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男女平等の、覚悟はできるか。|『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』

北欧暮らしって聞くと、白を基調とした空間に、ポップな色合いをうまく取り入れていて、おしゃれなイメージがある。

子育てをする環境も整っているし、教育水準も高い。タイトルの通り、待機児童なんていない。福利厚生もちゃんとしていれば、公的サポートも調っている。

とにかくすばらしいんだよ!というイメージが広がってしまっているんだけど。

でも、それは一つの見方であって、それを成り立たせるためには、色々と大変なこともあるわけで。そんなことを知らせてくれた一冊。そういう意味では、おそらく著者はこのタイトルに納得いっていないんじゃないかなぁー。

それでもやはり、いつかは北欧に行ってみたいし、できるなら暮らして体感してみたいとも思うんだけど。

『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』を手に取ったワケ

海外の国に暮らしている方が書かれたエッセイが大好き。

実際に暮らしているからこそ見てている、良いところはもちろん、苦しいところも書いてくれていて、自分がそこに行ったような、暮らしたような気持ちになれるから。

とくにやたらと「良い」という評判が付きがちな北欧の国々は、私自身は行ったことがないというのもあって、興味深い。このキャッチーなタイトルに惹かれて、ついて手に取ってしまいました。

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『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』からの学び・気づき

医療へのアクセスを制限し、極力入院期間を短くするスウェーデンと、その対極にあるといえる日本の平均寿命はほとんど変わらない、ということは特筆すべきことでしょう。これは、医療レベルもさることながら、衛生管理がよいこと、質素な食事であることが関係していと考察しています。さらに言い換えると、日本人は過剰に病院に行っているともいえるでしょう。

久山葉子『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』(2019)東京創元社

私自身が医療レベルの低い国に暮らしているからこそ、私はもちろん、子どもたちも病院に行くことが殆どないまま育っている。

それはそれで何かあった時は心配なのだけど、でもほとんどの場合は、ちょっとのケアで治るもので。自分たちの中には治癒力が備わっているわけだし、今のところはなっている。

一方で、日本に行くと「子供の病院がただだから助かるわよねぇ」という風潮があって、困ったらすぐに病院。そして、これまたただの薬をもらってくる。というのが、当たり前というか、無料だからというか、考えずにというか、普通になっている。

すぐそこに病院があって、すぐに先生に診てもらえるなんて環境は、世界各国からこの国で暮らす友達の話を聞いてもレアな方で。

もちろんどうしても医師が必要な場合はあるんだけど、そしてそんな時はお世話になるんだけど。でも、もう少し予防だったり、自宅でのケアの方に重きをおいても良いのかもしれないね。

『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』から取り入れたこと

そもそも専業主婦と言う概念からして存在せず、仕事をしていない人は性別や子供の有無に関係なく、”失業者”という方が気になってしまう。税金を払ってなんぼのこの社会では、税金を払わずに社会保障制度を利用しているというだけで申し訳ない気持ちになるのだ。

久山葉子『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』(2019)東京創元社

この箇所が、まさに、この一冊のすべてを表している気がする。

「いいわねぇ」と世界から賞賛されるようなシステムを作り出すためには、専業主婦なんて言葉は存在しなくて、大人であれば全員働くのが当たり前。

本の中には「専業主婦という概念がないから、平日に子どもを遊ばせる場所もない=みんな保育園に行ってるから」と、居場所さえないことが書かれている。

メディアで紹介されるような良い面を「良いなぁ」と言うのは簡単だけど、こうやって一歩下がって「それを成り立たせるにはどうなっているの?」を忘れずに考えたい。

『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』をおすすめしたい方

”男女平等”というのは”女性の地位を向上させる”だけではない。”女性も男性と対等に経済的・精神的に自立して生きていくこと”を求められるのだ。

久山葉子『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』(2019)東京創元社

この箇所を読んで、ちょっとギクッとした方。ぜひ、この本を手に取ってみてください。

なにも意地悪な話ではないのだけど、この北欧でうまくいっているシステムを成り立たせるためには、みんながどのようなマインドでいるのか。そこを知らずに「いいなぁ」なんて言えないよなって。

で、自分には「男女平等でいきましょう」という覚悟ができるかどうか。そのタフさがあるからこそ、北欧のレディーたちは、働きながら、子育てもして、自分の時間を楽しめているのかな、なんて思った一冊でした。

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