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遠隔操作

人気のいない道を選んで進む。
右か左、どちらに進もうか迷った時に重要にするのは2つ

1.どちらの方が緑が多いか
2.どちらが人が少ないか

それを直感的に選び取ってよく散歩をしている。
ある日、住宅街を歩いていたら緑がたくさんある家から
『はーーーい!』
『はーーーい!』
という親子の声が聞こえてきた。

子供はおそらく6歳ぐらいだと思う。
親はお母さんだったと思う。

お母さんが『はーーーい!』というと、娘さんも続いて『はーーーい!』といっていた。何かの練習かな?
なんにしても微笑ましい日常だなと思ってニヤニヤしながらその家の横を通った。側から見たら僕は泥棒もどきか、不審者だったと思う。
人のいない道を選んで正解だった。

2人のラリーが2回ほど続いた。
『はーーーい!』
『はーーーい!』

『はーーーい!』
『はーーーい!』


3回目にお母さんが
『はーーーい!』と言った。
頭の中で「娘さんがまた言うんだろうな」と思ったら
娘さんはお母さんの『はーーーい!』に続かなかった。
代わりにその家からかは分からないが、車の解除音が聞こえてきた。
『ピッピ!』
その後、2人の声は聞こえなくなった。

今までは
『はーーーい!』
『はーーーい!』
のラリーだったのが、

3回目は
『はーーーい!』
『ピッピ!』
だった。


あ、なるほど。彼女たちは『はーーーい!』と叫んでどちらが先に駐車場にある車を鳴らせるかを対決をしていたんだ。
なるほど、娘さんは負けたショックのあまり声が出なくなったんだな。
今頃お母さんが「いい勝負だった。」と言わんばかりに娘さんにジュースを用意しているんだろうね。真剣勝負の後に無駄な言葉は不要とでも言わんばかりに2人とも黙って
互いの健闘を讃えているのだろう。

僕は今日、ある2人の真剣勝負に立ち会えたのだ。

僕は心の中で小さく拍手をして、2人の健闘を讃えた。
「いい勝負だった。」

しばらく歩いてからも、2人の声は聞こえないままだった。


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