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裸のランチ いちばん効くクスリ

本記事は、「映画フリーペーパー・スガラムルディvol.29」(2023年5月号)に寄稿した「裸のランチ」について書いた文の転載です。スガラムルディのページは文末から飛べます。とっても可愛いペーパーなのでぜひ紙で手に取って欲しいな。

スガラムルディ掲載本文

 シティヘブンネットの「写メ日記」で映画の感想を書き始めて早10ヵ月、最初は冗談でやっていたものがだんだん義務になり、携帯での投稿がもどかしくなりPC投稿に代わりもはや「写メ日記」という言葉は形骸化した。

 客からのメール、客へのメール、明日の出勤は10時からですよろしくお願いしますの日記、ローションのボトルを洗わないといけない、動画を撮らなくてはいけない、ドニーイェンのポスターを真似したポーズをとらなくてはいけない、等のタスクに追われている。
 一人暮らし、恋人なし、家にいるときはプロレスTを着ているが、「おやすみ」の写真を撮る日だけはジェラピケもどきを着て甘い写真を撮っている。リボンとハートマークを多用するうちに、自身の実存を見失いかけたとき、大抵この映画をみている。

 リーもといバロウズは、薬漬けになり、妻を殺している。どちらもフィクションではない。正直言ってかばい様のないクズ野郎だ。そこまでの人生は何をしても中途半端で、”さえない人生”を送っている。そりゃインターゾーン(=ドラッグ幻想の逃避世界)に逃げ込みたくなるよな。わたしだって何かの選択を間違えていたらリーになっていたかもしれない。できることなら、カフカ的ハイに浸りたいし、可愛い子と血まみれファックしたいし、PCが勝手に安達祐実風に写メ日記を書いてくれたら嬉しい。

 そんなやばい願望を全部、映画の中でやってくれるのが「裸のランチ」だ(嘘混じり)

 映画の中でリーは、わたしのかわりにドラッグを吸い、妻を殺し、ゴキブリと融合した膣のようなタイプライターを叩き、可愛いキキを情報と引き換えに売り飛ばす。 だけど、リーは、最後には「作家」を職業にするという覚悟を決めて、アネクシア(=現実世界)へ戻ってくる。そうしてバロウズは本当に作家になったのだ。

 わたしの現実の人生では、粉の誘惑はなかった。インターゾーンもなかった。かわりに、映画があった。だからここまでやってこれた。24歳と31歳のプロフィールを24時間で行き来する連勤にも耐えられた。「今日はあたたかくて気持ちいからピンクの下着でいくよ🎀 」などと接続詞の使い方を間違えている日記を、正気で上げ続けることもできた。未経験素人10年目をナメるなよ。自分で作り上げたハッピーヘルシーセクシーの塗装が浸透し中身を侵されそうな夜、"わたしがなんであるか"を自分で決めることを手放してしまいそうな夜でも、わたしは大丈夫。命を危険に晒さずにトリップしてアネクシアに帰ってくる一番効くクスリを知っている。 家には『裸のランチ』のDVDがあるんだ。

裸のランチ

経緯

映画写メ日記をはじめて半年ほどが経過した2023年3月3日、かねてよりリプライ等でお話をしていた、ぶっくおふたろう氏(北海道在住、北海道の映画を盛り上げる「スガラムルディ」という映画フリーペーパーの執筆編集をしてる人)からはじめてのDMをもらいました。
なにごとかと思うと、内容は「スガラムルディでsuzuka氏をとりあげたい」というもの。びっくり。

当時はnoteもなく、本当にただたまにクソコラをあげる風俗嬢でした。

ぶっくおふたろう氏イチオシのクソコラ

当時は清楚系姉系店で24歳というプロフィールをかざす自称大学院生をやっており、Twitterでは「本日出勤します」の合間に映画の写メ日記をスクショで呟いたりしていました。

「えーっと、パンズラビリンスの記事かな?なんかそれ系の映画を紹介するから寄稿してということかな?」

と思っていたら、普通に「suzuka氏をとりあげたい」とのことで本当にびっくりしました。

あくまで"風俗店の集客のために映画日記を書いている"という建前上、ずっと丁寧な口調で映画の話をしていました。ですが、今回、シティヘブンネット外への寄稿ということで、大はしゃぎをして、はじめて本当に集客を1mmも意識せずに好きなことを書けて楽しかったです。

今思えば、この寄稿をきっかけに、Twitterで「映画と懸垂の人」という認知が広まり、気づいたら映画の友人が増え、noteを開設し、tiktokをはじめることになり、これまで以上にカオスな風俗人生を送ることになりました。
本当に感謝しています。

スガラムルディ本紙には、わたしの過去のクソコラの他、ぶっくおふたろう氏の愛が重すぎる紹介文ものっています。是非バックナンバーをGETしてください。
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suzuka・筋トレ 映画 オフィシャルサイト

みんな、もうダイナソー・ファイターはみたかな?素手で恐竜倒す、インディペンデントカンフーSF映画だよ🦕🦕🦕

最後まで読んでくれてありがとう。これからも、
suzukaの映画日記をご照覧ください。


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