中二病のおかげで読書をするようになった人間の個人的なオススメの本

中二病のおかげで読書をするようになった人間のオススメの本

中学2年生と言えば中二病ですね。かく言う私も中二病は健やかに発症しておりました。私の場合は、学校の授業で平家物語を学習した際、冒頭部分の「祇園精舎の鐘の声〜」を見た時に何故か「コレだ!!」となりまして、以後、図書館で古典文学ばかり読みふけっていました。これだけならただの文学少女で済んだでしょうが、何故か図書館の椅子には座らず、ほとんど人いない古典文学の棚の前に脚立を持ってきて、その上に座り込んで読んでいました。人が通ると少しだけ背筋を伸ばして「私、今、古典読んでますよ」みたいなアピールをしていました。何がしたかったんでしょうね。”かっこよさ”のベクトルがおかしな方向に向いていますが、おかげで本自体を読むことは好きになりました。

さて、今日は何故こんな暴露話から始めたかと言いますと、本の話をしようと思ったからです。今までいろんな本を読んできましたが、その中でも定期的に読み返す本がいくつかあります。今回は最初に読んだ時のエピソードなども含めて本を紹介したいと思います。


1. 遠藤周作『深い河』

この作品との出会いは、高校の国語の授業です。ワークを解いていた時の課題文でした。いつものように課題文を読み始め、普段と同じように問題を解こうと思ったのですが、ある一文を目にした時にそれこそ古典的な表現ですがピシャーン!!と頭上から雷が落ちたような衝撃を受けました。それが以下の文章です。

「お前」
と彼は呼びかけた。
「どこに行ったのだ」
かつて妻が生きていた時、これほど生々しい気持で妻を呼んだことはない。

「生々しい」という言葉に含まれる男の妻への愛情や喪失感。たった一つの形容詞で表現される意味合いの深さに感動して、授業が終わってすぐに古典の先生を捕まえて「これ、この本すごい!!」と興奮のままに話しかけたことをよく覚えています。今でも、私の1番のお気に入りのブックカバーに包まれて本棚に入っています。


2. Julio Cortázar(フリオ・コルタサル)『遊戯の終わり』

「スペイン語圏の文学で、技巧的に面白いものはない?」という私の無茶振りに対して大学院時代の同期(スペイン語専攻)が教えてくれた本です。どれどれ〜?と読み始めて、数ページで騙されました。「え?!」と思って2、3度読み返して、そのトリックの簡単さに「騙された〜!!」と自分の机を叩きました。他の同期に変なものを見る目で見られたのはある意味で良い思い出です。トリックが分かった今でも、リアリズムのなかに突然現れる非現実感にゾクゾクします。推理小説とはまた違う”騙される”楽しさを味わって欲しいです。


3. Sir Ernst Hans Josef Gombrich(エルンスト・ゴンブリッチ)『美術の物語』

大学に入ってすぐの頃、「これ、西洋美術史の教科書みたいなもんだから」と教授に教えられた本の一冊です。教授に言われたその足で大学図書館に行き、カウンターで借りたいですと言って出てきたこの本を見た私は「漬物石の代わりになりそう……」と思いました。仕方なく、その重たい漬物石のような本のページをめくって読み始めたら、これはすごい!!となりました。
この本は、内容もさることながら、構成がすごいんです。よく、美術史の本を読むときに面倒なのは、画像などが後ろにまとめられているパターンです。これだと何度も何度も文章と画像を行き来しないといけません。でも『美術の物語』は読んでいる文章で注目されている絵画の画像が同じ見開きページに存在している場合がほとんどです。なので、ページを何度も行き来しなくてもスムーズに読むことができます。この本は本当に、美術史を勉強したいと考えている人に向けて配慮がされた素晴らしい本です。


4. 中島敦『名人伝』

青空文庫で無料公開されていますが、私は紙の質感が好きなので書籍で持っています。高校1年生の時の現代文の授業で『山月記』を勉強していた時、先生に「伊藤は心の中に虎を飼っているな」と言われたのでめちゃくちゃ印象に残っています。ちょっと変わった先生でしたが、あれから10年経って戦車にレベルアップしたので、あと10年経ったら何を心に飼うようになるのか楽しみでなりません。
さて、そんな話が本題ではないのですが、私は中島敦の作品の中でも『名人伝』が好きです。弓の名手たる男が”弓”を突き詰めようとするのですが、最後は……という話です。ある意味で弓の境地に至った男の姿を見た人々の恐怖が分かってしまうとともに、その男がほんの少しだけ羨ましいと思ってしまいました。そこまで突き詰められたら幸せなのではないだろうかと今でも思います。


終わりに

歳を経るごとに新しい視点で本を読めるのはいいことですね。読み返すたびに感じ入る箇所が変わったりし、今までにはなかった発見があったりして面白いです。今は仕事関係の本を読む傍で、ちょくちょく文学作品を読んでいたりします。皆さんのオススメの文学も聞いてみたいですね。

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大吉。朝に虹が見れて、夜に流れ星見れる
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Lin Ito

2019年1月から既卒フリーターでなくなり、ちゃんとした社会的身分を得ました。 株式会社Goalist:https://goalist.co.jp/

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