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映画「ウィッシュ」(原題:Wish) 感想ー私たちは”とっくに”閉じ込めている

この記事ではディズニーの映画「ウィッシュ」のネタバレ感想または考察について書きました。

公開日: 2023年11月22日 (アメリカ合衆国)
監督: Fawn Veerasunthorn、 クリス・バック
音楽: デヴィッド・メッツガー(英語版)
脚本: ジェニファー・リー; アリソン・ムーア
製作: ピーター・デル・ヴェッコ; フアン・パブロ・レイジェス

クソコラをつくりましたのでご査収ください。

結構楽しみにしていたディズニーの新作映画、何故か両親と見てきました。
字幕版で観たのですが、音楽は抜群によかったです。音楽で泣かせに来ていました。

以下は映画「ウィッシュ」のネタバレも含む感想文章になっていますので気になる方はブラウザバック❣

好きだったところは、音楽です。特に”I’m A Star”という曲は、物語の中でも”輝く誰かの力を借りて夢をかなえることが夢→個人ひとりひとりが既に輝いている”というタームになる曲で、本当に可愛くて、家に帰ってからずっと歌ったりTwitterでネタコスりしたりしました。

また、物語が革命なので、歴代ヒット革命ミュージカルの”レ・ミゼラブル”や”グレーテスト・ショーマン”を彷彿とさせる群唄歌が入っていたりして、それも楽しめました。
主題歌であるwishを初めて英語で聞いて、「いやあこれは、宇多田ヒカルとかUAを連れてこないと無理なんじゃない」とか思ったりしました。映画館で震えたよ。
吹替版は自称イケメンの王様を、福山雅治がやっているそうで、ファンの間では該当シーンが「福山雅治コンサート」と呼ばれているらしく、それはちょっと見てみたいです。

映画自体は乗れなかったけど曲がよかったグレイテスト・ショーマンのクソコラも貼っておきます。

Wishの物語部分で好きだったところも残念だったところも、王様のキャラクターでした。今回の悪役となる王様は、白雪姫の魔女(継母)をモチーフに作られています。序盤は人間としての体裁を保っていたのですが、終盤急にキャラクターとしてのチャーミングさを失い果てただの巨悪に成り下がってしまい残念な気持ちになりました。頼むから人間でいてくれよ。

もっと簡単に言うと、王様、そんな悪い奴じゃなくね?

ってことです。なので、倒された時ちょっと引きました。うわぁ、マジで?って思いました。
王様は、建国し、民を統率してきました。民は18歳になると王様に、自分の”願い”を預けます。
預けると、当人はその願いを忘れてしまいますが、王が魔法で願いを叶えると、記憶が戻ります。
王は”国に害なす願いは叶えない”という選択をしていました。
願った当人はその願いを忘れているため、国家転覆を未然に防いでいたわけです。あれ?これは普通のベンサム哲学ですよね。

この王様を完全な悪人にしてしまう=功利主義で動く国家という枠組みに疑問を呈してるということになるのですが、そういう映画で良かったんですか?

え?誰か教えてください

功利主義に倫理的な問題があるのは、当然のことです。でも、わたしたちは、残念ながら、功利主義(もしくは近いもの)に基づいて作られた構造の中で生きていて、”忘れて”いることがたくさんあります。
例えば、殺人犯を牢屋に閉じ込めます。彼らがどんなに閉じ込められたくなくても、自由を奪います。この考え方と、王様の考え方の根本は同じです。”閉じ込めたものが本当に害か”というところは関係ありません。法律だって人が作るんです。多くの人にとって害だと、誰かが判断してるんです。

わたしたちは、とっくに、閉じ込めています。
そして、そのことを忘れていたはずです。

そういった「誰かの幸せのための忘却」が果ては人種差別につながるというのに、現実にアメリカで忘却されている構造には一切触れずに
“願いはかなう!ひとりひとりがスター!”
とか言うあたり、とんでもねえ自己責任論でアメリカ的だなと思いました。

そんな深い映画じゃなかったのかもしれない。いやーでも、だったら、もっとこう、王様という人間がわかるシーンが多かったらよかったんだけどな。うむ。

🔻元記事🔻


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