_みんなが使えるFACTFULNESS

イベントレポート:『みんなが使えるFACTFULNESS』

2019年7月4日の木曜日。noteさん主催の『みんなが使えるFACTFULNESS』に参加してきました!今回、株式会社日経BPの中川ヒロミさんがモデレーターだと聞いて、「おや!あの日経BPさんだ」となりました。というのも、つい最近、『GLOBALIZED 2019 外国人と共に歩む未来のビジネス』という日経BP総研さん主催のイベントにも参加したばかりだったので、ここ最近はすごく日経BPさんにお世話になっているからなんですね。株式会社ピースオブケイクさんには毎月のようにお世話になっているので、外苑前方面に足を向けて眠れないですね。

さて、今回は、デザイン部の先輩でもあるレタスさんと一緒にイベントに参加させていただきました!ちなみに、イベントはライブ配信されていました!そちらの動画が「次の日経を考えるチーム」さんのTwitterアカウントに掲載されていますので、見逃した人はどうぞご覧ください。

ちなみに、私は日経新聞さんの「日経ビジュアルデータ」がすごく好きでよく見てます。難しい情報をわかりやすようにビジュアル化するという点で、非常に良いお手本がたくさんあるので、よく参考にさせていただいております。特に、年金のシステムについて紹介してくださったものがすごく好きです!


0. そもそもFACTFULNESS(ファクトフルネス)とは?

さてさて、ではイベントの本題に入る前に、FACTFULNESS(ファクトフルネス)についてご紹介しようと思います。ファクトフルネスとはデータや事実にもとづき、世界を読み解く習慣を身につけよう!ということを紹介している本です。人間の思い込みを、10項目に分けてそれぞれの”思い込み”に対して、データを用いて真実を明らかにしていくというものになります。

ちなみに、FACTFULNESSでは、読者が13項目の問いに答えていくところから始まるのですが、そちらの問題のうち12項目のみ抽出したクイズサイトがありますので、ぜひチャレンジしてみてください。


1. 登壇者のご紹介

まずは、登壇者の皆様についてご紹介していこうと思います。詳しいご紹介と当日の資料に関しては、「次の日経を考えるチーム」さんのnoteに詳しく記載されているので、そちらをご参照ください!

▶︎西内啓さん(統計家):データビークル代表取締役 CPO

西内啓さんは、全てのビジネスマンが分析に携われるツールの開発、官民のデータ活用プロジェクトの支援に従事されている統計家です。

本イベントでは、「FACTFULNESSの中でどの”思い込み”が気になりましたか?」という問いかけが、イベントの最初に日経BPの中川ヒロミさんより登壇者の皆さんに投げ掛けられたのですが、西内さんは「ネガティブ本能」が気になるとのことでした。「ネガティブ本能」とは、物事のポジティブな面よりもネガティブな面に気付きやすいというものです。


▶︎樫田光さん:株式会社メルカリ データアナリスト

樫田光さんは、株式会社メルカリでデータアナリストチームのマネージャーをされていらっしゃいます。

ちなみに、FACTFULNESSは読まれたことがないそうで、「ぱっと読んで答えようかと思ったけど、FACTFULNESSってイベントだから正直に言おうと思って(笑)」と言っていらっしゃいました。本当に正直者で最初にちょっと笑ってしまいました。


▶︎深津貴之さん:株式会社ピースオブケイク CXO, 株式会社THE GUILD 代表取締役

深津貴之さんは、人の行動や体験を設計するお仕事をされている人です。noteを運営されているピースオブケイクのCXOでもあり、THE GUILDの代表取締役でもあられます。ちなみにですが、弊社のデザイン部は一度、THE GUILDに所属されているこばかなさんのグループコーチングを受けたことがあります。あの時は、大変お世話になりました。ありがとうございます!

さて、恒例のどの思い込みが気になるかについての質問ですが、深津さんが気になっている本能は「直線本能」だそうです。人は右肩上がりのグラフを見ると、「このままの調子で伸びていく!」と考えがちなのですが、例えば身長などを例に考えたとしても、身長の伸び率が右肩上がりの直線のまま進むことってないですよね。


▶︎中川ヒロミさん:株式会社日経BP 書籍編集1部部長

写真を撮っていたのですが、ブレブレで使えず……本当に申し訳ございません……。中川さんは日経BPで「ファクトフルネス」の編集を担当されていらっしゃったそうで、イベントのモデレーター(パネルディスカッションなどの司会者)として登壇されていらっしゃいました!


2. 私のデータ活用法

まず、普段、どのようにデータに向かい合っていますか?という質問に対して、深津さんは「定量と定性のバランスをとっている」と仰っていました。特に、noteの運営に関わる際には、数値といった定量的なものと、「あたたかい」「嬉しい」など感情を示す定性的なデータの間をいったりきたりしつつ、両者のつながりを保っているそうです。また、データを点として見るのではなく、どの数値とどの数値が関連しているのか構造を見ているのだとか。「(データを)関係性というか、ペアとかチェーンを気にして見ている」と仰っていたのが印象的でした。

西内さんは最初、「職業柄か、飲みにいく先々でインタビューしてしまう(笑)」と仰っていました。「なるほど、統計家の職業病みたいなものってそういうところに出るのか!」とちょっと面白い雑学を知ることができてよかったです。

さて、本題のイベントのお話なのですが、西内さんはデータの見せ方という点で非常に面白いお話をされていました。「どれだけ複雑なデータ処理をしたとしても、相手に見せる時は棒グラフにすることがある」と仰っていました。データに基づく意思決定には向き不向きがあるので、まずは影響力のある人を見つけて、そこからジワジワと波紋を広げていくようにデータの使い方を教えてみたりするんだそうです。
また、相手のリテラシーに合わせて見せ方も変えることが重要とのこと。確かに膨大な量のデータを見せられても「で?」となる人もいますよね。そこでビジュアル化することで、複雑なデータもパッと見て分かるようにすることが大切なんですね。

樫田さんのお話で一番印象深かったのは、「10の思い込みをビンタで変えていく」という話です。せっかく事業や会社にとって有益なデータに基づいた改善策を提示したとしても、事業とか組織とかは大きくて重い石のようなものでなかなか動かせないんですね。「それこそ、ビンタをし続けてやっと数ミリ顔の向きが変わる程度」と樫田さんは仰っていて、会社を動かすってすごく大変なんだなぁと改めて思いました。

また、樫田さんは分析をする上での順序として以下の3つの段階を意識しながらやるといいかもねと仰っていました。

1. ものごとを知る。
2. ものごとを理解する。
3. ものごとを変える。

よく、「ものごとを変えよう!」と意気込んで、いきなり3から始めてしまいがちですが、まずはものごとを知って、理解することが大切とのこと。例えば、樫田さんの例を参考に、ダイエットについて、1、2、3それぞれについて考えると、

1. 現状の体重を知る(平均値よりも高いのか)
2. どうすれば体重が増減するのか(食事制限で減るのか、運動なのか)
3. PDCA(Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善))を実行する

何かを変えたい!と思ったら、まずは現状を知って、それがどうすれば変化するのかを確認してから、より良いサイクルを回していくことが大切なんですね。


3. データとの付き合い方

次は、FACTFULNESS(ファクトフルネス)のカバーデザインを決める際のABテストのお話になりました。表紙タイトルの色に関して、出版社としては目立つほうが良いということで「赤」にしようと判断していたものの、最後の最後に、「赤」か「青」かで迷われてしまったそうなんですね。
そこで、「せっかくだし、一般の皆さまに聞いてしまおう!」となったそうで、SNSを利用して問いかけたんだそうです。そして、結果は、「Twitterは青。facebookは赤」となったそうです。ABテストでこんな風に真っ二つに意見が割れてしまうと実行した側として「まじかよ……困る……」となりますよね。

深津さんはこのABテストの話を聞いて、「ABテストは麻薬みたいなもの」と仰っていました。ABテストが最終結果に対してどれほど重要なものなのか把握しないまま、テストを続けるとそのうち明日の天気までテストしたくなると仰っていました。そこで、深津さんはご自身でABテストされる際に気をつけていることを教えてくださいました。

①どのぐらいの粒度
②どれぐらいの範囲
③どれぐらいの時間(レンジ)

どれぐらいの粒度というのは、それこそ企画の最初の核となるような部分をABテストで知りたいのか、それともデザイン上の僅かな色の違いを調べたいのか、このテストをすることでどの程度その企画に影響がでるのかを知ることが大切とのこと。

2つ目と3つ目に関しては似ているのですが、実際のどの範囲をテストするのかとそれを何日、何ヶ月テストするのかということを明確化することが大切なんですね。また、3つ目の時間に関して、現在は影響がなくても、5年後、10年後には影響が出てくるかもしれないことに関しても出来る限り考慮するして実行することが大事だと仰っていました。

また、KPIの設定については、西内さんが「ズルがしやすいか、しにくいかどうか」が1つの基準になると仰っていました。KPIを設定する際に、「このKPIはずるしてでも達成できる方法があるか」ということを、誰かと話しながらやっていくと良いと仰っていました。
その一方で、樫田さんは「(KPIの設定において)ライブ感をもって追える数値であることも大切」と仰っていました。ガチガチにKPIを固めてしまうと、数値を追いかけることだけに注力してしまったり、何か大きな変革が起こった際に臨機応変に数値を変えていくことが難しいんだとか。西内さん、樫田さん両者どちらの意見も大切ですね。実際に程よいKPIの設定というものは難しいですが、KPIの設定をしっかりとしつつも、臨機応変に変化させていくことも大切なんですね。


4. 質疑応答

さてさて、最後は質疑応答です。事前に応募記入の際に聞かれていた質問と、Twitterより集められた質問から登壇者の3人に質問がなされました。その中でも1番盛り上がっていた「データの使い方が上手い人をどうやって見極めていますか?」について書こうと思います!

Q:データの使い方が上手い人をどうやって見極めていますか?
樫田さんは「上手い人は構造化、抽象化が得意」と仰っていました。「物事をやたら例えるな~という人は、データ分析上手ですよ」とのことです。

西内さんは逆にデータの扱いが苦手な人についてお話してくださいました。その名も「ご長寿おじいちゃん問題」です。「タバコが体に悪いのは当たり前だけど、『いや~僕のおじいちゃんはタバコ吸っていても80歳まで生きていて・・・』みたいな人はダメですね(笑)」と仰っていました、数百、数千数万のデータよりも、自分の思い出や考えのディテールに対してこだわりが強い人は向いていないそうです。

深津さんは「自分の知らないデータで、自分のやっていることが否定されたときに、建設的な対応を提案してくる」とお話ししていました。知らないデータを元に話を進められたとしても、後々に調べてちゃんとリスクヘッジをして、「前のあの時のあれってこうでしたよね?」と聞いていける人が強いのだそうです。


5. 最後に

私はデザイナーなのですが、社内のデータに触れる機会も増えてきて、集まってきたデータをどうやって活用するのか、このデータをどう見せるのかについてよく悩みます。最近は「そもそもこのデータってなんで集めていたんだっけ?」とデータの大元に立ち返ることも少なくないです。

ただ今回のイベントのお話を聞く限り、自分でデータを色々触ってみて、失敗しながらも確かめていくしかなさそうですね。ネットや本を見ればいろんなデータの見方や方法があるはずなので、仮説と検証を繰り返しながら「なるほど、これは大雑把なデータでも大丈夫」という風に判断できるようにならないといけないですね。ただ、もちろん、会社のデータは慎重に扱う必要があるので、どのあたりならば大きな影響が出ないかを見極めつつ、色々と探っていこうと思います。


6. おまけ

途中、何度か樫田さんがハンバーガーのお話をされていたからか、レタス先輩と「脳汁のドバドバでるハンバーガー食べたいですね」となって帰りに一緒にご飯を食べました!

ちょうどイベントがあった7月4日が私の誕生日だったので、レタス先輩がご馳走してくださいました。ありがとうございます〜!!中のお肉は、一口食べるだけで肉汁が溢れ出てきて、しかも超分厚い!アボガドもちょうどいい熟れ頃のもので、歯ごたえ食べごたえともに抜群でした〜。脳汁がドバドバでるタイプのハンバーガーで、めちゃくちゃ美味しかったです!


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