予定派遣を行う上での留意点を見ていきましょう

紹介予定派遣の派遣受入期間

紹介予定派遣では、同一の派遣労働者について6ヶ月を超えて労働者派遣を行ってはなりません

派遣先が派遣労働者を雇用しない場合等の理由の明示

紹介予定派遣を行った派遣先が職業紹介を受けることを希望しなかった場合や、職業紹介を受けた派遣労働者を雇用しなかった場合、
① 派遣先は、派遣元事業主の求めに応じて、それぞれの理由を派遣元事業主に対し書面、FAX 又は電子メールで明示しなければなりません

② 派遣元事業主は、派遣労働者の求めに応じて、それぞれの理由を明示するよう、派遣先に求めなければなりません

また、派遣先から明示された理由を、派遣労働者に対し書面(派遣労働者が希望した場合は、FAX 又は電子メールも可)で明示しなければなりません

紹介予定派遣に関する事項の記載及び明示等

紹介予定派遣の場合は、労働者派遣契約、派遣元管理台帳及び派遣先管理台帳に、紹介予定派遣に関する事項を記載します

また、派遣元事業主は、派遣労働者に対しても、雇入れ時等に、紹介予定派遣に係る派遣労働者である旨等を明示するとともに、就業条件明示書に必要事項を記載する必要があります

派遣労働者の特定に当たっての年齢・性別・障害による差別防止に係る措置

派遣先は、紹介予定派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為(試験、面接、履歴書の受付等)又は派遣労働者の特定を行うに当たっては、直接採用の場合と同様のルール(雇用対策法や男女雇用機会均等法、障害者雇用促進法に基づく指針を参照)の下、年齢・性別・障害による差別を行ってはなりません

試用期間を設けることの禁止

派遣先は、紹介予定派遣により雇い入れた労働者については、試用期間を設けないようにしなければなりません

派遣期間の終了後、直接雇用の切り替え時は試用期間を設けてはならない

まとめ

昨今、企業からのニーズも多い【紹介予定派遣】

紹介予定派遣の仕事は、既存事業の拡大や増強、新規事業の立ち上げなどに伴い、企業からのニーズが年々増加しています

しかし同時に、企業は社員採用に慎重になっている傾向もあり、「派遣期間での仕事ぶりを見た上で、社員として採用したい」という企業が増えています

企業側、労働者側、双方の多くのメリットがあるので、活用されています

労働者側にとっても、このシステムを有効的に活用し、就職活動に役立てたいですね


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