米野 智人（よねの・ともひと）

捕手・内野手・外野手　右投げ・右打ち　1982年1月21日生まれ
ライオンズ在籍：2010途中～15年
通算成績：300試合 661打数 136安打 打率.206   13本塁打　64打点
背番号：36（10途中～15年）
当日所属：TEAM LIONS

北海道の北照高では、2年春のセンバツに出場。初戦の郡山高（福島）戦で、2度の盗塁を阻止した強肩で、高校球界ナンバーワン捕手と注目を集める。

1999年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団する。入団直後の春のキャンプで、縄跳びの二重跳びがなかなかできず、投げやりな態度をとったところ、2軍守備走塁コーチとして指導者生活を始めたばかり辻󠄀発彦から「最初からできないって決めつけるな。そんな気持ちだったら、この先何もできないよ！」と、鬼の形相で叱責されたことがあったそうだ。（https://bunshun.jp/articles/-/49603）

入団3年目の02年8月11日、レギュラーの古田敦也が発熱で欠場。初めてスタメン起用されると、その試合でプロ1号となる同点本塁打を放つ活躍、“古田2世”と呼ばれるようになる。

古田が兼任監督に就任した06年には、後継者として期待され、シーズン116試合に出場。7本塁打したのだが、11失策、5捕逸と、守備面に課題も残すと、福川将和、川本良平、衣川篤史といったライバルたちの台頭もあって、正捕手の座はつかみ切れなかった。

10年シーズン、オープン戦で左ヒザに大ケガをした炭谷銀仁朗が長期離脱。右ヒザの故障で野田浩輔が出遅れるなど、捕手の駒不足に悩んでいたライオンズと、投手力を整備したかったスワローズの思惑が一致。6月の交流戦明けに、山岸穣とのトレードでライオンズに移籍する。

だが、ライオンズでは出場機会がさらに減少。行き詰まりを感じるなか、30歳の節目を迎えた12年シーズンからの外野手転向を決断する。ほかに右打ちの控え野手は佐藤友亮だけ。決断は吉と出て、移籍後初の開幕1軍入りを果たすと、代打だけでなく、相手先発が吉川光夫（北海道日本ハムファイターズ）、成瀬善久（千葉ロッテマリーンズ）といった左投手のときには、ライトでスタメン起用されるようになる。

開幕から1ヶ月になろうとしていた4月26日、福岡ソフトバンクホークス戦。1対3とライオンズが2点を追いかける9回表、マウンドには抑えのファルケンボーグがあがっていた。この日までに登板8試合連続セーブ中、8イニングを13奪三振無失点に抑えていた難攻不落のリリーフを相手に、ライオンズ打線は2死1塁から、3番の中島裕之が二塁打を打ち、粘りをみせる。

4番中村剛也が敬遠で歩かされ、満塁となったことろで、この試合8回表から途中出場していた米野の打席がまわってきた。

1ボールからの2球目、「絶対真っ直ぐでストライクを取りにくる」とストレート一本待ちで、芯でとらえた打球は、福岡ヤフードームのレフトスタンドへと舞い落ちる。自身5年ぶり、移籍後初となるホームランは、起死回生の逆転満塁アーチとなった。

その後ファームでは、外野だけでなくファーストやサードも守ったが、1軍での出番はほとんどないまま、15年オフに自由契約となる。

それでも「まだプレーがしたい」と、捕手兼2軍バッテリーコーチ補佐として、地元球団の北海道日本ハムファイターズに“里帰り”。選手としてプレーしつつ、ファームの遠征中、鎌ヶ谷で残留組の投手陣をケア。4月20日ライオンズ戦では「もうやることはないと思っていた」キャッチャーで5年ぶりに試合出場。8回表から2イニングマスクをかぶった。

ファイターズに1年間在籍したあと、みずから引退を申し入れる。17年間のプロ野球人生のハイライトとなった満塁弾は、自身最後の本塁打となった。

引退翌年の17年3月、東京・下北沢でヘルシー志向のカフェレストランをスタートする。選手時代の晩年、無農薬の野菜を摂ったり、化学調味料を避けたりして、食生活を見直したところ、遅くなっていた疲労の回復が改善したことがあり、その経験が出発点になっているそうだ。ご実家が札幌で喫茶店を営んでおり、飲食店の経営には馴染みもあった。

新型コロナの影響により、経営に大きな痛手を受けたなか、球団からの声掛けや、涌井秀章やG.G.佐藤といった元チームメイトらの協力もあって、現在はベルーナドームのライトスタンド後方の外周通路沿いに「BACKYARD BUTCHERS（バックヤード・ブッチャーズ）」をオープン。肉の代わりに大豆ミートを使うなど、食材に動物性のものを使用しない「ビーガン食」のメニューを提供している。

「LEGEND GAME2024」当日は、グラウンドでは打って守って、スタンドでは調理、販売と、大忙しの1日になりそうだ。

「LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024」
3月16日（土）12:00開場／14:00試合開始
会場：ベルーナドーム
配信：パーソル パ・リーグTV
放送：BS朝日（翌日録画放送）