パクリ。

この言葉に人一倍敏感になってしまう職業。
知らずにかぶってしまうこともあれば、
好きが故に無意識のうちに
寄ってしまうこともあり、
それを避けて、誰ともかぶらない
オリジナルを追求することが
「美」とされる世界。
それが芸人なのかもしれない。

僕、料理好きなんですよ！
飽き性でいろいろすぐ辞めたけど
唯一長く続いてる趣味ちゃうかなー。

実家出てから早８年。
一人暮らしを機に料理始めたんで
かれこれ８年モノの趣味。
よー続いてるわ。

なんで始めたんやっけな。
芸人たるもの仕事につながる
趣味のひとつでももってないと！
みたいな感じで始めたっけな。

「衣・食・住」のどれかなら廃らんし、
その中で決めたほうがええかー。
で、宅建の資格取るか料理するかで悩んで、
「でも料理やったら生活に支障ないな！
だってごはんって生活やし！」
とかそんなんで決めた気がする。

安易。

実家いた時は包丁すら握ったことなくて、
「料理初心者きほんの『き』」
みたいな本買って、
包丁の握り方やら野菜の切り方やら
そんな文字通り基本の『き』を
バカ真面目にやり始めた。

野菜の切り方もいろんな名前あるんやなー
大さじ１って小さじ３なんか。ふむふむ。

忠実。

少しずつ料理に慣れ始めた頃、
おかんが実家で作ってくれてた大好物
「白菜とお揚げさんの炊いたん」
がどうしても再現したくなった僕は、
おかんに電話してレシピを聞いた。

「おかん、あれどやって作るん？」

「野菜とお揚げさん、ばーって切って、
醤油２周とみりん１周ぐらいかな、
あとお酒入れてなんやしてるだけやで。」

心からの「もうええわ」が出た。

それから８年が経ち、
人並みに料理はできるようになった。

でも、僕は料理上手ではない！

「え〜そんなことないですよ〜
料理めっちゃ上手じゃないですか〜」

って言われたくて言ってるのでは断じてない！！！

料理本を見て再現することは
たしかにできるようになったけど、
これは僕からすると、

「パクリ」

なんですよ。

職業病なんかな？
でも、これわかってくれる人
ぜったいおるはずやねん！！！！

オリジナルレシピが開発できたり、
料理本見なくても自分の感覚と経験で
めちゃ美味料理作れて初めて
料理上手なんやと思うねん！！

８年やで８年！！！
結構な年数経ってんで！
なんででけへんねやいつまで経っても！

今日は感覚で作ってみたれと思って
自分のセンス信じて
フライパン振ったら毎回予想以下！！
ほんまにいっつも、
なんかちゃう！！

別にまずくはないで？
そらそうやん一応８年やってるもん
ただ決してめちゃ美味ではない！！！！

だから未だに
「今日はもう簡単なもんでええか〜？」
とか言って、
キッチンで隠れてクックパッド開いて
あたかもセンスでやりましたみたいな顔で
斜めに天井見ながらパスタ出すねん！
だっさ！！！！なんじゃ俺！！！

隠れてパクってるやないか！！

センスで勝負したかったのに！
なんとなく作ってみた料理出したら
「お前もしかして、どっかでやってた？」
的なこと言われてみたかったのに！
自分の知らない自分の才能に
戸惑うやつやりたかったのに！！

結局料理も努力なんかい！！！

そう思ったら、改めて
おかんてえぐいなと思えてきて。

そういえば昔喫茶店の店長やってたって
言うてたな！
調理師免許も持ってるて言うてた！
ただそれにしてもえぐいやろ！
息子がこんなに大きくなるまでの数十年
膨大なメニュー数出してくれてたんか！？！？

料理本読んでるのなんか見たことないし、
あの時代まだクックパッドもコウケンテツも
リュウジのバズレシピもあらへんで！！

おかんは何十年に渡ってえぐい数のレシピ
感覚と経験で作ってきてたってこと！？！？
醤油１周とか！？野菜バーっととかで！？！？

あかんえぐすぎる。
師匠はこんなに近くにいたんかっ！！！

すぐおかんに電話をかけた。

「おかん！料理の極意ってなに！？！？」

作るだけやなくて、
片付けと洗い物まですることちゃうか。

師匠！！！！！！！！！！！

まだまだ料理の道は険しい。