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1年で売上3倍以上に伸ばした、間借りカフェでの試行錯誤

こんばんは、小夏です。
5月から枚方で「おひとり様カフェ」を開くため、現在店舗改装中です。

3月いっぱい、開業資金を貯めるためクラウドファンディングに挑戦中。
遠方でもおうちにお菓子や珈琲が届いて、ゆったりおうちカフェが楽しめるリターンもあるので、是非覗いてみてください。 


2025年秋に次のお店を持てたらいいな〜なんて考えていた1年前。
そこから1年半も巻きで新店舗を持つことになったきっかけは、間借りカフェでの経験でした。

ちょうど今日が最後の間借り営業だったので、一旦ここに試行錯誤の爪痕を残しておこうと思い、うつらうつらしながら書いております。


「知り合いが京都でコワーキングスペースを始めるので、よかったら間借りでカフェ出店しませんか?」と、お世話になっている方にお声掛けいただいたのが昨年2月。
まだ完成前の物件に伺って、ひっそりと佇む隠れ家感や、鴨川沿いという立地、あとは内装の色がドンピシャ好みだったこともあり、そこで営業を始めることに。

結果として、
最初の2ヶ月の平均売上:26,000円/日
最後2ヶ月の平均売上:91,000円/日
と、3倍以上もの売上を出せるようになりました。

この1年で行った具体的な試行錯誤も後ほど詳しく書きますね。


まず、私が借りていたのは「かもがわクリエイティブベース」という、クリエイターが集まるコワーキングスペース。現在会員は約40名で、間借り会員は私以外にも7-8名ほどいます。

HPはこちら。

料金形態としては、
月額基本料金:2,500円
平日利用:3,500円/日
土日利用:6,000円/日です。
昼営業と夜営業で枠が分かれています。
(※2024年3月現在の情報なので、今後変わる可能性アリ)

なので、17:00までの昼営業で平日2日+土日2日利用しても固定費は21,500円。
食器やケトルなど、基本カフェ営業に必要な備品は揃っているので、その辺りも使えて固定費がこれだけで済むのは本当にありがたい。(実店舗だと何やかんやで15万はくだらないはず)


1年利用して感じた、間借り営業のメリット

① 夢の挑戦へのハードルが低くなる
飲食店を経営する、となると相当の覚悟が必要だし、お金を貯めるまでも時間がかかる。だけど間借りカフェだったら自分のやりたいことを試してみて、上手くいくorいかない→改善を繰り返す→その過程や飲食店経営が自分に合っているかを見つめ直す→自分のやりたい形を身軽に模索する
というこの過程を自由に試せる。
もし、全然上手くいかなかったり、自分にはこの仕事合っていない!と思っても、大怪我はしない。逆に上手くいったら夢への距離がぐっと近づく。(その結果私は1年半も巻いて新店舗を開店することに)

メリットの大半は①だと思うので、他はさらっといきます(ちょくちょく本質的には被っているけど)

② お店のための環境が整っている
食器やウォーターサーバー、冷蔵庫など共用の備品が揃っているので、商品さえあれば営業できる、という手軽さ

③ 他の仕事と掛け持ちしながら営業できる
かもベースでの間借りは大体2-4日の方が多く、皆さん大体他にも仕事を持っておられます。当たり前のことだけど、実店舗を経営していたらそこの固定費を回収するため稼働率上げないといけないけど、間借りなら利用する分だけ料金を払うため、それぞれの都合に合わせて借りられる。

④ 横のつながりができる
飲食店の休みの日を借りる”間借り”ではなく、ここの場合は1階スペースを複数店舗でシェアする形での”間借り”なので、自分以外のいろんな出店者さんと繋がれます。飲食だけじゃなくてこのスペースの会員さんもとっても素敵で面白い方ばかり。

⑤ 営業形態の試行錯誤ができる
飲食店を始めてしまうと、営業日や時間、コンセプト、提供方法やメニューってなかなか大幅には変えられませんよね。だから始める前に「何を売るか」をめちゃくちゃ考えなきゃいけないけど、自分でやるのが初めての人は、その決め打ちが大変。だけど、間借り営業なら身軽に色々試せる(限度はあると思うし、借りる場所との兼ね合いはあると思いますが)。
以下に、私が実際に営業しながら改善を図った試行錯誤の内容を紹介します。


間借り営業の試行錯誤

・客数を上げるのではなく、客単価を上げる工夫をすることで、一人一人のお客さんとのコミュニケーションの時間を確保する

・理想の予約数を確保するために、試作・撮影・告知投稿のタイミングを月単位でスケジューリングしておく

・お客さんとのコミュニケーションも大事にしつつ、スムーズな提供を行うために土日祝はアルバイトに来てもらう

・ロスを出さないための”取り置き予約制度”を設けつつ、”予約しないと入れないお店”の印象にはならないようなコミュニケーション

・客単価が2,000円を超えるようなメニュー構成&テイクアウト導線

・店のスタンスを伝え続けることでフォロワーさんへの刷り込みを行う(=ブランディング)

・待ち時間を有効活用するためのパンフレット配布

・看板を置いて通りすがりへの集客を行ったが、ランチ後でドリンク1杯のみでの利用の方が多い&floatへの熱量の高さの共有感が薄れる、という効果があったので看板を出すのはやめた

・Instagramでの世界観の意思表示・BGM・接客時の声のトーンを徹底することで、空間のコントロールができるようになっていった

・3ヶ月連続でパフェを作っていた時期、各所インフルエンサーさんの効果でフォロワー・新規来店が急増したが、消費されている感覚に違和感を感じてパフェをやめた

・2日連続営業にすること・毎回の仕込み量とその結果、予約有無の割合の仮説検証を繰り返すことで、ロスを少なくしつつ最大限お客さんにも提供するためのおやつの量のバランスが掴めるようになっていった

これらの試行錯誤は頭の中で何となく繰り広げられていたのではなく、日々の営業後に会員だけが見れるDiscordで日報としてまとめていました。


定性的な評価だけでなく、客単価・客数・売上の仮説を立てて、それを達成するために何を何個売るかまで細分化して製造計画を立て、定量的な評価も毎回行う。
必ず+かーのどちらかに結果はずれるので、なぜかを分析して、次の行動を決める。

いわゆるPDCAをずっと回しながら、いつかやりたいお店でどういう空間を作りたいかを定期的に言語化しながら、そこに繋がるように考えて営業をしていました。

だからこの1年間の間借りカフェで上手くいったことも上手くいかなかったことも全てが新店舗開業への糧となっていました。


間借り営業で大変だったこと

もちろん、間借り営業のメリットは多くて、いずれ飲食店を開きたいという方は一旦こういう場で試してみるのが良い!と自信を持って言えますが、もちろん大変なこともいくつかありました。

① お菓子は別の場所で作って持ち込まなきゃいけない
場所によりますが、私が借りていたかもベースは本格的にお菓子や料理を作れるスペースや機材はないので、基本それぞれが作って持参することになります。私は枚方で製造工房を持っているので作る場所は問題なかったですが、営業日のたびに片道約2時間かけて車でお菓子を運んでいたので割と大変でした。

② 通りすがりの集客が難しい場所だった
これも場所によりですが、かもベースは木屋町通りから少し奥まった場所にあるため、通りすがりに人がふらっと入ってくることがありません。猫ちゃんぐらい。
だから、私はInstagramでの集客をしっかり行うために定期的な投稿や魅せるための写真撮影を頑張りました。
あとは永遠に新規集客ばかりはしんどいので、「一度来てくれたお客さんがどうやったらまた来たいと思うか?」を必死で考えていました。

③ 同じ場所を共有するためのコミュニケーションが必要
ひとつのスペースを複数人で使うので、冷蔵庫のスペース割り振りだったり、場所が決まってなくて備品が迷子になったり、備品が故障してしまったり。自分ひとりで使っている訳ではないので、予測不能なトラブルがたまにありました。
ただ、都度間借り店同士でのミーティング機会を設けていたので解決策を話し合ったり、疑問点を聞きあったり、ちゃんと話しながらスペースとしてのルールを決める過程は楽しかったです。


色々書きましたが、
とにかく、私はこの場所に出会えたことが奇跡だと思っています。
たくさんの楽しい思い出ができたし、毎回お客さんにエネルギーをもらえたおかげで、次のステップに全力で向かっていけました。

間借りでカフェを利用させてもらってちょうど丸1年。
始めたころには想像もしていなかった、たくさんの出会いと、楽しかったり悩んだり笑ったりの思い出と、急成長できた経験と、人と人とが繋がっていく嬉しさと。
いろんなものを与えてくれてありがとうございました。

バトンを渡して、私は次に進みます。


新店舗オープンまであと46日。


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