ガッチリ成果を出す_Web担当者の教科書

書評「ガッチリ成果を出す Web担当者の教科書」

たまに会社帰りに本屋さんに寄り道をするのですが、最近は仕事関係の本をよく探しています。そこで、WordPressについての本を探しているときに、たまたま「ガッチリ成果を出す Web担当者の教科書」と目があったんですよね。本と目が合うという表現は変なのかもしれないのですが、手にとって目次部分をパッと見た時に「この本は信頼できる!」と思って即購入しました。


1. 本書の構成

 序章:Web担当者になったら最初にやること
 第1章:ホームページとマーケティングの関係をおさえる
 第2章:目標設定のポイント
 第3章:お客様の調査をしよう
 第4章:ホームページの資産を活用する
 第5章:コンテンツ設計&作成のコツ
 第6章:ワイヤーフレームで効果の出る構成を設計する
 第7章:効果的・効率的な運営をするには
 第8章:成果をきちんと測定・共有する
 第9章:改善を繰り返していっそうの成果を引き出す

本書は、新たにWeb担当者になった人が、すでに存在している自社Webサイトについて把握するところから始まり、その後どのように目標を立てて、改善していくのかを実践ベースで紹介してくれています。Google AnalyticsやGoogle Search Consoleなどのツールをどこで使うべきなのかも書かれています。専門用語は基本的に解説付きなので、文章は非常に読み易いです。いきなり上司から「君、明日からWeb担当ね!」と急に言われた人でも、何をどうやって改善すればいいのかが、1つ1つ丁寧に説明されています。

私がこの本をパッと見て「いいね!」と思った理由ですが、「序章:Web担当者になったら最初にやること」の最初の項目が「引き継ぐべき情報を把握しよう」だったことです。どの会社でもそうだと思うんですが、「前任者がいなくなったら、何も分からなくなりました!」という事態に陥ることってあるあるだと思うんですよね。でも、引き継ぎ資料って作るの大変じゃないですか。自分がやってきた仕事内容をドキュメント化して、注意点などを後継者に伝えていくのは結構な労力がかかります。本書では、「日常の業務記録や、何に気をつけるべきかをデータ化して普段からまとめて、それを引き継ぎ資料としても使ってしまおう!」というお話が度々登場します。そのためのテンプレートデータも数多く用意されているので、非常に助かります!

さてさて、ここからは本の内容について書いていこうと思うのですが、今回は私が気になった章を5つほど取り上げて、ご紹介していこうと思います!


序章:Web担当者になったら最初にやること

まず、この章では引き継ぎから始まってから現状確認までの必要な手順を紹介してくれています。それこそ、連絡網の作り方までちゃんと載っているので、「これは誰に確認をとったらいいんだ?!」と言うことを未然に防ぐこともできます。私も経験がありますが、人物相関図ができていないと、後からじわじわと効いてくるんですよね……。特にはじめての方は顔合わせの意味も含めて、ご挨拶は重要だと思います!

また、Web担当者の日々の仕事として5つの項目を紹介してくれています。

①自社のホームページを見る
②ライバル社などのホームページを見る
③自社のホームページのデータを見る
④情報発信を行う
⑤ホームページを改善し、成果を出す

当たり前のことではあるものの「忙しくて、情報発信まで全然手が回らない……」と言う人や、「データってどう見ればいんだ……」と思われる方もいらっしゃると思います。まずは「自社のホームページが何ページあるのか?」を調査することからはじめてみましょう。本書では、自社のホームページが何ページあるのかを検索する方法もいくつか紹介されています。


第1章:ホームページとマーケティングの関係をおさえる

さて、Web担当と切っても切り離せないマーケティングです。ですが、読み進めていくと「Webマーケティング」という言葉を忘れようと言うタイトルのページが出てきます。

「Webマーケティング」は便利な言葉なのでよく使いますが、Webがマーケティングなのはあたりまえで、あまり意味はありません。ホームページは、それを運営することが目的ではありません。「ホームページを活かして、何を達成するのか?」が大事です。(p.37)

私は「Web担当=ホームページの運営担当」と言うイメージがあったので、このページを読んで「確かに!手段が目的になっていたなぁ……」と反省しました。Webサイトを通して、どんなゴールに到達したいのかを考えることはとても重要ですね。そのためには自社の商品や、誰が顧客なのかをはっきりさせることが大切になってきます。


第5章:コンテンツ設計&作成のコツ

 商品とは、顧客の課題を解決するように開発されています。それがあるから特徴的なのであり、売れるわけです。だから、課題を持った人がホームページを訪れて、その製品のその特徴にたどり着くことができれば「良い解決策を見つけた」と感じることになります。
 コンテンツとは、このように「商品の良いところ」と「課題を持った顧客」を結びつける場です。(p.124)

さて、Web担当初心者が困ることの1つが「コンテンツ制作」です。特に文章を書き慣れていない担当者にとっては、いきなりネタも何もなく文章を書くのはかなり大変です。そこで、本書では「商品の良いところ」から始める方法と「課題を持った顧客」から始める方法、2のアプローチのやり方を紹介してくれています。商品の良いところを10個書き出してみると、意外と一般的なことだったり、自社特有の強みが明確になったりします。また、ターゲットから考えてみると、かなり深掘りできることがわかります。例えば、「ホテルマン」1つとっても、それは高級ホテルの従業員なのか、地方のビジネスホテルの人なのかでターゲットとする層がかなり変わってきます。なので、この2つのアプローチ方法をうまく活用しながら、コンテンツを作っていくことが大切だと思います。



第7章:効果的・効率的な運営をするには

「ニュースはない」とWeb担当者が言っていても、実際にはニュースがないのではなく、社内の情報流通が悪く、Web担当者に情報が回ってこない、という事情を反映している場合が多いようです。(p.184)

序章でも述べたように、人物相関図を作ることが大切なのは、実はこういう場所で地味に効いてくるからです。「何かコンテンツを作らないと!」といろんな部署を探し回るよりも「あそこの部署の〇〇さんはすごく協力的だから、ちょっと頼んでみよう!」と言った風に簡単に取材先を見つけることができます。

また、計画性も大事になってくるので、季節の商品などがある場合は早め早めに手を打っておくことが大切になってきます。社内のスケジュールと一般的なカレンダーのイベントと組み合わせて年間のスケジュールができるようになるといいですよね。(とはいえ、私はまだそこまでのことはできていないのですが……)


第8章:成果をきちんと測定・共有する

ホームページを運営していくなかでは、発信した情報がどれだけ見られたのかを確認していく必要があります。自分の活動の成果がどれだけ出たのかを、数字にして会社にフィードバックしていけば、自身の評価にも繋がるでしょう。各製品担当の事業部スタッフに数字を伝え、効率的な運営を指導することも、Web担当者の重要な仕事です。(p.200)

アクセス解析ツールとして代表的なのは、Googleアナリティクスですね。私もたまに中を覗いてはいるものの、まだ使い方をよく理解できていない段階です。とはいえ、本書を参考にしながら「ユーザーの属性」や「ユーザーが使っているデバイスはなんなのか」などを見ることができるようになりました。

他にもリスティング広告の効果を高めるための方法やホームページの「見ていておもしろくない」を解消する方法なども記載されています。また、社内での評価が上がるようにするにはどうしたら良いのかなど、Web担当にとってありがたい施策が書かれたページもあります。なかなか、Web担当の仕事って理解してもらうことが難しいと思うので、数値化して見えるようにすると「おぉ、頑張ってるじゃないか!」と評価をもらえるかもしれません。


最後に

最初にこの本を見た時、「引き継ぎの重要性」がトップバッターに来ていてすぐに信用して本を買いました。やっぱり引き継ぎってなかなか大変なんですよね。そもそも私はWebの知識がほとんどないところから、Webに関わり始めたので、「KPIってなに?CVって?SEOって何をするの?」という手探り状態でした。今でも手探り状態なのはあまり変わりませんが、本を読んだりしながら少しずつ「こういう意味だったのか!」と知識と経験が結びつくような形での学習が増えてきました。一番遠回りなように思えて、結局このやり方が一番いいのかもしれません。これからも、知識を増やして経験に結びつけられるようにしていきたいですね。

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